NEST OF BLUESMANIA

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音盤日誌「一日一枚」#174 高中正義「アローン」(ポリドール 28CK0030)

2022-05-07 05:02:00 | Weblog

2003年6月29日(日)

#174 高中正義「アローン」(ポリドール 28CK0030)



高中正義、81年リリースのアルバム。

76年の「セイシェルズ」以降、着実にアルバムをリリースしてきた彼にとっては、10枚目にあたる作品。

彼の初期のサウンドのイメージは、「ひたすらラテンでネアカ」というものだったが、このアルバムではしっとりとした大人っぽいバラード・プレイも聴かせている。

<筆者の私的ベスト4>

4位「"SPEED OF LOVE"」

アルバムではトップに収録。タイトル通り、ひたすらスピーディでスリリングな音を聴かせてくれる。

高中の多重録音によるツイン・ギターが実にカッコよろしく、ゲストの上田正樹のシャウトが、サウンドにさらに迫力を加えている。

ドラム(渡嘉敷祐一)、ベース(高橋ゲタ夫)らのプレイも最高にノリが良い。腰にビンビン来る音ナリ。

高中のナンバーとしては、結構ハードでヘヴィー。ストイックささえ感じる辛口のサウンドで、筆者としては気に入っている。

3位「SHE'S RAIN」

これはどちらかといえば、従来の高中サウンドの中心ともいうべき、明るく軽やかな路線。

一聴してすぐストラトキャスターとわかる、カラッとしたギターのトーンが魅力的。

これを使って、パーカッシヴなプレイを聴かせてくれるのだが、ホント、心までウキウキしてくる。

バックには全面的にストリングスを導入、ギターとの相性も意外によい。

2位「THE NIGHT DELAY」

ドラマチックなイメージの一曲。「SHE'S RAIN」同様、星勝がストリングス・アレンジを担当。これがさすがの出来ばえ。

全編、ギター・サウンドとストリングスのコラボレーションにより、きわめて精緻なサウンドが展開する。

単にギター・プレイヤーとしてテクニックがあるだけでなく、コンポーザー、アレンジャー、サウンド・クリエイターとして見ても、高中正義は超一流のひとだと思う。

この曲での泣きのギター・プレイも、もちろん気合いが入っていて素晴らしいが、何より、音の全体的なまとまり、バランスがよい。再聴、三聴にもたえうる音とは、こういうのをいうのだろう。

1位「ALONE」

1位はやはり、このタイトル・チューンだろうな。もちろん、他のすべてのナンバー同様、高中の作曲。

脳天気なプレイだけが、オレじゃないぞとばかり、メロウでメランコリックなバラードを演奏しているが、これがなかなかよろしい。

ラテンのパーカッション・サウンドにのせて、ストラトキャスターを泣かせまくる高中。

若干サンタナっぽいなという感じはあるが、タメのきいたオーヴァー・ドライヴ・サウンドが耳に心地いい。

何コーラスものギター・ソロを含めて、すみずみまできちんと計算されたアレンジ。すべて高中本人が編曲しているのだが、ストリングスの使い方もうまい。

極めて「職人」的な仕事だな~と感じます。ロックの自然発生的、偶発的なサウンドの面白さとはまた違うのですが。

同年リリースのアルバム「虹伝説」と合わせて、彼の音楽の円熟ぶり(といっても当時まだ28歳という若さだったが)を示す作品といえそう。

ギタリストなら、一度はチェックしてみて欲しい。

<独断評価>★★★★