Kuniのウィンディ・シティへの手紙

シカゴ駐在生活を振り返りながら、帰国子女動向、日本の教育、アート、音楽、芸能、社会問題、日常生活等の情報を発信。

近況報告~高校生の息子との付き合い方~順調です!

2012-01-30 | Weblog
久しぶりに自分のことや家族のことでも書こうかと・・・
去年から高校生の上の息子が委託ホームに入り、いわば精神的に自立して、家族のお互いの関係も良くなった。
主人はかなりさびしいらしく、「いつかまた家族みんなで住みたい!」と強く叫んではいるが・・・
私は早起きしなくてすむので、結構楽で、たまに息子に会う時間が濃くて息子とのおしゃべりも楽しく感じる。
下の息子との関係も良くなり、弟も兄を慕い、兄は弟をかわいがり、兄弟とても仲良く過ごしている。
息子が日曜日に東京で「子ども国会」の活動があるため、隔週ぐらいの割合で週末だけみんなで過ごしているが、家族みんなでいる時間がこんなにほっとするなんて・・・

子供たちって自分たちの興味のあることに親が興味を持つといろいろ話してくれるということが最近わかってきた。
たとえば、上の息子の大好きなラノベ(ライトノベル)。
最初は本の表紙の萌えキャラのアニメを見て、「なにこれ?」とバカにして、増え続けていくラノベの量に辟易していた。

だが、あるときラノベ不朽の名作(?)「涼宮ハルヒの憂鬱」を読んでみた。
なんとなく、表紙の小生意気なハルヒの表情が気になっていたのだ・・・



いやあ、読んでみたら、なんとこれがめちゃ面白い!
息子に頼んで続きの「ハルヒ」を買ってくるよう頼んだら、ブックオフで3冊買ってきてくれ、お金はいいという。
ハルヒ談義で盛り上がり、私がハルヒのミニフィギュアがほしいと言うと、「わかった」と息子は約束。
それからは、息子おススメのラノベ「半分の月がのぼる空」やら「とある飛空士への追憶」などをいそいそと貸してくれた。

だいぶ前だが家族でカラオケに行き、初めて「初音ミク」が歌うボカロ「裏表ラバーズ」を息子が歌うのを聞いて、その斬新な歌詞に衝撃を受けた。(なぜか私は「表裏ラバーズ」と言ってしまい、そのたびに息子に直されるが)
こんな歌詞が存在するのか!と。
その言葉のセンス半端ない。
世界中で初音ミクが受けている意味がやっとわかった。
お正月テレビのグーグルクロームのCMについに初音ミクが登場して「おおっ!」と二人で同時に叫んだ!



冬休みは、息子の大好きな戦争映画「総合艦隊司令官 山本五十六~太平洋戦争70年目の真実」も私の提案で一緒に見に行った。
役所広司主演で山本五十六そのものって感じで、日本が太平洋戦争の泥沼の中に入っていく歴史の流れとともに戦争を止めようと必死で努力した五十六の苦悩がわかり、五十六をめぐる井上成美やら南雲忠一などの部下たちの説明も息子がしてくれ、勉強になった。
息子の話によると、真珠湾攻撃の描写、とくに軍艦などの基地の位置や飛行機からの攻撃の順番などが正確だったらしい。



それにしても戦時中山本五十六のような国際的な視野を持った軍人も日本には結構いたのか・・・

去年のハロウィーン前は、小学校の英語講師の仕事で衣装が必要だったので、アキバのコスプレショップに連れて行くよう頼んだら、これまたいくつか案内してくれた。
私が描いていたコスプレはアメリカのような一般的な仮装ではなく、アニメのコスプレだったので、収穫はなかったが、アニメとAKBの街と化したアキバを散策できて楽しかった。

勿論息子からパソコンも教えてもらっている。
息子の高校はパソコン関係は、プレゼンやら卒論があるため、一年から情報のクラスでしっかり教育してくれているようだ。
息子もブログ、ツイッター、フェイスブックとデジタルネイティブの一人として、いろいろとこなしているらしい。
最近ではツイッターの息子のつぶやきに対して、議員さんやら大企業のお偉方さんからもいいコメントが届くんだそうだ。
高校で政経部の部長もしているので、高校生とはいえ早稲田の一員としてネット上でも日本の政治に対する自分の意見をしっかり発言してほしいもの。

息子の硬派な部分とオタッキーな部分を両方認めて理解していくことが大事だと思う。
3年生になると卒論制作が大きな部分を占める。
息子も今通っている私立高校にあこがれていた中3のときから卒論を書くのを楽しみにしてきた。
去年のクラス懇談会で担任の先生が先輩たちの卒論を紹介してくださったのだが、題材はさまざまで自由に選べるらしい。

