<OPEC>国際的な原油下落 27日総会の焦点は「減産」
2014年11月24日(月)21:33
【ロンドン坂井隆之】国際的な原油価格の下落が続く中、27日にウィーンで開かれる石油輸出国機構(OPEC)の総会に注目が集まっている。世界の原油生産量の約3分の1を占めるOPEC加盟国が、価格下支えのため減産に踏み切るとの観測が増しているためだ。ただし、経済力の違いなどから加盟国の足並みはそろっておらず、関係者の言動に市場関係者は神経をとがらせている。
「現在の価格は低すぎる。不安定な市場は誰の利益にもならない」。南米ベネズエラのラミレス外相は11月中旬、イランの通信社の取材に対し、OPECが結束して価格安定を図るよう呼びかけた。
原油の国際的価格指標である北海ブレントは、6月の1バレル=115ドルから80ドルまで3割も急低下し、米国産原油の指標であるWTIも70ドル台に低迷している。日中欧の景気減速で、年初の予測に比べ需要が伸び悩んでいる上、「シェール革命」で大量の原油採掘が可能となった米国で生産が増え続けているのが原因だ。
国内経済が不安定で財政も脆弱(ぜいじゃく)なベネズエラ、ナイジェリア、イランなどは、原油が100ドルを大きく下回る水準が続けば財政危機に陥る恐れもあり、水面下で減産を各国に働きかけている模様だ。市場では当初、生産目標を現状(日量3000万バレル)に据え置くとの見方が優勢だったが、「何らかの価格支持策が取られる」との観測がじわじわと高まりつつある状況だ。
ただ、富裕な湾岸諸国のグループからは、減産に消極的な発言も出ている。特に世界最大の産油国としてOPECの生産調整役を長年担ってきたサウジアラビアは、12日にヌアイミ石油鉱物資源相が「価格を決めるのは市場だ」と発言するなど、静観姿勢を崩していない。
背景には、現在の価格が続けば、湾岸諸国に比べ生産コストが高い米国のシェールオイル業者が音を上げるとの計算がある。OPECのバドリ事務局長は6日の会見で、「高コストの開発事業が停止されて生産が減り、来年後半までには価格は反発する」との見方を示した。
また、サウジ側には、過去にたびたび減産の約束をほごにしてきたイランやベネズエラへの不信感も強い。BNPパリバ商品市場戦略担当のチリングリアン氏は「サウジは自分たちだけが減産を負わされるのを警戒し、(減産に協力せずに価格上昇の恩恵を受けようとする)他国のただ乗りを防ぐための我慢比べをやっている」と指摘する。
米ブルームバーグが先週行ったアナリストへの調査は減産と据え置きがちょうど同数で、市場の見方はかつてないほど真っ二つに分かれている。チリングリアン氏は「価格の下落懸念の払拭(ふっしょく)には日量100万~150万バレルの減産が必要」と指摘。いずれの結果にしても会議後、大きく価格が動くと予想している。