NEST OF BLUESMANIA

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音盤日誌「一日一枚」#175 大貫妙子「スライス・オブ・ライフ」(MIDI 35MD-1031)

2022-05-08 05:09:00 | Weblog

2003年7月6日(日)


#175 大貫妙子「スライス・オブ・ライフ」(MIDI 35MD-1031)

大貫妙子、87年リリースのアルバム。

ここのところ仕事で忙殺されている筆者だが、そういうときは彼女の澄み切った歌声をむしょうに聴きたくなる。

ター坊は、シュガー・ベイブがデビューして以来、ずっと聴き続けているのだが、あのクールさがいいんだよなあ。

<筆者の私的ベスト3>

3位「あなたに似た人」

ロアルド・ダールの短篇小説を本歌取りした一編。ター坊の作品。

なんといってもこのナンバー、今は亡き大村憲司さんがアレンジ、そしてリード・ギターを弾いているのに注目。

彼のソリッドで、一点の曇りもないストラト・トーンが実に印象的。派手なところはないが、ブルース&ファンクを感じさせて◎。

小原礼のベース、高橋幸宏のドラムスというミカバン・リズム隊も、タイトで文句なし。

孤独、寂寥を感じさせるメロディ・ラインに、ター坊の声質がなんともマッチしている。

2位「木立の中の日々」

筆者にとってのター坊のベストアルバムといえそうなのが82年の「クリシェ」なのだが、そこで教授こと坂本龍一とともにアレンジを担当していたのが、ジャン・ミュジという、アダモなどの編曲でも知られるフランス人。

彼がアレンジし、キーボードを弾いた「黒のクレール」のインスト版、まるで映画のラスト・シーンのような雰囲気があって実によかった。

その彼がふたたびター坊のアルバム制作に参加したのが、この曲。ター坊の作品。

最愛のひとと共に暮していながら、ふたりの過去の「燃えるような日々」がどこか風化していくような、そんな喪失感。

こういう微妙なニュアンス、おとなの心象風景を歌えるのは、彼女をおいて他にいないであろう。ほんにお見事な歌唱。

そして、ミュジの一分の隙もないストリングス・アレンジが、それを一層引き立てているのは、いうまでもない。

1位「彼と彼女のソネット」

どこかで聴いたことがあるようなメロディのバラード。それもそのはず、元々はフランス産のヒット曲なのである。

エドウィンのサムシングというジーンズのCFで良く流れていたね。

原題は「T'en Vas Pas」。それにター坊が訳詞をつけて、原田知世さんが歌い、ヒット。

それに少し遅れて、ター坊自身もレコーディングしたというわけ。

知世チャンの幼い、訥々とした歌いぶりもよかったが、さすが年の功(?)、ター坊の歌は説得力がある。

全く同じ歌詞ながら、知世ヴァージョンはやはり10~20代の若いカップル、ター坊ヴァージョンは30~40代のおとなのカップル、それぞれの「恋」を感じさせますな。

ところで、先日、りっきーさんから頂戴したティンパンのライヴビデオで、最近のター坊のお姿を拝見したのだが、デビューしてから25年は経ったにもかかわらず、オバさんぽくならず、全然イメージが変わらないのにはビックリした。

ホント、いつまでも若々しいんだよなあ。

そういえばどこかのインタビューで、「若さを保つ秘訣は?」と訊かれて、彼女は「結婚しないこと」と答えていたな。

筆者は、ター坊のそんなところが、好きだったりします。

<独断評価>★★★☆