イラスト変えました。こっちの方が展開に沿いますね。鏡張り部屋ブログのイラストがあまりにも､酷過ぎるので､暇な時に随時更新します。悪しからずです。
男は､女からスマホを奪い取り
妻の声を確認した。
男は妻の声を聞いた。
確かに､妻シルフィーの声だった。
妻と男しか知らない思い出も
彼女はキチンと覚えていた。
男は涙が自然とこぼれた。
老支配人も若い女も
気を利かして､席を外す。
アナタ､一体何してるのよ？
今､どこにいんのよ？
アナタが行方不明になって
半年以上にもなるのよ
もうアナタは死んだと思ってたわ
それに､捜査も打ち切られたし
オレだオレ､分かるだろう
俺はちゃんと生きてる
ただ､今はうまくは言えないが
亡霊小屋みたいな所に閉じ込められて
全く身動き出来ないんだ
娘の声を聞かせてくれ
俺は生きてる､信じてくれ
一寸待ってて､今起こしてくるから
あ､それととても言い難い事だけど
私､アナタが死んだと思って
私再婚したの､アナタも知ってる人
アナタの一番の親友の人と
ラウンダーズか？そうなんだな？
奴がお前を誘惑したんだな？
男は妻に詰め寄った。
いいえ､いえ違うわ。違うのよ
私が誘ったの､彼を
寂しかったの､耐えきれなかったの
経済的にも苦しかったし
それに､アナタ浮気してたでしょ？
てっきり､愛人の元に逃げ込んだものと
勘違いしたのよ
でも､娘達も渋々賛同してくれたわ
下の方は､まだアナタを好いてるけど
男は､頭の中が真っ白になる。
誤解だ､誤解
オレは浮気なんてしてない
レオニーの事を言ってんだろ？
包み隠さずに言うよ
嗚呼､アレは単なる遊び仲間さ
旦那を事故で亡くし､
息子三人を育てるのに
彼女､コールガールをしてたんだ
それで､何度か経済的な援助をしてただけさ
浮気なんかじゃないんだ
わかってくれるよな
男の震える声を聞いて
妻は動揺し､困惑した。
でも､あなたが運転してた車は大破したのよ
しかし､あなたの死体が見つからないの
血痕も跡形も何もなく
あなたは消え去ったのよ
警察だけではアテにならないので
探偵も雇ったわ､
西海岸で超有名な､マーロウっていう人
それでも全く､お手上げだと言われたわ
馬鹿言うな
オレはちゃんと生きてる
オレは傷一つない､元気な身体だ
声を聞いたら分かるだろ
それに､事故なんて起こしちゃいない
妻は､何とか自分を取り戻した
現旦那に目配せをし､気分を落ち着かせる
だったら､半年間あなたは何してたのよ
ずっと､その亡霊小屋に閉じ込められたって訳？
逃げるチャンスは幾らでもあったでしょうに
浮気相手と逃げる為に
一芝居打ったんじゃないの？
”バカ言うんじゃない”
男はふと気付いた
僅か一日の事が半年になってるんだ
昨日の朝は､確かに家にいた。
”夜遅くなる”と妻に言い残して
家を出た筈だ。
残業が終わり､行きつけのバーで
夜遅い食事とバーボンを飲み
自宅へ向かう途中に
このホテル”何とか”という
亡霊小屋に捕まったのだ。
これは､幻想か妄想か､
それとも夢か現実か
いや､悪夢か天国か
ようこそ､我がホテルカリフォルニアへ
🎵素敵な場所でしょ
🎵素敵な人達でしょ
男は気をしっかりと持ち直した
男は自分を持する様に努めた
シルフィー､俺が”今夜は遅くなる”と
言った日を覚えてるか
よく思いだしてくれ
今の俺には､半年ではなく一日の記憶しかないんだ
冷めつつある妻は言い放つ
遅くなるのは､あなたの口癖じゃない
何時も何時も､遅くなると言って､
レオニーの所でいい思いしてたんじゃない？
私ね､毎晩一人で泣いてたの
この一年間ずっとね
この気持ち､アナタには判らないわ
私のこの苦悩の半年間は
あなたの一日の記憶にしか過ぎないのよ
全くいい君だわ
男はテーブルを強くたたいた。
悔しさと哀しさで､胸が一杯になった。
”俺が一体何をした”
心の中で大きく叫んだ。
お願いだシルフィー､俺を助けてくれ
ホントに記憶がないんだ
それに､レオニーとは何の関係もない
オレを信じてくれ
君が再婚した事は許そう
君がそれで幸せなら俺も本望だ
心から祝福するよ
オレはいい旦那でも父親でも無かった
稼ぎは少ないし
家を空ける事も多かった
苦労も面倒も掛けた
ホントに悪いと思ってる
でも､これだけは忘れないでくれ
お前たち家族を
一度たりとも忘れた事はない
妻は再び涙が溢れ出した
勿論､分かってるわ
でも､もうどうしようもないの
あなたも変わったし､私も変わったわ
人は変わらないと生きていけないのよ
あなたが何処かで生きてるのなら
それはそれで､良かったわ
あなたには､あなたの生きる世界が､
私には､私の住む世界がある筈よ
それに､あなたにはあなたの現実が
私には私の現実があるの
つまり､そういう事なのよ
ようこそ､我がホテルカリフォルニアへ
🎵素敵な場所でしょ
🎵素敵な人達でしょ
おはようございます。
”感情という奴は無慈悲である”と､バルザックは幻滅の中で語ってますが。かつて､心の生活が完璧で､魂と魂の結合が完全であった程､説明のつかぬ別れの秘密が含まれてるとも語ってます。
そういう私は一人もんなんで､そこまで人を愛した事も愛された事もないのですが。互いの愛にも多少､休息というものも必要なのかな。
そういう意味では､ビコさんはホントに恵まれてると思いますよ。これからも自分を旦那さんを大事にです。