写真はモンロー(右)とグレース・ケリー(左)です。
モンローの場合、全身の色気で勝負し、グレースの場合、顔だけで勝負という所でしょうか。身体を張ってる分、モンローの方が性格は良さそうですが、グレースは冷たく感じますね。まるで女神とお人形様の違いの様にも見えます。
後半戦の2話目ですが、これからがモンローの本当の挫折と凋落が始まります。ある意味、このルポルタージュの心臓部ですね。容赦ないコメントが続きますが、ご勘弁をです。
モンローの失墜
特に、アーサー・ミラーとの離婚後の彼女の性癖は乱れ捲り、その様は言葉を表現を超えてしまう。生き様は悍しい程に腐敗し、モンローの跡形すらもない。読んでて一番辟易した。
精神病院に収容されてた頃の有名なエピソードとして、若い学生に自分の性器を見せびらかして楽しんでたという。
彼女の危機を察したディマジオが何度も精神病院から彼女を救い出し、大事を防いだとも言われる。彼はモンローがミラー氏と別れるのを、5年近くも辛抱強く待ち続けていたという。
一方のミラー氏は、彼女との離婚後直ぐに、写真家のインゲ・モラスと結婚してるから、最初からこの離婚は想定内だったのでしょう。事実、あるインタビューで"金髪なら誰でもよかった"と暴露したとか。
それに、堕児の繰り返しであそこはボロボロだったというから、それを知った瞬間、ミラーは即座にこの結婚を後悔したとも言われる。
しかし、モンロー同様にミラーも子供には恵まれなかった。再婚相手の子はダウン症です。まさに、全ては”モンローの呪い”という所でしょうか。
ただ、ミラーももう少し何とかとは思いますが、モンローも自暴自棄になると制御不能の化物みたいに豹変するので、彼も相手にしなかったのでは。良い時は”天使か処女みたいに輝いてる”のにですがね。
ケネディとの黒い交際
またこの頃になると、ケネディ兄弟との派手な交際が話題になる。しかし、これまた相手が悪過ぎた。類は類を呼ぶとはよく言ったもんです。
ケネディの家系は派手な性癖グセで評判だった。ケネディ兄弟にも相当にうんざりだが、奥さんのジャクリーンも男性遍歴では負けてはいなかった。これまた類は類を呼ぶが、ケネディ家で毎晩派手に繰り返される乱交パーティには、闇社会の人間の姿も目立った。
しかし、モンローもその点では全く負けてはいなかった。政界や経済界を含め、次々と闇社会の大物と関係を持つ事で、彼女が更に得体の知れない化物に、急速に劣化していく様子がとても痛々しい。
この狂気じみた一連の乱痴気騒ぎは、70年代アメリカの一人勝ちの超大国の思い上がりとピタリ重なる。つまり、モンローやケネディ一家の問題だけではなかったのだ。
特に晩年の彼女の容貌は、とても30過ぎの女のそれではなく、肌なんてボロボロでグロテスクな悪の彫像の様だったとも。
ある日の事、モンローがスッピンで買物に現れた時、店員は全く気付かなかった。
”そこのオバサン、商品をあまり弄くらないでよ”
”あなた、私を誰だと思ってるの?”
”ただのオバサンでしょ?”
”私は天下のマリリン・モンローよ”
店員は、コールドクリームを塗りまくったモンローの顔を見て仰天したという。
店員は、まるで老婆のようだったと証言してる。
確かに、昨今のハリウッドの人気ブロンド女も、同じ様なもんですが(笑)。
モンローとケリー
丁度同じ時代に、性的アピールを売り物にしたモンローのライヴァルとして、美と純潔を売り物にしたグレース・ケリーがいた。
ケリーは直ぐにモナコ王妃となるも、絶頂期の気品と美貌は急速に途絶えたが、その彼女にモンローは"良いご身分だこと"と皮肉っぽく祝福している。
王妃に成り下がり、ブタみたいに膨れ上がったケリーと、ケネディ兄弟に裏切られ、老婆みたいに萎れたモンローと、どちらが幸せだったのだろうか?
ある意味、好き放題やったモンローの方が微妙に幸せだったかもしれない。
最期に、マフィアとの乱交パーティーに耽る晩年のモンローは、読むのがとても辛かった。"ここまで書くかアンソニー"と叫びたかった。
特にその破廉恥で異質な乱交のシーンを撮影してたカメラマンが、余りにも気分が悪くなり、激怒してそのフィルムを捨てたというのも凄い話ですね。
マフィアとの繋がり、そしてケネディ兄弟との確執に、彼女は急速に溺れていく。
性の歪みにみよるエネルギーは、人間をもいとも簡単に破壊する。こうした底知れぬ欲情のパワーは快楽にもなるし、自らを破壊する狂気にも錯乱にもなる。そして、周りの全てを破壊し尽くす。
葬式は、映画関係者を一切排除して、ディマジオが行ったというが。ここにてもディマジオは大きな勘違いをしていた。
つまり、モンローがハリウッドと揉めた形跡は何処にもないし、寧ろ、ハリウッドは彼女を復帰させようと密かにバックアップしてたのだ。実は、モンローには父親違いの姉がいて、彼女とディマジオで葬儀を仕切ったとも言われている。
結局、モンローにとってディマジオは生きてる間も死んで以降も邪魔な存在だったのだろう。
最後に
それに、ディマジオを取り巻く闇社会の存在がモンローを追い詰めた一面を考慮すると、ディマジオがもう少し大人であったら?教養と知能があったら?と残念に思う。
ある意味、ディマジオとの出会いがモンローの人生に大きな歪みと誤算を与えたとも言えなくもない。
"貴方、もう少し本を読んだら?顔もアソコも馬みたいだわ"
"嗚呼、俺だって本はよく読んださ、漫画本だがね"
ディマジオの文盲は、ヤンキース時代も有名だった。無学男は女を不幸にするとは、何時の時代も同じですね。
という事で今日は、ここまで。
全くですね。最終章で語るつもりですが。彼女は、政治家になりたかったのではと勘ぐってます。あれだけの名声と才気と影響力をもってすれば、かなりいいポストに付けた筈です。
政治に対する知識も才も豊富で、弱者救済の彼女の姿勢は崇高的で神の領域にある程。安倍よりかはずっと良いです(笑)。
一方、アーサーミラーの方は、彼も子供には恵まれなく、再婚相手との娘はダウン症です。モンローと結婚する前に『セールスマンの死』でトニー賞とピュリッツァー賞を受賞し、現代演劇の旗手に躍り出た程だから。彼女にしては、理想の作家であり、理想の亭主ではあった筈です。写真を見るとホントに輝いてる。"ミラーって、私の死んだお父さんと瓜二つなの"と自慢してたという。
彼女も上手くミラー氏を利用し、最盛期だった女優業を断念し、政界へ進出してたら、一気に花開いたかもです。でも、彼女の方から傾斜していく様は、時間軸を止めれたらって。今みたいに人工授精とかもないし。ホント、取巻きが悪過ぎるし、彼女の人生は勿体ないです。
おとなしくしていれば国立大名誉教授として世間の喝采を浴びていられるのに、あえて狂った真似をするところがありました。彼女には。
マリリン・モンローもそうですね。あえて自分を汚さずにはいられなかったのでしょう。
これは、見方に寄れば狂気ですが、また見方によれば、純粋さの顕れとも言えます。
それは、わかる人にしかわからない此の世の蜜かもしれません。
蜂蜜には不純物を混ぜてはいけません。
こうした蜜を見つけ出すのが文学の真の目的かも。
そういう意味では、アーサー・ミラーは偽文学者だったかも。