カーテンがかかっていた。金物の棚があった。フランス製のシャンプーや石鹸があった。身体が冷えていた。シャンプーをとった。
ヒロムはあわただしくここまで来たような気がした。視覚に残った記憶が頭の中に浮かんできた。入り口の駐車スペースにはタテ目のベンツがあった。リビングは骨董品のような調度品が置かれていた。ヨーロッパ、そう、欧州的な雰囲気がしていた。なぜ、という疑問が生まれそうだった。声がした。
「お背中、お流しします。」
ドアが開いた。目を閉じていた。
「あら、頭から・・・。」
ヒロムは目が開けれなかった。
「主人を洗うときは頭が一番、最後なんですよ。」
ヒロムの肩に手をかけた。
「お座りになって。」
腰を下ろすと腰掛が用意されていた。木製の感触がした。
「続きを、いいかしら。」
ヒロムの頭に柔らかな指先が触れた。ヒロムはことばを選んでいた。なんと言ったらいいのか、困った。どうして、と聞くのも、おかしな気がした。ただ、指の感触は気持ちがよかった。されるがままにしていると、タオルが手渡された。
「どうすればいいのですか。」
「顔に当ててください。流しますから。」
「はい。」
頭を流し終わると、合成繊維ではないスポンジに石鹸をつけて、背中から、洗い始めた。ぬるっとした感触もなく、痛さもなかった。下ろしたての新しいものであることが感じられた。ヒトミと渋谷のホテルで過ごした時のことを思い出した。その流儀は違っていた。背中が終わると女性が言った。
「こちらを向いて。」
ヒロムはあわただしくここまで来たような気がした。視覚に残った記憶が頭の中に浮かんできた。入り口の駐車スペースにはタテ目のベンツがあった。リビングは骨董品のような調度品が置かれていた。ヨーロッパ、そう、欧州的な雰囲気がしていた。なぜ、という疑問が生まれそうだった。声がした。
「お背中、お流しします。」
ドアが開いた。目を閉じていた。
「あら、頭から・・・。」
ヒロムは目が開けれなかった。
「主人を洗うときは頭が一番、最後なんですよ。」
ヒロムの肩に手をかけた。
「お座りになって。」
腰を下ろすと腰掛が用意されていた。木製の感触がした。
「続きを、いいかしら。」
ヒロムの頭に柔らかな指先が触れた。ヒロムはことばを選んでいた。なんと言ったらいいのか、困った。どうして、と聞くのも、おかしな気がした。ただ、指の感触は気持ちがよかった。されるがままにしていると、タオルが手渡された。
「どうすればいいのですか。」
「顔に当ててください。流しますから。」
「はい。」
頭を流し終わると、合成繊維ではないスポンジに石鹸をつけて、背中から、洗い始めた。ぬるっとした感触もなく、痛さもなかった。下ろしたての新しいものであることが感じられた。ヒトミと渋谷のホテルで過ごした時のことを思い出した。その流儀は違っていた。背中が終わると女性が言った。
「こちらを向いて。」