人間に欲がある限り、”性悪説”は正しいと思うし、この性悪説こそが基本原則だと思う。しかし、司法の基本原則である推定無罪は性善説が基盤となっている。
今となっては風化しつつある、カルロス•ゴーン被告の一連の逮捕に関しては、東京地検の”推定有罪”に偏った非民主的な行動に、”なんちゃって”弁護士の安直な批判が後を絶たない。
推定無罪は近代司法制度の大原則?
批判もあろうが、私的には、東京地検のやり方は全くの正義だと思う。権力者に甘い顔をすれば、被害を被るのは、何時も我ら弱者である。
事実、法は権力に蹂躙され続けてきた歴史を持つ。法は弱者を裁く事はできても、強者を裁く事は出来ないのだ。
数学的思考で見れば、推定有罪が悪ならば推定無罪もまた悪。つまり、性善説が真なら性悪説もまた真なりで、善と悪は表裏一体なのだ。
被告人は、裁判で有罪が確定しない限り、例え逮捕され起訴されたとしても、単に嫌疑が課せられているだけで、悲しいかな”無罪推定がなされるべきだ”というのが近代司法の大原則だ。
だから法律は何時の世もアテにならない。バルザックが嘆く様に、法と権力は常に弱者に背を向け、牙を剥く。しかし、これは明らかに”性善説”が原則となる。勿論、有罪が確定するには、色んな自明な証拠が必要になる。主観と推定と人情だけで人を裁く事はできる筈もない。
権力者に有利な推定無罪
これが、カルロス•ゴーンという一部の権力者ではなく、普通の一般人なら、”推定有罪”というのは明らかな違法であり、それこそが犯罪でもある。しかし、これが会社の経営者でワンマンの権力者であれば、話は大きく変わってくる。
事実ゴーンは、特別背任罪などで4度も逮捕•起訴されてる。万が一無罪判決を下されても、既にやってはアカン事をゴーンは仕出かしてるのだ。
極論を言えば、人を1000人殺しておいて、それが法的に100%完全有罪である事を証明しろと言うもんだ。哲学や算術と同じで、いくらでも理屈を並べれば、例外や矛盾は存在し、有罪は簡単に無罪に翻る。東京電力のケースも同じだった。
広島と長崎の原爆では60万の命を奪ったとされるが、原爆を投下した張本人は”トルーマン”を含め、堂々の(推定)無罪である。
無差別爆撃で40万の命を奪った”カーチス•ルメイ”に至っては、佐藤栄作から勲章(勲一等旭日大綬章)まで貰ってる。
全く、なんちゃって系のアホ弁護士に言わせれば、これも”推定無罪”なんですかね。近代司法の大原則なんぞ吐き気がします。
まさに、これこそが検察側が反発する、”性善説に基づきすぎてる”という事なのだろうか。故に、性善説に推定無罪に基づきすぎたら、独裁者や大量殺戮者を”有罪”で逮捕する事は殆ど不可能だ。今までもこれからも。
逮捕されるのは何時も、弱い立場の人間だ。権力者や強い立場の人間は、たとえ大量虐殺で明らかな有罪が確定しても、何処にでも逃げられる。アミン大統領なんかもその典型だろう。法とメディアは何時の世も権力の味方なのだから。
ゴーンと関西電力と推定有罪と
私が言いたいのは、推定無罪が悪いというのではなく、推定無罪の基本原則を強い立場の人間と弱い立場の人間に、共通して行使すべきでないという事。
しかし現実には、推定無罪は弱者には行使され難い。無罪を実証するにはお金が掛かりすぎる。故に、荒っぽいやり方で強引に自白させ、逮捕した方が安く付く。後で訴えられても、一般人だから、裁判で堂々と戦える程の資金力はない。雀の涙ほどの和解金で誤魔化すのが精一杯だろう。
ゴーンのケースは、権力者に対し、推定有罪という非民主的な強引なやり方で、無理やり自白させようとしたものだ。