息子が選んだ題材は、専門分野である歴史物で、趣味のサブカル(サブカルチャー)とからめて分析したいと。
「それって、大学の先生も書けない内容だし、Yしか書けないよ!」と大きく励ました。
卒論のアドバイザーの先生も国語の若い女性の先生でありながら、日本文学の研究者でアニメやサブカルに精通しているらしい。
息子は、3年の選択科目でこの先生の教える「早稲田大学と文学」のクラスもとる。
すごい!こういう先生も高校にいるなんて、やっぱり早稲田だ!!
「私がとってみたい!」と思わず2回も叫んだ。

大学付属高校なので、のびのびと自分のやりたいことができて、ユニークな先生たちに囲まれて充実して高校生活を送っていて、うらやましい限りである。
息子からは、ラノベ読んだりボカロ聞いたりする中高年の母親は少ないと言われている。(いや、私のようなミーハーな親、意外と多かったりして・・・)







「カルテット・スピリタス」クリスマスコンサートに酔う!<後半>~市民ボランティアにささえられて

2012-01-09 | スポーツ一般・娯楽
2011年12月25日、小田原市民会館大ホールで行われた「カルテット・スピリタス」クリスマスコンサートのために、さまざまなボランティアの人々が準備段階の企画からこの日の運営まで動いていた。
その人々とは、「小田原文化サポーター」という小田原の芸術文化振興を支援する市民ボランティアグループやこの公演の主催者「音楽の種を蒔く会実行委員会」(座長芹川明義氏 事務局小田原市文化部文化政策課文化政策係)など。



前列「音楽の種を蒔く会実行委員会」メンバー及び小田原市文化政策課職員と後列「カルテット・スピリタス」メンバー

この日のコンサート開場1時間15分前、入口にはすでに30人ぐらいの人たちが凍える寒さの中、並んで待っていた。
全席自由ということもあって、13時の開場時にはかなりの列ができていたのに驚く。



小田原文化サポーターのレセプショニスト部門会員によるチケットがもぎられ、親子ワークショップで作成された美しいクリスマスリースをあおぐ。
ホワイエには手作りの「音種カフェ」が特設され、地元のお店の手作りのシュトレン(おいしかった)、クッキー、コーヒー、小田原で人気の「片浦レモンサイダー」(これ地元のレモン入りなので、抜群にうまいからうちは家族で飲んでる)まで味わえた。



大きなホールでは味わえない素朴な味わいのまさに「音楽の種を蒔く」地元の手作りの温かいコンサート会場!
音楽を愛する市民たちの努力で、こういう素晴らしいコンサートが子どもたちまで幅広い層の人々の間で安価で楽しみながら聴くことができる。

ちょっと、前置きが長くなってしまった・・・第2部のリポートへ突入しよう。

2部は趣向が変わり、黒い幕があいてブルーの照明がつき、(この照明もクリスマスムードを盛り上げていた)メンバーたちは観客席に現れてサクソフォンをコミカルな音色に変えながら、大柄な松井氏の大げさなアクションを交えたネタで観客の笑いを誘いリラックスムード。
これには子どもたちも大喜び!

そして、舞台に上がり立ったまま演奏を続ける。
テンポのいい「ミッション・インポッシブル」で観客のハートをつかみ、ノリのいいサウンドで疾走!
いきなり彼らのミュージック・スピリットの中へ観客を巻き込む。
まさに「カルテット・スピリタス」の名にふさわしい瞬間だ!


この日の「カルテット・スピリタス」のメンバーの装いは、ネクタイなしの黒めのスーツ姿。
終始抜群のハーモニーをそのチームワークの良さでクリエイトしながら、異なった色のシャツはそれぞれの個性を主張しているかのよう。
個性あふれるメンバーだが、経歴を見ると、全員音楽大学や芸術大学出身で、コンクールでも数々の賞も受賞するという実力派ぞろい。
波多江氏は、7年強在籍したパリ国立高等音楽院を首席で卒業するという快挙も。

グループ名「カルテット・スピリタス」とは、「新しいエスプリ(ラテン語でSPIRITUS)を持つサクソフォン・カルテット」として次世代を担う若手サクソフォン奏者4人(コンサートパンフレットより)という意味が込められている。
2003年に結成し、第5回大阪国際室内楽コンクール・セミファイナリストで、2008年初めてのCD「Scene」をリリース。



ピアソラ作曲の「カランブレ」や葉加瀬太郎のおなじみの「情熱大陸のテーマ」までまさに燃えるような実力をみせつけたメンバーたちだが、打って変わって「森のくまさん」を披露しながら、ギャグもこなすという器用さを示し、子どもたちを喜ばせた。
後でインタビューに応じてくれた小学生の男の子が、「このときが一番面白かった!」とコメント。
この男の子はメンバーに囲まれ、サクスフォンの音を浴びせられ、体が音と一体になり、終始笑顔で答えてくれた。

