象が転んだ

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「猿の惑星」と”大谷絶賛”〜そして平和ボンボンなバカ騒ぎの日本人

2024年11月06日 16時58分22秒 | スポーツドキュメント

 「シャンパンファイト」に寄せられたコメントに”全米が騒いでるのは大谷のパフォーマンスに対してであり、日本人ではない。それも<全米が大絶賛>というのは言い過ぎだ”とあった。
 全くご尤もではある。
 過去に、日本人という種そのものを絶滅させる目的で原爆を投下したアメリカが、日本人の活躍を本気で称賛するだろうか?
 一方で、アメリカ白人が本気で大谷を、いや日本人を絶賛するとでも思ってるのだろうか?
 仮に、そう信じてる日本人がいたら、一から歴史を勉強し直した方がいい。
 もっと言えば、そんな日本人がいるから、原爆が落とされるまで日本の勝利を信じて戦い続けたし、「日ソ戦争」でも書いた様に、無条件降伏を受け入れた実質の終戦後もソ連に侵攻され、更に多くの犠牲を払い、北方領土を失う羽目になった。
 確かに、アメリカもソ連も野蛮で悪どいし、狡猾で計算高くて腹が黒すぎる。ただそれ以上に、日本人は無知すぎるし人が良すぎる。つまり、無知と無学は余計な悲劇を生むだけである。

 そして今、それに近い事が日本列島で起きようとしている。 
 日本シリーズはDENA横浜の下剋上的展開で常勝ソフバンを圧倒し、胸のつかえが降りた人も多いだろう。
 実は私もその1人であるが、日本はこの話題で持ち切りかと思いきや、”ドジャース凱旋パレード”のニュースに主役を奪われた形となっている。
 確かに、メジャーのWシリーズは地上波(フジ)でも流され、多くの日本人が見た事だろう。が、所詮は海の向うの人気が冷え切った、寿命が尽きつつあるオールドボールゲームの優勝決定戦に過ぎない。

 日本シリーズとWシリーズを見比べると明らかだが、野球の質やプレーのレヴェルでは日本の方が確実に上である。MLBが勝ってるのは、(未だに蔓延る)薬物依存のパワーと無駄に多い球団の数くらいだろう。
 前置きが長くなったが、今日は猿のバカ騒ぎと大谷フィーバーについて書きたいと思う。


エサに群がる猿と大谷に群がる日本人

 昨今の日本人による大谷フィーバーと、日本メディアによる”全米が大谷絶賛”との過ぎた報道を見てると、映画「猿の惑星」に登場するエイプ(類人猿)の大騒ぎに似通ってるものを感じる。
 因みに、サルと類人猿の違いだが、サル(monkey)は類人猿(ape)とは区別され、同じ理由でチンパンジーやゴリラ、オランウータン、ボノボもサルではない。つまり、「猿の惑星」ではなく「類人猿の惑星」の方が正解である。
 厳密に言えば、ヒトやチンパンジーではゲノム(遺伝子情報)が異なる訳だが、98.7%は一致してるという。故に遺伝で言えば、チンパンジー・ボノボ⇒ゴリラ⇒オランウータン⇒テナガザルの順でヒトに近いとされる。

 映画「猿の惑星」では、繁殖の旺盛にある類人猿と絶滅の危機にある人類との共存と対立が描かれているが、言葉を理解するシーザー(類人猿)の登場で、そのバランスは大きく崩れていく。
 言い換えれば、”言葉”というものが人類にとって如何に大きな武器となり得てきたのか。かつては類人猿により近かったヒト科の動物がホモサピエンスにまで進化し、文明を構築し、文化を創造するに大きな役割を果たしてきた言葉だが、現代の人類社会を支配するネットの時代にても、大きな影響力を持ち続ける。

 では、言葉を理解すれば、(サルではなく)ヘビでもワニでも人類と対峙できる程までに進化できるのか?
 仮に、言葉を理解する犬や言葉を喋る猫がいて、彼らが組織化し、人類と対峙すれば、人類は征服されるのだろうか?
 2017年の「猿の惑星・グレートウォー」では、最後には雪崩が発生して人類を滅ぼす訳だが、どんな高度な文明を持つ人類と言えど、自然には敵う筈もない。言い換えれば、言葉が生み出した文明や文化とて自然からすれば塵みたいなものに過ぎない。
 つまり、人が思う程に文明や文化は、種の存続には役に立たないのだ。

