先日も書きましたが、ブログのアクセス解析をみると今年に入ってから「地下タンク」関連のキーワードがとても多いのです。
恐らく皆さん、この件に関して少しでも情報を知りたいのだと思います。
法が実施されたとはいえ、いつものように我々中小零細の三者店は「蚊帳の外」で、それぞれの工事がどのようなものなのか等、個別にはどこからも詳しい説明はして貰っていないからです。
特約店や組合が冊子を作成して配布なりしてくれれば助かるのですが・・・
そんな事を考えながら書いた12日の記事に、オヤジさんからコメントを頂きました。
そして、何と!
私が(恐らく同業者の皆さんも)一番知りたかった工事の内容や、その長所と短所をとても分かり易く纏めて下さっていたのです。
オヤジさん、本当にありがとうございます!!m(_ _)m
同業者の皆さんにも教えてあげたいので、オヤジさんからのコメントを以下に掲載させて頂きます。
・・・
良く私も「高精度液面計に何百万も出して、1週間後に漏れたらどうするんだ!」という類のことを言われます、しかし極端な話、1週間後に漏れたとしても、十分設置に意味は有るのです。
各方法の方法と長所短所を書いておきます。
①電気防食 各配管を絶縁フランジで電気的に絶縁し、タンク本体に直流電流を流す事により、腐食の進行を止める。
長所→タンク板材の状態が良ければかなりの効果が期待できる。
短所→古い構造のタンクだと配管絶縁を行うために、タンクスラブを大きく壊す必要があり、金額が一番掛ることが多い。又元々穴が開き掛けていたり、穴を何かが塞いでいたような場合には効果は無い。(状態が確認出来ない)
②FRPライニング
タンク人間が入り、内面を磨き状態を確認してからFRPを塗って補強する。
長所→唯一タンクを補強する方法で規定内の「穴」(大きさ、密度)であれば補強も認められる。
短所→人間の「侵入口」が無いスタンド用タンクだと侵入口を設置するところから開始しやや費用が掛る。又土台となる「タンク本体」は外面から腐食が進むので「半永久」では無い、工事中に規定以上の「穴」が見つかった場合、そのタンクは使用できなくなるが、その時点で大部分の工事は終わっており、そこまでの費用は掛る。
③高精度液面計 直径0.3mmの穴から漏れだす油を検知できる精度の液面計により漏れを監視する。
長所→場合によるが大体において、10年使用した場合費用が安く、営業しながら設置が可能。漏洩を自動的に検知出来る唯一の方法。
短所→「検査モード」に意図して入れないユーザーが居た場合、発見できない可能性がある。24時間営業でタンクを「全く休みなく出し入れ」している場合も同様。
④SIR 毎日の「始業時残」「入庫量」「出庫量」「終業時残」を統計会社のサーバーに送り(入力)漏洩の可能性の有る変化を知らせてくれる。
長所→初期投資が安いので(検査費用位)「いつでも辞める」「1年~2年程度しか使用しない」場合は有利。
短所→黒本等の運用で慣れたユーザーなどが「異変」を察知した場合、「使用できなくなっては困る」と手心を加えた数字を入力し、漏洩被害が広がる可能性がある。(地域消防に運用を委ねるとは、この事実を知っているということ、実際私の周りで数市の消防本部が「認めない」と表明している)
10年フルに運用した場合、月々の使用料金の合計は結構莫大な金額になる。
①電気防食は腐食の進行を止める。
②FRPライニングはタンクを補強する。
③高精度液面計は漏洩を機械的に監視する。
④SIRは漏洩を統計学的に監視する。
という、それぞれの考え方で、①②は「漏洩の可能性が特に高いタンク」、③④は「漏洩の可能性の高いタンク」に対応、①②のいずれかと③を組み合わせれば、「液相部検査が免除」(2重殻タンクと同等)という特典も有ります。
近年は不況で古いタンクを無理に使って、又金額の安さから、安い検査業者でいい加減な検査をして、「漏洩事故」が多すぎました。
油が漏れて土壌汚染となった場合、汚染した「土壌」は全て産業廃棄物として「焼却処分」しないといけないのは御存知でしたか?
正規の業者ですと1立米\150,000-程度は掛るはずです、私の知っているスタンドで、一億以上掛った現場を知っています。
液面監視が「1週間後に漏れても意味が有る」と言ったのは、この「被害」を最小限にという意味なのです。
従来の「漏洩検知管」だけでは「気がついた時には・・・」です、もちろん高精度液面計で監視できても「目をつぶっていた」では意味が有りませんが、無いよりマシだと思います。
「知る気になれば」検知出来るシステムなのです。
もちろん「対策を取らせる」より「日々の管理」のほうが重要なのですが、今回の消防法改正は「きちんと管理しているユーザー」程、強力で実力を発揮する「ツール」であると思いますが!。
いずれにせよ、「営業継続」の意思が少しでも有るのであれば、早めの対策のほうがかなり得するケースが多いと思います。
・・・以上
オヤジさん、再度お礼申し上げますm(_ _)m
1億掛かったハナシは知っています。
SIRが何故各地消防本部により認否が分かれるかも理解できました。
それぞれの短所を読んでいると頭を抱えたくなりますが、対策が義務化されたのは事実ですから、事業継続の意思があれば、やはり少しでも早く決断した方が良いのでしょうね・・・
ただ、本当にこの業界の地場の三者店は疲弊し切っています。
早くした方が良いと分かっていても・・・
“先立つもの”が無く、将来に対して明るい展望が望めない以上迷うのも無理はないと思うのです(--;
オヤジさんは自分の仕事に誇りを持たれているし損得勘定抜きでこうして知識を分けてくださる心の熱い方なのですね。
それだから販売店に対してじれったく思われるのでしょうね。
私の無知で「常時監視システムなんて・・・」という書き方をしてしまい、申し訳ありませんでしたm(_ _)m
でも、これで他の皆さんの誤解も解けると思います(^-^)
そして、「油業界はもうダメ」・・・かも知れませんが、それはまだもう少し先の話だと思います。
大変な過渡期にいることは間違いありませんが、だからこそ!皆が続けていけるようにと願うのです。