批判も多々あろうが、ゴーンの”暴力的排除”に対し、”暴力的拘束”で対抗した当然の結果とも言える。
一方、一部の金持ちや権力者ほど、推定無罪の原理は簡単にまかり通る。明らかにワルをヤッてるとみなされても、殆どが無罪だ。
今回の関西電力の”不都合な汚職”も、一部では贈収賄罪や特別背任罪に該当する恐れがあるとされる。
しかし関西地検が、推定無罪の民主的な原則を通すなら、関電の上層部は無罪放免で、今までもこれからも温々と”好都合な汚職”を繰り返すだろう。
会社内に第三者の調査&訴追制度があれば、こういった不正は浄化し易いが。多分そのまま刑事告発となり、地元の賄賂繫り?の特捜部が動くのは自明である。つまり、推定無罪で全て解決なのだ。
事実、元特捜部の一人は、”時効のハードルが捜査の壁になる”と呑気な事を言ってる。つまり、こういう法律の奴隷がいる限り、法は権力の壁を超える事は、最初から不可能なのだ。
”なんちゃって”弁護士の論理
結局、強者は権力と金があるから、法も世論も味方に付け易く、どうしても性悪説に傾斜しやすい。一方、弱者は権力も金も支えもないから、ワルをしたくても出来ない。つまり、性善説に傾斜する。
推定有罪が性悪説に基づくなら、推定無罪は性善説に基づくものだ。
つまり、強者を”聞こえのいい”推定無罪で裁く自体ナンセンスである。同じ様に、弱者を推定有罪で裁くなんて全くのタブーである。
しかし、なんちゃってアホ弁護士はそういう所が分ってない。数学的思考で考えれば簡単に解るのだが、彼らには数学的知能はないのか。法律を覚えるだけで関の山なのか。
関西電力の幹部も、以下の様に吠えながら、今頃は高笑いしてるだろうか。
”所詮、法なんて権力の下僕よ。特捜部に何が出来る?賄賂でも貰って大人しくしてろ”
古い記事を呼んで下さり有り難うです。
今の法律って殆どが権力者有利に出来てるんですよね。弁護士なんて弱者から手数料を搾り取るだけで・・・
中世のバルザックが嘆いてたその通りになりました。悲しく愚かなことですよね。
わざとレバノンに逃したのかなとも思いますね。ゴーンも日産も同罪だし。
結果的に保釈金の15億は地検の懐に入った訳だし。ホントは身ぐるみ全部剥がしてレバノンへ追いやりたかったけど。
結局、ゴーンは何処にいても地獄には代りないのかな。
開き直るその態度が気に入らないのよ~♪
何だかこういう歌を思い出します。
ゴーンにすれば、国外逃亡しか他に手段がなかったんですよ。アメリカに行けば財産を絞られるし、レバノンしか受け皿はなかったんだね〜
容疑に掛けられた奥さんも老けたなぁ(-_-)お化けみたいになっちゃって。
書いてて虚しくなりますね。
とも語ってます。
法の番人である元地検OBがこんなレヴェルです。日本の司法制度は完全に終わってます。
今回の関西電力の賄賂にしても、時効で逃げ切れる可能性が高いです。これじゃ何の為の法律なのか?何の為に弁護士がいるのか?
日産のトップもゴーンも纏めて潰せばって思うんですが。司法も検察も、全ては賄賂繫がりで出来てるから、曖昧にして逃れるしかないですか。
関西電力の賄賂も勿論犯罪ですが、悲しいかな、法はあってもそれを取り締まるシステムがない。つまり、民主主義とは単なるブルジョアやり放題主義に過ぎないのか。
ゴーンだって、駄目だったからアメリカに投げ売りしたもんね。今頃アメリカはゴーンの財産全てを凍結してるはずだけど、ゴーンの財産も中東繋がりだから、結構揉めるかも。
転んだサン言うように、権力者に対し推定無罪の原則で突き通せば、今の法制度では絶対に無罪になる。法なんて今も昔も無力なんだ。
流石に数学系思考は鋭い。