草もち姫 徒然なるままに

日暮し、PCにむかひて心に移りゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。

文学はパロディーでつながっている  

2006年01月14日 | 読書
 読売新聞で募集していた青山学院大学と活字文化推進会議主催の読書教養講座公開授業というのに行ってみました。
講師は作家の清水義範さん。代表作は「国語入試必勝法」で吉川栄治文学新人賞受賞。『日本語必勝法』『ごみの定理』といってもひとつも読んだ事がなくてすみません。
 創作というのは唯一無二のものを作ろうとしても、沢山読んだ人にはそれだけの真似をするものがあって知らず知らずのうちに真似ている。しかし真似が悪いということでもなくて真似されたもの以上の出来になるものもあるということ。

 古くはBC5Cごろの「カエルとネズミの戦争」という叙事詩はホメロスの「イリアスオデッセイ」をぱくったものという話から始まり、『聖書』は真似されの宝庫。「騎士道物語」から「ドンキホーテ」に、ロシアではドストエフスキーの「白痴」に、日本では「ふうてんの寅さん」にまで影響が及んでいるとか。
 「ガリバー旅行記」は「ロビンソンクルーソー」から。

 夏目漱石の代表作もロンドン留学中の英語学者の漱石としての才能がスターン作「トリストラム・シャンディ」という作品を真似て書いたのが「吾輩は猫である」らしい。その漱石の「三四郎」の真似をしたのが森鴎外の「青年」とか。ふむふむ。
 後半の島田順好青学教授との対談は短かったが結構いい突込みがあって清水さんという作家さんは言葉へのこだわりで本を書いているんだなというのが感想。
 趣旨は『活字文化を埋没させるな』ということで、読売新聞が中心になって「巨人で稼いだ儲けをつぎ込めばいいと思っていたら去年は散々だった、けど儲けはあるから大丈夫」というところがかなり受けていましたが、そういうことらしい。
 老眼でかなり遠ざかっていたものの、安東氏がらみでまた昔の本好きに戻りつつある今日この頃こんな講演が気楽に聴けるのも東京住まいのおかげ、、というわけで、調子に乗って来週は北方謙三さんです。『歴史と人、時代と心』だって。

コメント (2)
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