 アメリカからすれば、言葉(英語)を喋る日本人というのは、サルと言うより類人猿に近いのかもしれない。
 一方で、エサに群がるサルと同様に”全米が大谷を絶賛”とのエサをぶら下げておけば、日本人ならいくらでも群がってくる。 
 かつてアメリカは、真珠湾攻撃の奇襲をアメリカに噛み付いたサルに見立て、そのサルに似た日本人をを種ごと全滅しようと、原爆を投下した。
 そのサルが、いや言葉を喋り、一時は経済大国に成り上がった類人猿に近い日本人が、今やアメリカの地で大谷フィーバーに舞い上がっている。
 しかし、アメリカにとって日本は未だに”猿の惑星”なのである。


正当な評価が出来ない?日本人

 今まで述べた事は、大袈裟な揶揄表現に近いが、かつてアメリカ白人と日本人との種の違いは、ヒトと類人猿(又はサル)の違いの如く思われてきた。
 だが、戦後日本は急成長を成し遂げ、先進国と呼ばれるまでになった。同じホモサピエンスとしてみても、もはや遜色のない生き物だろうか?
 勿論、アメリカ白人にも日本に負けず劣らず、おバカなのか腐る程いる。黒板の字が読めない者、単純な計算ができない者、文章が書けない者、更には、未だにアメリカがNo.1だと信じて疑わない者・・広いアメリカだから色んなバカがいる事だろう。
 特に、トランプ勝利の大統領選を見る限り、アメリカもバカにまで堕ちたと言わざる言えない。

 ただ、インテリ層に限って言えばだが、アメリカ白人と日本人の大きな違いは、物事を正当に評価出来るか?否か?の違いにあると思う。
 例えば、王さんの756本の本塁打世界記録?の時も、当時755本のMLB記録を保持してたハンク・アーロンの選手としての詳細と評価には殆ど触れなかった。
 ただ単に本塁打の本数だけを比較し、”王がアーロンを超えた”との一点張りで、アーロン独自のクロスグリップや新記録達成時の苦悩については全く無視した。また、未だにジョシュ・ギブソンのキャリア通算972本の本塁打には一切触れる事はない。

 更に、野茂がドジャースで大活躍した時も、前年のストライキによるMLBの質と量の低下は話題にはならなかった。一方で、日本のメディアは”NOMO!NOMO!”と英語でまくし立てただけだ。
 イチローの時も、この現象は受け継がれた。当時の世界記録保持者シスラーがベーブルースに次ぐスラッガーだった事も、盗塁王を獲得した走・攻・守揃ったバイプレーヤーだった事も、デビュー当時は投手も兼任した二刀流だった事にも全く触れなかった。
 更には、シスラーの257本のMLB記録は154試合制で達成されたものであり、今の162試合制ならイチローの262本は新記録になり得たか?との疑問も無視された。
 日本のメディアは、只々数字だけを比較し”世界のイチロー”と騒ぎ立てただけだ。が故に当時、シスラーの遺族らが日本のメディアに気分を害したのも頷ける。

 そして、今の”大谷絶賛”の声である。
 数字だけを単純に比較すれば、ルースは二刀流を24歳で終え、投手としても94勝46敗の数字を残した。一方で、今年30歳の大谷は38勝19敗。但し、(今とは違い)とても広い球場で外野を守らされたルースとは異なり、大谷は”守らない”二刀流である。
 それに、今の球場のサイズと飛ぶボールと、それにルールとMLBの質とレベルを考慮すると、ルースの60本は今では160本を超えるだろう。更に、守る二刀流で言えば、ルースよりも前にニグロリーグでは、内野手でローテを回すなど、当り前の様に行われていた。
 しかし、日本のメディアも評論家も全く同じ土俵で数字だけを比較する。それに、ルースの(守る)二刀流から見れば、大谷の(守らない)二刀流は”1.5刀流”と言うべきだ。
 全く”リアル二刀流”とは、お世辞としても言うべきではない。
 

