NHKBSで「阿修羅のごとく」という番組が放送されていた。
向田邦子さんの脚本で、1979年に放送されたホームドラマである。
パッと見はこれといった興味も印象もなかったが、音楽がとても絶妙で、思わず見入ってしまう。
それに、70歳の浮気爺を演じる佐分利信の存在は圧巻で、彼と彼を取り巻く4女の物語は”阿修羅”の如く深く暗い闇に埋没していく。
そんな中、4女の風吹ジュンさんの存在がとても初々しく映った。
風吹ジュンという人
1979年の彼女は、既に27歳である。
当時の清純派アイドルとしては、とっくに峠を過ぎた年齢であった筈だが、その彼女が誘拐・失踪・年齢や職歴偽称など数々のスキャンダルから脱皮し、「蘇る金狼」では大胆な濡れ場を演じ、世間をあっと言わせた。
中学時代に母親から捨てられ、上京して銀座の高級クラブのホステスから成り上がり、奇想天外なアイドル人生を歩んでいた風吹ジュンだが、不思議と彼女に対する印象は薄い。
事実、彼女が芸能界で成功すると思った人は誰一人いなかったろう。また、彼女を妹の様に可愛がってた平尾昌晃ですら”その手の女よ”って見下してたという。
事務所移転のゴタゴタ時には、運良く「寺内貫太郎一家」(1975)の出演が決まり、これは樹木希林との出会いが大きかったようで以降、彼女が死ぬまで二人の親交は続いた。
中途で印象の薄い肉体派女優というイメージしかなかったが、私が彼女に不思議と惚れ込んだのが、「カリスマ」(1999)という映画であった。多分この映画では、森を守る植物学者の役だったと思う。
典型なオツムの弱い女優さんだと思ってたが、いい意味で裏切られた。
「阿修羅のごとく」で魅せた初々しさと「蘇る金狼」で披露した大胆な演技から20年、すっかりオバサンぽくはなってはいたが、清純な魅力は健在である。
つまり、風吹ジュンは女優として生まれ、女優を生きたのだと思う。もっと言えば、彼女ほど女優という職業の似合う女はいない。
殆どの女優は年を取ると唯のオバサンになり果てる。マリリン・モンローもグレース・ケリーも、そして吉永小百合も山口百恵も宮沢りえも、その例外ではなかった。
別にタイプというほどでもないが、風吹ジュンの魅力の本質はその”初々しさ”にある(と思う)。
彼女は大して美人でもなく可愛くもない。ホステス時代もNO1を取れる程の人気もなかった筈だ。しかし、年を食っても失わない初々しさは神様が与えたものかもしれない。
(少し大げさだが)風吹ジュンという女優としての魅力を箒で全て掻き集めれば、どんな美女も敵わないであろうか。そう思わせる不思議な女性でもある。
風吹ジュンと焼きそば
しかし、そんな彼女が夢に出てきたのだから、人間の脳味噌は不可思議な生き物、いや超知的生命体である。
夢の中で私は、彼女と雀卓を囲んでいた。
私はチートイ(七対子)ですぐにリーチをかけ、速攻で上がろうとするから、彼女が不満を漏らす。
”ジュンチャン(純全帯么九)狙ってたのに・・・”
”そんな難しい役ハイよく狙うね。人生とギャンブルはシンプルな方が上手く行く”
彼女は仕事の時間があるからと、私に背を向け、さっさと雀荘を後にする。
”今度オレの部屋に来いよ。そこで雀卓を囲もうじゃないか”
”もう麻雀はやらないわ。それにギャンブルは性に合わないの”
”だったらギャンブル抜きで会おうよ”
”アナタからギャンブルを取ったら何が残るの?無理しないで”
女はそそくさに部屋を出ていった。
私はその後、彼女を3度ほど口説いたと思う。
そして、何とか折れた彼女が私の部屋にやってきた。
女は仕事でとても疲れてたみたいで、私と会う時はいつも素っ気なかった。それに不思議と、何の仕事をしているのか聞く気にもなれなかった。
