ウロコのつぶやき

昭和生まれの深海魚が海の底からお送りします。

F1言わんこっちゃない日本GP

2007-10-03 13:37:32 | F1
正直、どこからつっこんでいいかわからない。

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私がなんでトヨタに対して良い顔をしないのかと言いますと。
F1参戦当初からずっと感じてた違和感があるからなんですね。
なんていうか、レース屋ではなく広告屋がレースをやっているという感覚。
もちろん、現在のF1は走る広告塔であるという側面もあるんですが、トヨタのやってることはそれとも違う。

広告屋はニュースが好きです。単純にCMを流すより、「現実」の出来事に連動させてキャンペーンを張る方が効果的。ちょっと目端の利く広告屋なら、「コレは宣伝に使える!」というネタがあれば即座に飛び着きます。
それが世界のトヨタ様(※ここで「様」を付けるのは皮肉です。以下同)ともなると、自らネタを作るために動くらしい。お金が余ってるっていいことですね(皮肉)。

「F1を使って広告をする」というと普通は
・車体やレーシングスーツにロゴを入れる。
・ドライバーをCMなどに起用する。
・レースで結果を出すことで、技術の高さをアピールする。
 …という辺りを考えると思うんですが、トヨタだけはどうも「キャンペーンのネタをつくる」ためにレースをやっているように見える。
やることがちぐはぐなんですよね。
他チームが決勝を睨んで予選の戦略を立てているのに、トヨタだけは「予選○位獲得!」というネタでキャンペーンをやるために予選で無茶して決勝で自滅するとか。
F1以外のカテゴリーでも、強引なやり方で結果を出させて「○位になりました!」キャンペーンを繰り広げてはとっとと逃げる、を繰り返してるし。お陰でアメリカのCARTなんぞはペンペン草も生えない有様になってしまったし。

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そんなトヨタ様の経営する富士スピードウェイでの日本GP。
嫌な予感はしてました。

「交通インフラが貧弱」「雨天が多く霧も発生しやすい」など、もともとF1開催には無理があると言われていた富士(だから30年前に2回こっきりで終わったのに)。
鈴鹿でやっていれば大きな問題もなかったものを、強引に富士に持って来る必然性など誰も感じていませんでした。
世界のトヨタ様を覗いては。
そりゃ、自前のサーキットでF1が開催できれば、これほど美味しいキャンペーンのネタはないでしょうからねえ…。

他チームの応援席を廃止してトヨタの応援席だけを大々的に設置したり、一般客の持ち込む応援フラッグやバナーは禁止したり撤去させておいてトヨタだけはオフィシャルの持ち込んだ大応援旗をカメラの前で意気揚々と広げて見せたり。
…というのを見て、多分これがトヨタ様の一番やりたかったことなんだろうなあと思いました。
(その他、日頃F1なんて見てなさそうなタレントに「トヨタのトゥルーリ選手のファンです~」とか言わせてみるとかそういうことも含む)

よく考えたらこれ、逆にみじめな話だと思うんですけどね。
鈴鹿やモンツァでこんなことをやる必要はないですもん。
何もしなくても、お客さんがホンダやフェラーリを勝手に応援してくれる(もちろんメルセデスやルノーやその他も有りで、みんな自由に好きなチーム&ドライバーを応援している)。
オフィシャルが強権を発動して仕切らなきゃならないって、どんだけ不人気なチームなんだよと却って物悲しくなったりしないんでしょうか。

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そんなことばっかりに気を取られてるようなオフィシャルなので、レースの仕切りはこんな有様でした。

富士スピードウェイ:コース見えず、トイレやバスは大渋滞 30年ぶりF1に課題
http://mainichi.jp/enta/car/graph/20071001/

あんな山の中で何万人も集めてイベントやって、予定通りにことが運ぶと思う方がおかしい。
高い確率で雨が降る事は分かってた訳だし。
ていうか、「予想外」はこっちの台詞だわ。まさか、大型バスがガンガン通る予定の場所を簡易舗装で済ませてるなんて。走るマシンが見えないような指定席作ってたなんて、幾らなんでもそこまでアホとは流石に思いませんでした。

でもまあ、そこら辺に関しては、私は直接被害を受けた立場じゃないから置いとくとして。

TVで見ていた立場として、最も頭に来てるのはコレです。

ヘリコプターが飛ばなければF1カーは走れないはずだが?
http://www.f1-live.com/f1/jp/headlines/news/detail/070930044455.shtml

雨が降ってもレースは行われますが(程度にもよりますが)、霧が出れば中止されます。
視界が悪い状態でのレース自体が危険なのはもちろんですが、万が一のことが起きたとき、負傷者を緊急輸送する医療ヘリが飛べないことがその理由です。

そりゃ、レースができなければTV番組も成り立たないし、雨の中苦労して見に行ったお客さんはがっかりするでしょう。
それでも、本来ならばレースはやってはいけない。ドライバーの命に関わることだから。
今回は運良く、ヘリを飛ばさなければならないような重大な事故はありませんでした。
でもだからってOKだった訳じゃないでしょう。
仮に大きな事故があったとき、迅速かつ的確な対応が出来たかどうかは甚だ疑問です。

***

結論。
私たちが見たいのは、レースであって広告ではない。
キャンペーン活動はどっかよそでやって下さい。取り返しのつかないことが起きた後では遅過ぎる(もう既に起きてるような気もする)。

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で。肝心のレースの中身ですが。前置きが長過ぎで疲れたので箇条書きで簡単に。

・フェラーリの主な敗因が、スタート前のメール連絡ミスっていうのが切な過ぎます。これ、フェラーリ陣営の落ち度ではない気がするんですが…救済措置はないの?いつもはあんだけフェラーリびいきのFIAなのに。
・琢磨はいきなり燃えたりして大変だった中よく頑張ってたと思います。バトンも良い所行ってたのに惜しかった。
・ここ最近の、ハミルトンの言動に引いてるのって私だけですか?いくら才能あっても態度があれじゃあ…と思うんですが。相対的にアロンソへの好感度がアップしつつある今日この頃。
・ていうかアロンソってミナルディからデビューしてたんですね。F1から離れてた頃だから知らなかった。やっぱり、下位チームで苦労しながらがんばった結果トップチームに抜擢されるようなドライバーの方が本物っぽい気がするなあ。逆にトップチームでデビューしていきなり好成績を収めるタイプって、移籍して見たら案外大したことなかったりすることが多いし。

ミナルディって、「どっから見つけて来たんだ?」と思われるようなドライバーがよく走ってましたよね。それが案外出世したりするんで一目置かれてたような。
個人的にはマルク・ジェネとガストン・マッツァカーネのコンビが忘れられません。あらゆる意味で濃かった。惜しいチームをなくしました。

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