外国製の大きな冷蔵庫があった。中にはやはり、輸入食材が多く入っていた。ペリエの栓を抜き、綺麗に並べられた棚からグラスを取った。淵に彫刻の施されたトレイが目に入った。グラスをのせ、リビングに運んだ。
女性は腕をクロスさせ、テーブルに頭をつけていた。フッと顔を上げた。白く透き通るような肌が怖いほど綺麗だった。ヒロムは一瞬、足を止めた。
「勝手に、持ってきたけど・・・。」
「お優しいのね。」
ヒロムはグラスをテーブルに置いた。女性は身体を起こし、ゆっくりと水を飲んだ。ヒロムは、女性と向かい合う形で椅子に座った。この前の訪問の時と座る場所が逆になっていた。女性は飲み干すと、グラスを置いた。
ヒロムを見つめた。
ヒロムも女性を見つめた。
言葉は何も出てこなかった。
時計の音が聞こえた。
女性は立ち上がった。ヒロムの座っている椅子の空いているスペースに腰を下ろした。ヒロムは女性の肩を抱いた。
言葉はなかった。
体温が感じられた。
息づかいが伝わった。
次の瞬間、女性にかかる重力がヒロムの胸に伝わった。女性は静かな息をして、目を閉じていた。ヒロムは女性を拒まなかった。受け入れるのとも、違っていた。女性の静かな寝息とともに現実に存在する身体ではなく、もっと違った部分が一つになるような、それが、当たり前のことのような、不思議な感覚にヒロムはなっていた。退屈な時間ではなかった。満たされているのとも違った。
ヒロムの頭の中に二つの顔が浮んだ。一つは公園で言い訳をしたときの顔と、もう一つは先ほど、フッと顔を上げた時のそれだった。叱られた幼い子供のような顔。可愛らしさの溢れた顔。そして、その歳を感じさせる顔。けして、老いて見えるわけではなかった。いま、その顔を覗きこむと、綺麗な寝顔になっていた。
時間はゆっくりと流れた。
女性は腕をクロスさせ、テーブルに頭をつけていた。フッと顔を上げた。白く透き通るような肌が怖いほど綺麗だった。ヒロムは一瞬、足を止めた。
「勝手に、持ってきたけど・・・。」
「お優しいのね。」
ヒロムはグラスをテーブルに置いた。女性は身体を起こし、ゆっくりと水を飲んだ。ヒロムは、女性と向かい合う形で椅子に座った。この前の訪問の時と座る場所が逆になっていた。女性は飲み干すと、グラスを置いた。
ヒロムを見つめた。
ヒロムも女性を見つめた。
言葉は何も出てこなかった。
時計の音が聞こえた。
女性は立ち上がった。ヒロムの座っている椅子の空いているスペースに腰を下ろした。ヒロムは女性の肩を抱いた。
言葉はなかった。
体温が感じられた。
息づかいが伝わった。
次の瞬間、女性にかかる重力がヒロムの胸に伝わった。女性は静かな息をして、目を閉じていた。ヒロムは女性を拒まなかった。受け入れるのとも、違っていた。女性の静かな寝息とともに現実に存在する身体ではなく、もっと違った部分が一つになるような、それが、当たり前のことのような、不思議な感覚にヒロムはなっていた。退屈な時間ではなかった。満たされているのとも違った。
ヒロムの頭の中に二つの顔が浮んだ。一つは公園で言い訳をしたときの顔と、もう一つは先ほど、フッと顔を上げた時のそれだった。叱られた幼い子供のような顔。可愛らしさの溢れた顔。そして、その歳を感じさせる顔。けして、老いて見えるわけではなかった。いま、その顔を覗きこむと、綺麗な寝顔になっていた。
時間はゆっくりと流れた。