リーマン予想に関する本は、玉石混淆に及ぶ沢山の本が出てます。しかしこの本は、リーマン研究の第一人者と言われる黒川信重氏の書いた著書の中でも、ある意味でベストかもしれない。
というのも、アマゾンで中3の生徒の以下のレビューを見たからだ。
”素数にハマっている中3です。リーマン予想について書かれた本は(僕にとっては)ほとんどが難しくて、途中で読むのが嫌になってしまう本が多いです。
しかし、この本は黒と青の2色で書かれているので、他の本よりとても読みやすかったです。ゼータ関数を例えを使って説明したり、図もたくさん書いてあって、筆者の内容を伝える為の努力が感じられました。
黒川先生の「ラマヌジャン探検」も読んだ(全然わからなかった)のですが、この本の方が100倍くらい分かりやすいと思います。
僕はまだ最初の方だけしか理解できませんでしたが、リーマン予想の解決への雰囲気がつかめただけで大満足です”
全く、涙が出そうなコメントですな。これで中学3年生ですよ。この若さで数学の一番美味しい部分を味わい、素数のファンタジーに浸ってるんですよ。オジサンはとっても羨ましいですな。
確かに、黒川先生の著書は専門的すぎて、堅すぎて、読み辛いです。でも、リーマンの謎と魅力に引き込んでくれたのも黒川先生です。
解説にもある様に、2012年に刊行された「リーマン予想の探求~ABCからZまで~」に最新情報を加え、大幅に改訂したものです。
リーマン予想に関係のあるオイラーやラマヌジャン、さらにリーマン予想の解決への鍵となる絶対数学についても詳しく説明しています。
特に、リーマンのキーワードとなる”テンソル積”や”零和構造”が理解できれば占めたものですが。これがやけに難しんですが、イメージだけでも捉える事ができればね。
因みに、「リーマン予想の探求」も非常に読みやすく、万人向けの本でしたが、深リーマン予想というのがネックになり、先には進めませんでした。
目次を見る限り、「リーマン予想の今」にも深リーマンが出てきますが、絶対数学と共に素人には難しいかな。
リーマン予想に関する解釈は、日本人と欧米人とでは微妙に異ってる部分があり、特に日本の数学者が書く著物は、数式や関数式が多すぎるように思います。
一方で、欧米の数学者が書く邦訳本は文章が多く、難解な関数式を文章で解きほぐしてる感があります。故に素人でも、真相の淵を垣間見る事が出来たりもします。
幾ら初心者用に書いたとしても、関数式ばかりでは、誰も寄り付かなくなり、数学に興味を持つ人は地球上からいなくなるでしょうか。
故に、これからは数式で数学を捉えるではなく、文字や言葉で数学を捉える時代に来てると思う。でも、これがとても難しいんですが。
”スマホで数式を”でも書いたが、”スマホでも読めるリーマンの論文”なんかもあってもいいと思う。しかし現実には、関数式や数式をスマホで記述する事は不可能に近い。
かつて、チェビシェフが初等的な考察で素数の謎を記述し、リーマンが解説的な言葉で数論を記述しようとした様に、数学者も現代に即した努力をすべきだとは思うが。
つまり、数学に熱い血(知)を注ぐ事で、数学は生命を育み、息を吹き返し、大きく繁殖&繁栄する筈なんですが。
数学を取り巻く環境を変えるには、こういった先代の超人がやった様に、”初等的な努力”が、今こそ必要なのかもしれない。
それだけ当時の18世紀や19世紀は優秀な人材が数学の分野に集中したんだけど、20世紀の戦争の時代になって、数学は隅に追いやられ物理や化学が台頭してきたってことか。
数学的記述が難しいってのは判るんだけど、その数学的面白さを伝える伝道師がいなくなったら、数学はこの世から消えるのかな。
転んだサンが口酸っぱく言ってるけど、数学的思考は全ての分野に通用するはずだから、ごく自然に地球の隅々にまで浸透する日も近いんじゃないかな。
でもいくら数式記号や関数で理解してると言え、きちんとした日本語で説明できなければ理解してるとは言えない。数学を日本語だけで説明できる数学者が日本には何人入るか?疑問ですが。考えるほどにウツになります。
勿論、数学を数式で表現することは当然なのですが、それはあくまで数式を理解してる人向けで、一般の人たちには全く伝わらない筈です。日本の数学者が日本語を理解してないとは言いませんが、もう少し日本語で表現したらとも思います。
転んだサンが言ってるように、もっと日本語で数学を紹介する専門書が出版されるべきですが、現状はまるで受験用の公式集みたいな参考書です。
欧米の数学の書物を見ても非常に言葉が多いです。割合からすれば半分ほどでしょうか。でも読む側からすればとても助かるんです。言葉があるだけでずっと理解しやすくなる。
日本の数学者も、もっと数学が置かれてる厳しい状況を理解すべきでしょうね。
どうしても日本は受験で扱かれるので、専門書と言っても、参考書っぽくなりますね。
日本の教育はその殆どが高校で止まってますから、数学と言えば数式の羅列で終わってしまいます。
勿論優秀な数学者もいますが、極々一部で競争は殆どないです。教育のシステムを変えない限り、無理なんでしょうか?