というのも、水商売というのは明白だったからだ。
女は私の部屋に見とれていた。
細長い廊下状の部屋に沿うようにレイアウトされた、年季を感じさせるキッチンがよほど珍しかったのだろうか。
”もうそろそろ買い替えた方がいいんじゃない?いくらお母さんの形見だからって古すぎやしないかしら”
”ああ、判っちゃいるけど、なかなかその気になれないんだ。それにキッチンとしてはまだまだ立派に機能するし・・・”
私は古びたキッチンで焼きそばを炒め始めた。具は玉ねぎとイカだけで、味付けはとんかつソースのみだった(多分)。
女は私の仕事机の上でボーッとして何かを考えてる風だ。
彼女も私の仕事の事は何にも聞かなかった。いやそれ以上に、そもそも私という人間に興味を抱いてはいない。
こんな曖昧で屈服した状況の中、私は何か突破口を開きたかった。
そこで私は、”カードゲームをやろう”と切り出す。
女は相変わらず冷めている。
”ゲームもギャンブルも必要ないわ。亡くなったお母さんの事をもっと聞かせてよ”
私は切り替えした。
”母の話をするのは好きじゃないんだ。アンタだって自分のお母さんの話はいやだろ?”
女の顔が(一瞬だが)阿修羅に変貌するのが見て取れた。
”これがこの女の本性なのか・・・”
その時、夢から覚めた。
最後に
風吹ジュンが中学生の時に母親から捨てられたのは冒頭でも話したが、彼女は高校へ行きたいと母親に直談判したが、そこでも断られた。
その後、いろんなアルバイトを経て、上京し、銀座のホステスとなり、アイドルへの道が開けた訳だが・・・彼女が少しは裕福な環境に生まれ、そこそこ勉強してたら、かなりエリートな人生が送れたのではないか。
つまり、彼女の初々しさは知能の高さから来ると思う(多分)。
知能の高い人は、その仕草からも言葉使いからもある程度予測は出来る。素人のブログや専門家のコラムを読んでも、どれくらいの学歴があるかは判断できないが、知能の高い低いはある程度は判断できる。
勿論、知能が高いから(それに見合った)充実した人生が送れるとも限らないし、逆も真なりである。
確かに、夢の中に登場した風吹ジュンはとても賢かった様に思う。
恵まれた環境で育ってれば、肉体ではなく頭で勝負できてた筈だ。事実、映画「カリスマ」では学者の役を演じてたが、とてもハマっていた。「蘇る金狼」での淫らなホステス役も大胆な全裸のシーンも嫌いじゃなかったが、前者の彼女の方がとても魅力的に映った。
女性にとって高い知能とは、ただそれだけで魅惑的なのかもしれない。
そう思わせてくれる夢だったように思う。
私も風吹ジュンさんは魅力的と思います。
彼女の頭の良さは生来のものというより苦労からから得られたものが大きいと思います。
清純であり続けるためには人一倍強くないといけません。なぜなら、直ぐに人から感化されるようでは清純を保てないからです。そういう意味では風吹ジュンは強い人だと思います。
風吹ジュンは私よりも10以上も年上ですが、とても若く感じます。夢の中でも同年代の様に感じました。
子供の頃の様々に辛く奇怪な経験が彼女の知力を研ぎ澄ましたんでしょうか。
ただ、女優としての天賦の才能も備えてると思います。それに我がそんなに強くないから、個の強い男優さんとも合わせる事が出来る。
樹木希林はそんな彼女の才能を既に見抜いてたんですね。
樹木希林の聡明さにもアッパレです。
風吹ジュンといい
肉体派が続きますねぇー
これからも
健全?な夢を見続けてくださいな
様々なエロい女性の像(サンプル)が複雑多岐に組み込まれてるんでしょうか。
健全と言えば??ですが、これからもこんな夢のある夢を数多く見たいですね。
コメントどうもです。