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22億年前に「メタン」放出で起きた「超温暖化」とは何か?

2010年07月31日 | 地球温暖化
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 スノーボールアース仮説
 人類の歴史はたかだか5000年、それに対して地球の歴史は4600000000年(46億年)。何と92万倍も違う。その間地球は、何度も温暖化や寒冷化、大量絶滅を繰り返してきた。最近では、65000万年前の恐竜絶滅が有名だ。この時には巨大隕石が地球に衝突し、そのとき地球を覆った、エアロゾルのために寒冷化してという。

 そして、現在地球は、温暖化に見舞われている。しかし、その原因については、温室効果ガス説以外にも、太陽の黒点周期説、温暖化周期説、フォトンベルト説など多数あり、どれか一つに限定するのは難しくなってきている。

 さて、地球の過去の歴史の中で、約22億年前と約6億年前の2回、地球全体が寒冷化し、全体が氷で覆われた時代があったという。このことを何というか?

 正解は「スノーボールアース仮説(全球凍結)」である。さて、最近この仮説に新しい説が加わった。それは、スノーボールだった地球が、もとに戻るとき、メタンが大量に発生し、その温室効果によって温暖化したという「超温暖化」が起きたのではないかと言う考えだ。

 超温暖化する地球
 22億年前に地球全体が氷で覆われていた「スノーボールアース(全球凍結)」の時代の後、海中などにあったメタンハイドレートが大量に分解、中に含まれる温室効果ガスのメタンが大気中に放出され、気温が100度上昇する「超温暖化」が起きた可能性が高いとする研究成果を、田近英一東京大准教授らが26日発表した。

 田近准教授らによると、23億~22億年前は地球表面の平均温度は氷点下40度。その後気温が上がり、酸素濃度も急上昇し、その後の生物進化につながったとされている。その変化がどのように起きたかは不明だった。

 田近准教授らは、米国とカナダの国境にある22億年前前後の地層を調査。岩石中の炭素の同位体を分析すると、この時期に軽い炭素が急激に増えていた。ほかの元素の量などから、平均気温は60度になったと推定した。

 メタンハイドレートは軽い炭素を取り込んでいる場合が多い。こうした特徴から、この時期の変化は、蓄積していたメタンハイドレートが分解、メタンが大気中に放出されたことによって起きたと考えるのが合理的という。こうした温暖化により、雨で岩石中のリン酸などが溶け出して海に流れ込み、それを取り込んで光合成をする生物が繁殖、酸素濃度の上昇につながったと考えられるとしている。(毎日新聞 2010年7月27日)

 なぜ、全球凍結は起きたか?
 しかし、このスノーボールアース仮説には疑問点がある。それは、なぜ地球が凍結したか?そして、凍結した地球がなぜもとに戻ったか?という説明が、原因を温室効果ガスだけにゆだねていることである。

 まず地球が寒冷化するのに、大量の二酸化炭素が地殻に固定され、大気中の二酸化炭素量が低下した。

 次に、温室効果の減少により地球全体の寒冷化が始まり、極地から次第に氷床が発達していった。氷床が太陽光を反射したため一層の寒冷化を招いた。一度加速した寒冷化は止まらず、最終的に約1,000mにも及ぶ氷床が全地球を覆うようになり、スノーボールアースに至った。この状態は数億年~数千万年続いたとみられる。

 なぜ、温暖化は起きたか?
 凍結しなかった深海底や火山周辺の地熱地帯では、わずかながら生命活動が維持されていた。凍結中も火山活動による二酸化炭素の供給は続けられており、大気中の二酸化炭素濃度が高まっていった。地表が凍結している間は岩石の風化も凍結状態だった。

 大気中の二酸化炭素濃度が一定比率に達すると気温が上昇し、一気に氷床の解凍が始まった。短く見積もった場合には数百年単位で極地以外の氷床が消滅して、大気温は約40℃まで上昇したと推定されている。温暖化した気候の影響により大規模な嵐や台風が頻発するようになり、岩石の風化が促進され、大量の金属イオンが海に供給された。また長年堆積していた海の沈殿物が嵐により撹拌され、沈殿物が海の表層部に舞い上がった。

 大気中の高濃度の二酸化炭素は海中に溶け込み、一部は上記金属イオンと結合して大量の炭酸塩岩を海底に沈殿させた。

 海の表層部に舞い上がった大量の沈殿物や陸地から供給される栄養塩類が光合成単細胞生物に利用され、光合成を激しく促した。またスノーボールアース以前の光合成生物の酸素放出速度より遥かに速いスピードで酸素が放出されたため、大量の酸素が地球に蓄積していった。この酸素のおかげで、さまざまな動物の多様化(カンブリア爆発)が進んだという。(Wikipedia)

 スノーボールアースの証拠
 当時地球が氷結したことを示唆する地質学的証拠が多数確認されている。

 南極以外の世界各地でこの時代の氷河堆積物が見つかっている。この中には古地磁気分析で当時赤道周辺であったと推定される場所も含まれる。

 氷河堆積物の直上に厚い炭酸塩岩層(キャップカーボネイト)が発見されることが多い。これは寒冷化終結と同時に二酸化炭素の固定化が開始したことを意味する。アフリカ南部のナミビアなどで発見された例では、炭酸塩岩が非常に急速に沈殿したことが判明している。

 縞状鉄鉱床の存在。縞状鉄鉱床は約20億年前の無酸素状態の海中に溶解していた鉄イオンが、シアノバクテリアなどの光合成による酸素と反応し、酸化鉄となって大量に沈殿した鉄鉱床。この種の鉱床の形成は酸素が十分に増えた19億年前に終了していた。

 この縞状鉄鉱床が世界各国の7億年前の氷河堆積物中からも見つかっている。当時の海洋が厚い氷床により大気と分断され生命活動も低下した結果、海水の酸素がなくなって20億年前の状態に戻ったことを示唆している。

 炭素同位体分析によると、この期間全地球的に生物による光合成が殆ど停止している。(Wikipedia)

 スノーボールアースの疑問点
 このように、スノーボールアースの証拠は多数あり、たしかに起きたようである。今回、田近英一東京大准教授らは、22億年前に地球全体が氷で覆われていた「スノーボールアース」の時代の後、海中などにあったメタンハイドレートが大量に分解、中に含まれる温室効果ガスのメタンが大気中に放出され、気温が100度上昇する「超温暖化」が起きたと発表。

 温室効果ガスに、メタンが加わったわけだが、それだけで「スノーボールアース化」や「超温暖化」は起きるのであろうか?疑問点は残る。

 地球は過去数百万年を調べてみても、4万年から10万年の周期で多くの氷期が起きている。そのすべてが温室効果ガスが原因である...とするのには無理がある。

 やはり、温室効果ガス以外に、太陽活動、巨大隕石衝突、ガンマ線バーストやフォトンベルト、ミランコビッチサイクル...などさまざまな要因が関係していると考えた方が自然ではないだろうか? 

 

参考HP Wikipedia「スノーボールアース」「氷河期」「ミランコビッチサイクル」「フォトンベルト」他 

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