「ロミオとジュリエット」で観客を夢心地にし、最後のクリスマスメドレーで、気分は小田原の空間を飛び越えて聖夜の星がまばたく闇の中へと誘われていく。
「もろびとこぞりて」「赤鼻のトナカイ」から始まって、ジャズ風にアレンジされた「ホワイトクリスマス」、ムード満点のロマンチックな「クリスマス・ソング」「ジングルベル」「サイレント・ナイト」と続くサックス4重奏マジックで、日々忙しく心の奥に追いやって忘れかけていた懐かしい心のようなものを呼び起こしてくれた。

コンサート終了後、真っ先に私がインタビューしたのは、中央真ん前の席に座っていた4組の親子たち。
「すごかった!」「面白かった!」とキラキラした目を輝かせて、なごりおしそうに舞台の前に立ってコンサートの余韻をかみしめている4年生から6年生の児童たち。
前述の男の子もこの一人で、ピアノを習っているというから、演奏の刺激を受けてどうなっていくのか楽しみだ。

みんな11月8日小田原市内の小学校で行われたメンバーのアウトリーチ活動の出前演奏を見たんだそうだ。(千代小と東富水小)
保護者たちの話では、親子でアウトリーチでの演奏を見てよかったので、このコンサートにみんなで行くことにしたという。
「子どもたちが飽きないペースで盛り上がりました。その時のメンバーは私服で、今日は違った(スーツ)姿だった・・・またぜひ来てほしい!」とお母さんの一人が熱っぽく語る。
コンサートプログラムに報告されているアウトリーチ活動では、子どもたちのリコーダーと「翼をください」を合奏とある。
こんな工夫のこらしたコンサートなら、子どもでも自然にクラシックに入っていけるのではないか。

その後すぐ、メンバーたちはコンサートの疲れもみせず、全員が希望する観客に気さくにサインするというサービス。
メンバーと握手して会話をかわした親子たちは本当に幸せそう!



素晴らしいクリスマスの思い出になったに違いない。

こんなにアーティストと観客が近くなれるコンサートもめずらしい!
普段日本全国さまざまな場所でアウトリーチ活動を精力的に行っているメンバーの努力と市民のボランティア活動のささえがあったからこそ、こんな温かいコンサートができるのだと実感した2011年のクリスマスだった。


追伸

今回の記事は小田原市文化政策課による文化情報紙ワークショップの仕上げとして、正式な取材をさせてもらった。
10人の受講生による取材を講師の芹川明義氏が編集し、情報紙として1月下旬に市の施設に配布するという。
私も小田原市の腕章をつけて、普段よりやや控えめに写真を撮らせてもらった。(コンサート中は撮影できず、残念!)
しかし、私は単独取材の方が自分らしく動けていいかな・・・腕章なんてつけて取材したことがないので、(経済サミットなどでは札をぶら下げて参加したけど)逆に観客へのインタビューなどは照れくさくてあまりできず・・・
最近は学校の広報誌などで取材する機会があるため、子どもたちに取材するのが楽しくなってきた!




2012年がいい年になりますように!~田畑ヨシ作「海嘯(つなみ)鎮魂の詩」を聞きながら

2012-01-01 | 日本生活雑感
皆さま、あけましておめでとうございます!
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

昨年は本当に日本人にとって、いや東北の人々にとって苦難の年だった。
今年もその苦難が続くのであろうが、少しでもじょじょにやわらいでいくことを強く願う。

昨日の恒例の紅白歌合戦でも東日本大震災の被災者たちを勇気づけるような曲が多かった。
東北の地を思い浮かべながら全身全霊で歌っている。
西田敏之の泥臭い風貌とふりしぼったような声に包まれた「あの街に生まれて」
松任谷由美の願いを込めた「春よ、来い」
レディー・ガガの自分の運命を受け入れようと鼓舞する「Born this way」
猪苗代湖ズの「I love you & I need you ふくしま」は、あまりに感情移入しすぎで、歌になっていなかったのが残念!

海嘯(つなみ)鎮魂の詩」を紅白で聞きたかった・・・
この曲は、86歳の 田畑ヨシ氏が作詞し、3人グループ「サスライメーカー」が歌う。

田畑さんは、78年前岩手県宮古市田老地区にて昭和三陸大津波で被災、母親を亡くした。
その経験をもとに紙芝居「つなみ」をつくり、地域の小中学校や修学旅行生らに読み聞かせをした。
東日本大震災で被災後、5月から再び読み聞かせ始める。(「サスライメーカー」HP「よしばあちゃんとの出会い」より http://www.sasuraimaker.com/tsunami_message.html)

この田畑さんの詩は、「歌い継ぐ鎮魂の思い」とのタイトルで先月NHKの朝の情報番組の「あさイチ」で紹介された。
歌うかどうか迷ったサスライメイカーは、「歌うことはこれを背負うこと」と強い決意でのぞんで、田畑おばあちゃんの思いを歌で私たちに伝えてくれている。

この曲を聴きながら、被災者たちの道のりに思いをはせながら、東日本大震災の年を忘れずに記憶し続けていきたいと思う。