象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

映画「ファウンダー」番外編”その2”〜ハリー・ソナボーンの戦略に見る、フードビジネスとフランチャイズと不動産の融合

2018年05月11日 10時26分36秒 | マクドナルド

番外編”その1”から引き続き、連チャンで行きますが、宜しくです。

《ソナボーンの戦略》

 1956年、クロックによりひき抜かれたソナボーンは、以降10年間、殆ど目立たないクロックのパートナーだった。前者はアメリカンビジネスの神話になったが。後者は古参社員以外に誰も知る人はいなかったが、今日のマクドナルドを支えた強大な資金と競争力を生み出した、影の功労者なのだ。

 クロックとソナボーンのコンビは、理想の外ズラと内ズラに喩えられる。派手で陽気なクロックは、創業者としてマクドナルドの顔になり、一方ソナボーンは、クロックの強烈な個性の陰に隠れ、超人的冷静さと集中力で舞台裏の黒子として、財務マンに徹した。クロック&ターナーによる絶妙な営業努力を、高収益に繋げた偉人でもある。

 事実、クロックはソナボーンの死去の数カ月前に、”君だけが我社を救い、大会社にし、マクドナルドを大金持ちにしてくれた”と絶賛したという。この事は、クロックの自伝本”成功はゴミ箱の中に”では語られてない。

 
 しかも、ソナボーンは、仕入先やフランチャイジーに対しフェアをモットーとするクロックに方針に反する事なく、単にマクドナルドがフランチャイジーに貸し出す不動産を利用し、儲けるアイデアを思い付いた。このソナボーンの金儲けの戦略は、”フェアな代理店販売”という社の方針にも合致する。

 クロックがゴルフ仲間を誘い入れ、フランチャイジーを探し回ってた間、ソナボーンは土地を手に入れ、マクドナルドの店舗を立てるという難題を解決したのです。このソナボーンの糞真面目な性格も時代の波に合ったんですね。


 もし、マクドナルドが他のチェーンと同様に、広い地域に何軒ものフランチャイズを売ってたら、自力で店を建てる出資者は幾らでもいた筈。

 しかし、クロックは、商売の質を重んじるが故、1地域に1度に1店舗しか許さなかった。この事は、マクドナルド兄弟に相通ずる所がある。クロックは兄弟同様に、純粋無垢なフードビジネスマンだったのだ。質の高いフランチャイズこそがクロックの生命線だったんです。この事は後に、ソナボーンが融資を勝ち取る際に、大きなアドバンテージになるんですが。


 開店の為に、フランチャイジーは半エーカー(45m×45m)の店舗用地代に3万ドル、店舗建設費用4万ドルが必要であった。自己資金は勿論、銀行からの借入も、当然難しかった。

 そこで、ソナボーンはマクドナルド独自の”不動産方式”を考えだす。

 最初のソネボーン方式は、マクドナルドが土地を賃借し、フランチャイジーに手数料を取って貸し出すという、以下の3つの仕組み。

①マクドナルドを、不動産会社(フランチャイズ不動産)とは別に設立する。これも自伝本では語られていない。
②この不動産会社が、マクドナルドの店舗の土地を貸与する地主を見つけ、土地と建物を借り受ける。契約は20年間。
③同じくこの会社がフランチャイジーとの間に、不動産取得手数料込みで、又貸し(転貸)契約を結ぶ。

 ソナボーンは、マクドナルド社がフランチャイジーから受け取るフランチャイズ料の大部分が、経費に回ってしまうが故、この仕組みを考え出した。以前勤めてた会社でも提案した事があったが、コミッションがあった為、却下されてた。


 彼が考案した不動産会社が、この地主とフランチャイジーの中間にたった結果、定期的な現金収入が生まれたのだ。この収益は、食品や設備をフランチャイジーに売るよりもはるかに大きかった。

 地主との契約では、店の売上に応じて地代と家賃を、という地主の要求には応じず、半エーカー当り、500ドル~600ドルの固定賃借料を主張した。ここが一番の肝ですな。

 その上、フランチャイジーへの又貸し契約では、不動産取得手数料を当初の20%から40%とした。これにより、フランチャイジーが営業を続けさえすれば、マクドナルドには最低でも40%の不動産手数料が入ってくる。
 つまり、マクドナルドが土地を借り、店から手数料を得るという仕組みですね。賃貸料が$600なら$240の収入と。

 実際、店のマクドナルドへの家賃の支払いは、40%の固定でなく売上比例とし、当初は5%(70年からは8.5%)とし。固定か比率か、額の多い方を要求した。
 つまり、地主には固定家賃、フランチャイジーからは売上比例家賃という収益を確保するに成功した。

 これこそが、ソナボーン・マジックというか。この時点でマクドナルドのボロ儲けが約束されたようなもんですね。それに、paulさんのコメントにあった様に、クロックの陽とソンナボーンの陰、熱情と冷静さ、叩き上げと論理、営業と財務、フードビジネスと不動産、全てに二人は対称的だったんです

 大体において、ソナボーンの不動産戦略が理解できますね。全く見事としか言いようがありません。以上、大幅に加筆&編集しました。その3も大幅に編集し直す予定です。とにかく、”我が豊穣の人材”と”成功はゴミ箱の中に”では、内容も質も違いすぎるのです。困ったもんですな。

 以上、大幅に更新&加筆しました。



2 コメント

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クロックとソナボーン (tokotokoto)
2018-08-15 11:22:25
続けてコメントです。

結局マクドナルドの経営者って二人いたんでしょうか。表向きはクロックという人で、その影武者がソナボーンということですか。

でも、クロックはウエブではあまり詳しくは紹介されてませんし、ソナボーンに至っては全く紹介されてません。ここら辺もマクドナルドの不思議な所ですね。

それと、ソナボーンの3つの戦略には頭下がります。もう目から鱗状態です。
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Re:クロックとソナボーン (lemonwater2017)
2018-08-17 04:35:29
続けてコメント返しです。

 初期のマクドナルドの創設者は、名目上はレイクロックですが。実質は、ハリーソナボーンを中心に、クロックと若きフレッドターナーと、ジューンマルチーヌとドンコンリーの5人の共同経営だったように思えます。その5参照ですよ。

 彼ら以外にも優秀な幹部が5、6人はいたでしょうか。でも、ある新規の企業にこういった有能な幹部が集中するというのも、とても珍しい事ですね。そういう私も、”わが豊穣の人材”はまだ、半分ほどしか読んでませんが。マクドナルドの闇がどんどん晴れてきそうな勢いです。タイトルもファウンダーから、”成功は人材の中に”と変更したいほどです。

 これからも出来る限りこのマクドナルドブログを更新していきたいので、宜しくお願いです。
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