象が転んだ

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リーマン予想のと素数の謎”その2”プロローグ(20/7/23更新)〜素数の謎からゼータの謎へ、そしてリーマン予想の謎へ

2019年01月27日 02時14分24秒 | リーマンの謎

 リーマンの謎ブログもお目出度く?”その1”(全12話)を終了し、”その2”の”素数の謎の旅”に出掛けます。
 そこで今日は”その2”に入る前に、プロローグ(序章)という事で、心の準備も兼ねてです。

 
リーマン予想が解けて何になるの?
 
 よくリーマン予想が解けたとしても何が変わるの?って、いう声が多いですね。
 何故?わざわざリーマン予想のブログを立てるの?って。ごく身近な話題の方が楽でいいんじゃないの?って。気持ち痛いほど解るんですが。
 でもね、”リーマンの謎”って人類未踏峰の極地を探検するみたいで、一度その味を占めたら、もうヤミツキになるんですよ。
 難しいのは当り前だから、そういうのはどうでもよくなる。北極探検で寒いというのが理由にならないのと同じね。痛いからボクサーを辞める人がいないように。

 そういう私も、”ゼータの特殊値”の先にある”ベルヌイ数”で一度は頓挫したんだけど、更新を繰り返す事で、ベルヌイの壁を乗り越える事が出来たんです。ホント諦めなくてよかったです。
 その勢いで”(旧)その4”まで進めたんだけど、文字化けや不明な部分や誤解が多く、”その1”に立ち戻り、解析接続の原点に帰ったお陰で、リーマン予想の2つの核である素数とゼータの朧気な輪郭が突然目の前に現れた様な感じもします。
 勿論そんな事は、リーマン予想の序曲にすらならないんですが。

 でもたとえ、リーマン予想が証明されたとしても(多分無理と思う)、私達の生活や環境は何ら変わる事はない。”精密な素数分布が明らかになる”と言っても、哀しいかな、私達の暮らしには全く関係ないのです。
 つまりリーマン予想とは解く事より、その過程を探る事に大きな意義があると思う。ゼータの洞窟を探訪する事で、様々な発見や疑問がが次から次へと噴出する。
 故に、リーマン予想とは終わりなき旅という、リーマンにしか外せない鍵(リーマンズロック)を探す旅ですかね。

 
リーマン予想と素数の謎

 リーマン予想とは誰もが簡単に知り得る恐ろしく単純な予想です。ゼータの零点の実部が1/2上にある”という、誰しもが解けそうだと思わせる”お題”です(笑)。
 故に、リーマン予想に関する本やコラムやブログは腐る程に出回ってます。多分、アインシュタインの相対性理論よりもずっとポピュラーではないでしょうか。
 しかし、リーマン予想とは単なる結果に過ぎず、素数公式(x以下の素数の自明な個数)に至る過程に過ぎないんです。

 リーマンは1859年の論文「与えられた数より小さい素数の個数」で、4つの大きな発明を述べてます。ゼータの第一の解析接続(オイラーの積表示)、第二の解析接続(リーマンの積表示)、ゼータの零点の個数公式、そして明示公式(素数の数に関する強い素数定理=明示公式)です。ウィキには6つの証明とありますが、判りやすく言えばこの4つで十分かもです。
 リーマン予想とは、この4つの偉業の後にオマケ?として追加されたもので、当時は”明示公式”ばかりが注目され、ゼータもこのリーマン予想もあまり注目されてませんでした。
 しかし、ゼータの零点の個数が素数公式と密な関係にある事、つまりゼータの零点が素数の数を誤差なしで記述できる”事に、リーマンは気付いた訳です。ある意味リーマン予想よりも凄い発見だったんですかね。

 ゼータの零点の個数よりも素数の個数が大きな問題であり、謎だったんです。しかし、当時リーマンの最大の発見と言われた、この自明な素数公式(明示公式)も哀しいかな、現在は非自明の”素数定理”に取って代わられてます。
 でも先に述べた様に、リーマン予想が解決できれば、素数の闇と謎が完全な形で解き明かされるんです。それだけでも凄い事なんですが。
 