最後に〜「猿の惑星」と日本人

 映画「猿の惑星・グレートウォー」では、コバがシーザーに反発し、自らを痛めつけた人類に復讐を成し遂げ、お叫びを挙げる。まるで、今の日本人が”全米中が大谷に屈した”とでも吠え捲くる様に・・・
 かつて、横綱白鴎が大鵬の優勝回数を抜き去った時、モンゴルのメディアは”日本中が白鵬を絶賛”と叫んだであろうか?いや、イ・スンヨプが韓国で王さんのシーズン本塁打記録の55本を抜き去り、60本を打った時、韓国メディアは”韓国の本塁打王が世界の王を抜き去った”と天狗になったであろうか?
 全く、日本という農耕島民の惑星は”猿の惑星”よりもずっと平和で能天気なのだ。

 仮に、絶滅しつつある人類にサルが打ち勝った時、今までずっとNo.2だった類人猿は、昨今の大谷狂騒曲にバカ騒ぎする日本人の如く、有頂天なまま舞い上がるのだろうか。
 ”全米中が大谷にゾッコン”なんて記事を見てると、太平洋戦争末期の追い詰められた頃の戦時プロパガンダと同じで、どこからこんな大嘘が作れるのだろう。
 少なくとも、アメリカ白人の本音は”大谷絶賛”にはない。勿論リップサービスの部分はあろうが、かつて日本経済でアメリカに追いつこうとした80年代、全米の怒りは在米の日本人に向けられ、”JAP野郎、もう一発原爆を落とす前に日本に帰りやがれ”と言い放ったが、この言葉こそが白人の本心だろう。

 つまり、日本人が思うほど彼らは優しくはないし、礼儀正しくも腹が白くもない。逆に、サルも人が思う程に凶暴でもないし、腹も黒くはない。一方で、凶暴で腹黒いのは人類の方であり、同じ様に、日本人よりもアメリカ白人の方がずっと凶暴なのである。
 そんな凶暴なアメリカ白人が仮にだが”全米中が大谷にゾッコン”と言い放ったとしても、何をどう信じればいいのだろう。逆に、”とっとと消え失せろ、JAP野郎”と言われた方が真の意味で称賛に値するのではないか。
 全盛期のMジョーダンですら、敵地では酷く罵られたし、審判もジョーダンを目の敵にし、”ジョーダン・ルール”なるものを作った。
 ベーブルースも現役中は二刀流で評価された事は一度もなく、外野を守る度に”パートタイマー”と決まった様に野次られた。

 来季以降、大谷が更なる活躍をするのか?または大きく失速するのか?
 少なくとも、大谷フィーバーに酔う日本人は来季以降も”全米中が大谷を大絶賛”する事を期待する。だが、大谷が真の意味でアメリカ白人に認められるのは、”JAP野郎!二刀流なんて高校野球でやってろ”と罵られる時であろうか。
 ルースと肩を並べるとは、つまり、そういう事である。  



2 コメント

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結局は”子供の惑星” (UNICORN)
2024-11-07 08:52:19
戦後日本が
世界の先進国の仲間入りを一応はだが果たし
よく言われたことが”
日本は子供の国”とか”働きアリ”とか散々誂われました。
それは多分、上からの言う事を忠実に聞き、それを何の疑問もなく実行する幼さと純朴さがあるからで、日本人のと言うより子供特有の礼儀正しさや勤勉さもそういう所から来ると思う。

ところで、アメリカの大統領選挙は多くのメディアの予想通り、トランプの圧勝?となったけど、アメリカの若者が不透明な現状維持ではなく、明確な変化を望んだ結果だと思う。
日本だったら、逆にハリスの圧勝だったかもしれない。
つまり、アメリカが変化する為に、敢えて犯罪者に票を投じたアメリカの覚悟と勇気。
アメリカと日本ではこうも違うのだなって、今更ですが考えさせられます。 
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UNICORNさん (象が転んだ)
2024-11-07 14:37:50
子供と大人の違いと言えばそれまでですが
大統領選挙は最初からトランプのペースでしたね。
都心部はほぼハリスでしたが、それ以外は全てトランプが支配した。
アメリカとは言え、大半は田舎ですから、性差別や人種差別よりも、変化や改革を強く望んだ結果でしょうね。
それに、明確な移民対策が決め手となったし、ハリスは混血だから、その点で不利でした。
但し、トランプが吠える”偉大で豊かなアメリカ”は今や現実的には無理の様に思えます。

勿論、トランプ政権になっても大きく変わる事はないでしょうが、前へ一歩踏み出さない限りは何も変わらない。
そういう所は日本人との大きな違いですよね。
コメントいつも参考になります。
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