ウロコのつぶやき

昭和生まれの深海魚が海の底からお送りします。

響鬼の設定って。

2005-02-16 23:57:19 | 特撮
仮面ライダー響鬼です。未だにどうしても「きょうき」と読みたくなるんですが、正しくは「ひびき」だそうでございます。
……で。平成ライダーももうここ2年御無沙汰だったし、ここらでもう一花咲かせたい所ではあったんですよね、実は。造型やらの見た目的には全然OK。寧ろすごく好みの部類。さすが悪魔絵師様のデザインです。メガテンやったことないけど。
しかしこう、やたら細かい設定資料を読んでる内に、かなりこう、微妙~~な気分になって来ました。

……ああ、めんどくさい。
個人的に、『鬼』というものに対してかなり思い入れがあるんですよ、私は。故に、このネタへのこだわりを語り始めると長くてめんどくさくなりそうなのです。
そんでもって、見てもいない番組にケチ付けるためにそんな面倒なネタをわざわざ書くのって我ながらどうよ、とも思いますしね。
……でもなんだか、コレを書いておかないと私はこの番組が見れないような気がする(そもそも三週連続きっちり寝過ごしてるという事実はこの際おいといて)。……ので一応書いてみます。
まあ、書いた後で一回現物を見てみれば、そこでまた違う感想も出て来るでしょうしね。

という訳で、以下マニアックなツッコミというが愚痴につき読み飛ばし推奨。

***

1)鬼とは何か
……一口に『鬼』と言っても色々ある訳ですよ。詳しくは馬場あき子の『鬼の研究』か小松和彦の『鬼がつくった国・日本』を読んで頂きたいんですが。
私としては、ごく大雑把に言って“得体の知れないもの、そして得体の知れない『人』。中央権力に取って思うようにならない者たちが、人々の想像力の中で異形の存在として認識されて行った”……というくらいで解釈してます。
特に最後の、権力者たちの支配の範疇からはみ出した人々、というのは重要なポイントです。小松先生は彼らを『まつろわぬ者たち』と呼んでます。
……なんていうかね、響鬼の設定で、「これが鬼と呼ばれた者たちの正体なんだ!」……と断言されるとこう、微妙な気分になるんですよ。これが「鬼と呼ばれた者たちの中には、こういう者たちもいた」ならまだ分かるんですが。

2)『童子』=『鬼』
……どういう意図なのか謎なのです。『鬼』であるヒーロー、響鬼たちに対して、敵キャラとして『童子』と言う者たちが出て来る。
いくらなんでも大江山の鬼こと酒呑童子を知らない訳はないと思うので。
ちなみに、酒呑童子の部下たちも大抵「○○童子」を名乗っています。
【解説:子供だからということではなくて、当時の子供のヘアスタイル(=童形)をしてたからなんだそうです。つまり、当時の大人の社会からはみ出した人たち、ということなんですね。社会からはみ出して盗賊などを働いてたのが大江山の鬼たちの正体だったということのようです】
つまり、童子=童形であることはイコール『鬼と呼ばれる者』の目印のようなものだった訳で、それを「鬼」であるヒーローの敵に持って来るという、この番組の製作者の人の意図は一体何なんでしょうね。
これで敢えて『同族殺し』を宿命に背負うヒーローにするなら自分的にOK、いや寧ろ大好物なパターンですが、逆に『正義の鬼』と『悪の童子』で完全別物扱いされちゃったら……気持ち悪いなあ、と思います。

3)『鬼』とは『まつろわぬ者たち』である
1)にも書いたことですが、鬼の鬼たる由縁は、権力者たちの支配構造の外にあるということだと思うんですよね。
昔の日本は土地=田んぼ=コメが社会の基盤にあって、コメを作る農民たちと、彼らを支配する支配階級が社会構造の主体になっていた。これに対して、漁民、宗教者、芸能者、山師や鍛冶集団、その他農民でない人々は社会の構造から微妙にはみ出ていて、鬼や物の怪と近しい関係にあると思われていたようです。
彼らは生活の基盤である田んぼを持たない代わりに、土地へ縛られることもないため、自由に諸国を行き来して情報を得ることが出来ます。支配階級の庇護が得られない代わりに支配されることもないため、ある種の自由はあるという特殊な状態。故に時の権力者に対しても、服従ではなく対等の立場で時に対立し、時に協力するという立場を取ることが出来る訳です。
故に彼らの精神には、どこか中央権力に対して向こうを張るような部分があると思うんですけどね……。
……こんな『鬼』をヒーローとして扱う。できないことはないと思います。
かなりダークヒーロー的、アウトロー的なヒーローになると思いますけど。
……だけど、何なの、NGOって。なんていうか、権力に飼い馴らされてしまったら、それはもう『鬼』ではない、と個人的には思うんですけどね。

***

以上、マニアネタ終了。

やっぱりプロデューサーと肌が合わないのかなあ、と思うのは、ここら辺どうしてもクウガを思い出してしまうからでしょうか。
クウガもね……話全体の構造もアレだったんですが、あの中途半端な超古代ネタも苦手な原因でした。
困った事に私、超古代ネタも一時期ハマってたもので、アラが見えて仕方ないったらなかったですよ。

如何にも現代日本人がカタカナ使って発想したようなグロンギ語とか。
如何にもオタクが喜びそうな、なんかアニメっぽいセンスのグロンギ族ファッションとか。

……自分、『子供向け番組』を見る事自体にはさほど恥ずかしさは感じないみたいです。子供に誠実に向き合って、子供にも分かるように分かりやすく簡潔にものを作るのって、下手な大人向けよりもよっぽど大変なことだと思うので。
しかしですね。子供騙しに毛が生えた程度の(ちょっと擦ればメッキが剥がれるような)「リアルさ」を、「これは大人向けの高尚な作品なんだ!」と言わんばかりに喧伝する制作側や一部のファンを見てると、なんていうか、いたたまれない気分になるんですよ。恥ずかしくて。

第一、その細かい設定、本当にそのストーリーに必要なものなの?
ストーリーを動かすための最低限のガジェットさえあればいいんじゃないの?
その無駄に細かい設定出す前に、考えるべきことが他にあるんじゃないの?

……ダメですねえ。
あんまり感情的になるのはみっともないからやめようと思いつつ、ついムキになってしまった。

しかしですね、こういうネタには案外、井上白倉コンビが向いてるかもなんて思うんですよ。
思いっきりダークでアウトローなヒーローが出来そうで。どっちかというとそっちを見てみたいんですが。

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