南海トラフ巨大地震などの大規模災害に備え、和歌山県は18日、タンクローリーと連結して緊急車両にガソリンを給油できる移動式給油所「どこでもスタンド」を導入すると発表した。県によると、都道府県レベルの導入は全国で初めて。今月中に県内5カ所に配備する予定。
配備予定地は、湯浅町の県有田総合庁舎▽日高川町防災センター▽串本町の県東牟婁振興局串本建設部▽那智勝浦町の旧グリーンピア南紀▽新宮市の県東牟婁総合庁舎。
平成23年の東日本大震災では、ガソリンスタンドに車が殺到したり、大規模停電などで緊急車両に給油できなくなったりする課題が指摘された。
そのため国は、自家発電設備や大型タンクなどを備えたガソリンスタンド「中核SS」の整備を推進。大規模災害時には国の要請に応じて、緊急車両に優先給油できる態勢を整備している。
ただ、県南部の一部の中核SSは津波浸水想定区域内にあり、近い将来起こるとされる南海トラフ巨大地震に直面した場合は、使用できなくなる可能性もある。
そのため県は、資源エネルギー庁の補助制度を活用し、「どこでもスタンド」を導入することにした。
ガソリンを輸送するタンクローリーにホースを連結して使う仕組み。通常のガソリンスタンドのように一度地下タンクにガソリンを移す必要がなく、直接車に給油できる。
自家発電機や油吸着マット、消化器なども備えている。タンクローリーを駐車でき、作業用の20平方メートルほどのスペースがあれば対応可能という。
大規模災害時には、救急車や消防車、パトカーなどの緊急車両に給油。被災状況次第で、どこでもスタンドを集中投入する運用も検討している。ガソリンは県石油商業組合から供給を受ける予定。
県の担当者は「災害時に緊急車両の活動を支援することで、スムーズな人命救助につながれば」と話している。
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