昨年の12月に投稿した奴を、今年の29日に更新しました。不足分や映画では語られてなかった部分を補足し、イラストも更新です。
マクドナルドって、創始者のマクドナルド兄弟は有名ですが、単なるハンバーガー屋を株式にし、フランチャイズ化し、マクドナルドを無二の世界のフードチェーンにのし上げた創業者こそが、映画『ファウンダー〜ハンバーガー帝国のヒミツ』の主人公レイ•クロックの物語です。
今はマクドナルドと言っても、あまりピンと来ない人も多いだろうが、当時は空前絶後のフランチャイズチェーンだったんですね。ソフバンの孫氏やユニクロの柳井正氏も彼のビジネスモデルをバイブルにしたそうだ。レイクロックの名言、"お金持ち(とビジネスモデル)は庶民が作る"とは、言い得て妙ですな。
この映画は、20世紀のフランチャイズモデルを非常にわかり易く紹介した、異質なサクセスストーリーとも言えます。この映画のキーワードは、大胆な"手口"と斬新な"アイデア”それと、有能な人材ですね。いや、この隠れた逸材との”出会い”が全てのような気がします。
1940年、カリフォルニア州サンバーナーディーノで、マクドナルド兄弟が始めた店は、元々ドライブインのホットドッグ屋で、それをハンバーガー屋に改装した。スピード•サービス•システムの3つのSを掲げ、セルフサービスや圧倒的な時間短縮(僅か30秒で客に提供)。徹底した簡素化と作業の効率化と工業式の流れ作業等。全てが画期的で、20世紀の最先端を行くものだった。短気だが革新的な兄マックと、頑固だが沈着冷静な弟ディックとのコンビは抜群だった。イラスト左上が弟で、右上が兄です。
それまでのファーストフード店は、セクシーな売り子を用意し、注文をさばくというドライブインスタイルが殆どだったが、時間は掛かるし、注文の間違いも多く、全てが手作業で無駄も多く、非常に効率が悪かった。
50年代、当時マルチミキサーのセールスをしてた、既に50過ぎの、妻にも愛想つかされかけたレイ•クロック。2つの世界大戦と様々な不運と不幸が重なり、職を転々としたが。35歳で多額の借金を抱え込み、独立したマルチミキサーの販売。これまた不運も重なり、悲しいかな、殆ど行き詰りを見せていた。当時はアイスクリーム全盛で、ミルクシェークはお呼びじゃなかったのだ。
その時、彼は親友のアドバイスで、一人のある経理秘書を雇った。ドイツ系移民の娘で、飢え寸前の女性が、彼女の溢れる才気と強運が、レイに幸運を呼び寄せた。因みに、このジューンマルチーノ壌は、後、マクドの財務責任者となり、全米を代表する、初の女性エグゼクティブにまで上り詰める。
そして、運命の1954年、8台ものマルチミキサーを稼働させてた一件の店が、彼の運命を180度変える事になる。神は彼を見放さなかった。"信じる者は救われた"のだ。この店にに入った途端、理想のビジネスモデルを見出す。
彼はマクドナルド兄弟に、店のフランチャイズ化を進言するが。過去、フランチャイズに失敗した苦い経験を持つ兄弟は反対した。レイは、ここにても挫折する。夫婦の仲には亀裂が入った。彼は血眼になり兄弟を説得する。結局、互いに干渉しない事で拡張に合意する。当然、契約はレイに圧倒的に不利なものだったが。これは後で触れる事にします。
ここで、レイクロックは持ち前の斬新な手口を披露する。まず、不動産売買みたいに資産家に声を掛け、資金調達を図るも、経営は全く頓挫した。金はあっても所詮、商売は素人なのです(悲)。
次に、中流層の自営業にオーナーを任せた。1955年4月イリノイ州デスプレーンズに、自ら念願の一号店を作る。オーナーには、元金物商で無職のエドマクラキーに任せた。一年の紆余曲折の末、これが見事に当たる。
家族向けの店舗を展開したクロックの"アイデア"がピタリと当ったのだ。旦那が現場を仕切り、妻が経理を担当する。これこそが家族経営のサクセスモデルとなった。イリノイ州と言えば、ホットドッグの本場でもあるから、家族で楽しめるハンバーガーというのが、とても斬新に映ったのだろうか。
しかし、拡張には成功するが、それでも赤字が続く。銀行からは融資を断られ、夫婦の仲は致命的になった。その上、経営権はマクドナルド兄弟にあるので、本人にも借金が嵩む。大幅な契約の変更を提案するが、頑固な兄が反対する。レイは密かに思った。"やれるもんならやってみろ"。
そんな追い詰められた時、これまた無職のハリーソネンボーンと運命の出会いを迎える。両親を幼くして亡くした彼は、独学で法律を学んだ。ここで、レイは生涯で一番の賭けに出た。ハリーの鋭い洞察力を頼りに、彼の大胆不敵なアドバイスを受入れ、勝負に出た。全てを投げ打ち、莫大な借金を背負い、1000万ドルでフランチャイズ運営会社(マクドナルド•システム)を作り、17億ドルで土地を購入する。この不動産会社こそが後のマクドナルドになるのですが。スンナリとは行きませぬ。
以降、レイ、ハリー、ジューンの3人タッグで、この"新生マグドナルド"は大きく前進する事になる。それと、映画では語られてなかったと思うが、ハリーが、$300/日で極秘に雇った、敏腕の財務コンサルタントのドレイフェスの存在が、非常に大きかったと言われる。どんな時代もカネを生み出すには、投資が必要なのだ。
その上、ハリーの2つ目の戦略が大当りする。土地所有者との賃貸契約を無担保ローンで結び、その抵当権を元に、建物ローンを作った。結果、資産価値は建物に優先され、レイ達はずっと有利になる。レイもハリーも卓越したセールスマンだったから、地主を口説くのは訳なかった。
その後は、全くの追い風になり、地元大手の2つの生命保険会社の融資を受ける事に成功。これは、ドレイフェスでこその芸当だろう。その上、フランチャイズの成長も頭打ちになり、商業スペースは急騰した。これまで、レイクロックを散々裏切ってきた時代も、ここに来て、漸く味方するのだ。
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