素数の謎とギリシャ数学

 故に、殆どの人がリーマン予想を解き明かす為に、”素数の個数=素数の謎”から始める。そして、第一の難関である”ユークリッドの背理法”による”素数が無限個ある事の証明”で、まず多くの人が頓挫する。
 実は、今までよく知られてきたこの”背理法”は実は全くの誤解で、素数が無限大である事の証明は、ユークリッドが編み出した”積分解”により実際に素数を作り出すやり方でした。故に多くの人が頓挫するのも当然なんです。
 これは”2の2”でも述べる予定ですが。幾つかの素数を全部掛けて1を足したものを積分解し、一番小さい素数、つまり新しい素数を作り出すやり方です。

 ネタバレですが、素数2から始めると、2+1=3が出て、2×3+1=7が出る。次に、2×3×7+1=43となり、2、3、7、43と4つの素数が作れますね。
 この様な原始的なやり方?で素数を求め続けるんですが。実際に2から開始し、43項目までは1990年代に計算済とされてます。それが44項目の計算が大変で、15年後の2010年に計算され、更に2012年には第48項の75桁の素数が計算され、現在は第51項までの素数が解ってると。「オイラーのゼータ関数、黒川重信著」参照です。

 「ユークリッド言論(紀元前300年頃)という記録に残ってる為、”ユークリッド素数列”とも呼ばれるんですが、こうして見ると積分解の見事さと困難さが同居してますね。 
 つまり、ピタゴラス学派(紀元前500年頃)による素数概念の発明や素数が無限大である事の証明や素因数分解の発見は、私達現代人が思ってる以上に難題なのです。

 この”ユークリッド素数列には全ての素数が現れる”と予想されてますが、未だ未解決の難題です。どうりで、素数の数の謎から入ると、皆頓挫するんですね(笑)。
 故に素数が2500年前に発見されて以来、現代数学に至る数学の発展の原動力を与え続けてると、黒川重信博士は強調されてます。
 このギリシャ数学の偉大な3つの発見は、今に至っても”太古の昔に何故そんな事が証明できたのか?”、闇のままです。この素数の謎が未だにリーマン予想の謎に繋がったままなんですね。 


救世主オイラーの登場

 この”素数の謎”を解き明かしたのが、この”その2”の主役であるオイラーなんです。そして、このオイラーが発見したゼータの起源が、”2の1”で述べるオーレム(仏、1350年頃)やマータバ(印、1400年頃)やニコラス・メルカトル(独、1668年)が発見した級数でした。
 以後、オイラーがこれらの級数の積表示を発見し、オイラー積で素数の謎を解き明かし、オイラー積がゼータ関数になってる事を解き明かし、リーマンにバトンタッチした訳です。
 故に”その2”では、ゼータの起源から素数の謎へ、そしてオイラー積とゼータの謎へと突き進んでいきます。

 しかし、第二の難関である”オイラー積と素数の謎”つまり、”素数がどれだけ無限大にあるのか?”の証明で、これまた多くの人が頓挫するんですが。
 素数の無限大の大きさが何故、素数の逆数の和が無限大である事に繋がるのか?。

 ”2の1”でも述べますが、オーレムの調和級数(全ての自然数の逆数の和が発散)と、ζ(n)=1+1/2ⁿ+1/3ⁿ+•••=2ⁿ/(2ⁿ−1)•3ⁿ/(3ⁿ−1)•5ⁿ/(5ⁿ−1)•••である”オイラー積”を比較すると、素数が無限に存在する事が証明できます。
 これは仮に素数が有限個なら、オイラー積も有限個の積となり、ζ(1)も有限となり、オーレムが発見したζ(1)=∞に矛盾するからです。故に、素数は無限に存在するんですが。

