最近は、NHKSPの新刑事コロンボシリーズに不思議とハマっている。TVドラマだが映画にしていい程の完成度だ。
「騙されたコロンボ」(#51)は、コロンボシリーズの中でも傑作とされている。
人気男性誌のオーナーであるダイアンは、恋人で共同経営者でもあるショーンの浮気癖に嫌気がさし、自分の持ち株を売却してショーンとも別れると宣言。ロンドンへと旅立ったまま、行方不明となる。
コロンボはショーン(イアン・ブキャナン)がダイアン(ディードル・ホール)を殺害し、二人が住む広大な屋敷シャトー内に埋めたと推理。世界中のマスコミも注目する中で捜索を行うが、そこへ何とダイアン本人が姿を現し、コロンボは失意のどん底に堕ちるが・・・
有名雑誌「バチェラーズワールド」の共同経営者ダイアンが仕組んだ失踪劇だったが、実はこれこそが狂言で、名探偵コロンボはすっかり騙されてしまう。
容疑者となったスターカメラマンのショーンは、何度も食らいつくコロンボの鬼気迫る追跡を振り切り、潔白を見事に証明します。
自身満々で憎らしい程のプレイボーイですが、彼も実に賢く用心深く強かです。しかし、最後には妻であり共同経営者でもあるダイアンに裏切られ、頭に血が上ったショーンは女を殺してしまう。
原題は”Columbo Cries Wolf”ですが、邦題の”騙された”というよりは”吠え続ける”とした方が良かったですね。
Columbo Cries Wolf in Beautiful Giris
とにかく、このドラマの設定が雑誌モデル業界をテーマにしてるだけに、スタイルのいい美女?が勢揃いしてます。
特に、彼女たちがコロンボ警部を汚物を見る様に見下し、からかう様は”見た目こそが全て”の当時のアメリカ社会を見てる様で、思わず見入ってしまいました。
でもよく見ると、”ブロンドは七難隠す”ではないですが、アジア系のモデルだけが突出してて他はパッとしない印象でした。個人的には秘書役のレイネルが魅惑的に映りましたがね。
ただ、コロンボが失脚した後半は一気に終息へ向かいます。もう少し前半をシンプルにして、後半に時間を割いても良かったかな。
「パイルD-3の壁」(#9)に似てるとの声が多いですが、コロンボ作品の中では最も長く感じました。
”成功者が保身の為に人を殺す”という、コロンボシリーズに共通するテーマは判っててはいても、ハマってしまいますね。
これもネタバレになりますが、エンディングはとてもシンプルで見事でした。
ダイアンの死体が見つけられず、ショーンには完全なアリバイがある。コロンボは再び降参だと渋い演技をします。そこで帰り際に電話を借り、ダイアンが常に身につけてた筈のブレスレットに”GOTCHA”と送信します。
すると、近くの物置からアラームの音がします。ショーンの顔が痙攣する。
コロンボはこの瞬間をずっと待ってたんですね。内壁を剥がすと、そこにはダイアンの遺体が・・・
コロンボの読み通り、彼女のブレスレットには、”GOTCHA”と表示されてました。
”やったぞ”という意味のエンディングには、コロンボの雄叫び”Cries Wolf”がここまで聞こえそうでした。
ああ、毎晩こんな推理ドラマを見てお酒が飲めたら・・・
Cries Wolfという原題も少しずれてそうで
転んだサン言ってるように
とうとうやったぞでいいんじゃないのか
GOTCHAってガッチャマンのガッチャで
仕留めたとか相手が罠に引っかかったって意味もあるんだけど
結局、最初はコロンボが引っかかり、最後はショーンがハメられた
つまりタイトルはGOTCHAってこと
”とうとう仕留めたぞ”の方が良かったのかな。
ただ、最後のショーンは少し呆気なかったです。前半はコロンボの必死の追跡をあれだけ巧みに逃げ切ったんですから、もう少し何か芸が必要だったとも思いますが。
でもとても面白かったですね。
日本でもコロンボをパクった推理ドラマが沢山ありますが、どれもイマイチですよね。
今シリーズのコロンボは年取っていますが、私の好みはコロンボの若い頃のシリーズのほうでした。ストーリーも前シリーズのほうがしっくりきました。
これは男と女の感受性の差異でもあるかもしれません。
確かに、男受けするドラマであったようにも思えます。
ただ、脚本が良かっただけに、もう少し捻りが欲しかったんですが。個人差もありますね。