 しかし、オイラーの偉大さはこれに留まらず、素数の個数がどれだけ大きい無限大か?をも証明した事です。
 そして、”新たな素数の存在”を導き出した。つまりこの証明は”背理法”というより、”直接構成法”であると、小山信也博士は語る。 
 お陰で、このオイラー積と素数の謎がガッチリと結びつき、同時にゼータの発見に繋がり、リーマンに受け継がれるんですが。


最後に〜闇に葬られた予想

 という訳で、リーマンがこの1859年の論文の中で、直接の研究の対象にはなり得ないし、”粗雑な計算式”として素数公式に至る複雑な計算メモを公表しなかった事は、後の世界中の数学者たちをどんなに悔しがらせた事でしょうか。
 でもリーマンにしてみれば、どうせ誰かが直ぐに解き明かすだろうと、高を括ってたのかもです。しかし、未だに第二のリーマンは現れてはいません。

 これこそが闇に葬られた、リーマン予想に向かう果てしない謎ですね。この先が見えない旅こそが男のロマンを誘うんです。 
 自殺願望の強い私も、リーマンの旅に出てる時は生命力が溢れまくってんですが。現実世界に引き戻されると悲しくなりますね。リーマンが生前嘆いてた様に、物質世界と精神世界とは交わる事がないんですよ。

 そういう事で、長々と愚痴っぽくなりましたが、”その2”のプロローグを終りにします。



6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
馬鹿オイラ〜には、オイラーは理解不能 (肱雲)
2019-01-27 04:16:33
転象さんの似顔絵は上手く描けているけど、スケベには見えないね。真面目なオッチャンにしか見えない!
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肱雲さん、今にちわです (lemonwater2017)
2019-01-27 11:40:50
4ヶ月ぶりに更新したんですが。結構忘れてる事が多くて、でもリーマン予想に関する本が沢山出回ってるんで、助かるんですが。

このリーマンブログは、一つの物語と捉えると理解しやすいかなです。
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いよいよシーズン2の始まり (paulkuroneko)
2019-01-27 12:56:35
イラストよく描けてます。私も描いてもらおうかな。

その2に入る前のプロローグにしては、凄く充実してると思います。転んだサンもこうやって更新を繰り返す事で、ゼータへの理解を深めていったんですね。

数学というものは、自分への自問自答から始まるんです。それが数学そのものへの自問自答へと繋がるのでしょうか。

でもギリシャ時代の数学のレヴェルって半端じゃなかったんですね。エジプトのピラミッドよりもずっとずっと神秘です。それに比べたら、現代数学は少し停滞してますか。

世の中が便利になりすぎて、難しい事は後回し的な時代になってますが。それこそが人類の本当の危機かもしれません。
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Re:いよいよシーズン2の始まり (lemonwater2017)
2019-01-28 02:03:54
paulさん返事遅れました。

ギリシャ時代の数学って、凄いですな。2500年前に既に、これ程のレヴェルにあったのかと思うと、数学って当時はエリート中のエリートの学問だったんですかね。

世の中が便利になり、難しい事が後回しになり、人は脆く軟弱に貧相になりました。追い詰められたら、思考を重ねたり深めたりする事なく、安直な核という絶対の暴力に頼るようになりました。

人類の欲望の謎を解き明かさない限りは、醜い争いはなくならないでしょうね。
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2500年前から何も変わってないって事 (肱雲)
2019-01-28 12:29:32
エロい欲望変数は、大昔から何の進化も遂げず、何も変わってないっ事かな。自慰行為に明け暮れる歴史が続いてるだけ。システナ礼拝堂の「アテナの学堂」に描かれてるワンシーンが、それを証明してよ。ヒントは、階段で横たわってるヤツがやってる事を、よく見て御覧あれ。アレやってるんだから、ラファエロもかなりのドスケベやったんやね~。オイラは、これ見る度に一安心するワ~。
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肱雲さん、いいとこついてます (lemonwater2017)
2019-01-28 13:49:18
流石ですね。

自慰と数学はとても類似してます。どちらもイメージが大切なんですね。

”数学とヱロ”とでブログ立てようと思った所でした。
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