2003年7月6日(日)
大貫妙子、87年リリースのアルバム。
ここのところ仕事で忙殺されている筆者だが、そういうときは彼女の澄み切った歌声をむしょうに聴きたくなる。
ター坊は、シュガー・ベイブがデビューして以来、ずっと聴き続けているのだが、あのクールさがいいんだよなあ。
<筆者の私的ベスト3>
3位「あなたに似た人」
ロアルド・ダールの短篇小説を本歌取りした一編。ター坊の作品。
なんといってもこのナンバー、今は亡き大村憲司さんがアレンジ、そしてリード・ギターを弾いているのに注目。
彼のソリッドで、一点の曇りもないストラト・トーンが実に印象的。派手なところはないが、ブルース&ファンクを感じさせて◎。
小原礼のベース、高橋幸宏のドラムスというミカバン・リズム隊も、タイトで文句なし。
孤独、寂寥を感じさせるメロディ・ラインに、ター坊の声質がなんともマッチしている。
2位「木立の中の日々」
筆者にとってのター坊のベストアルバムといえそうなのが82年の「クリシェ」なのだが、そこで教授こと坂本龍一とともにアレンジを担当していたのが、ジャン・ミュジという、アダモなどの編曲でも知られるフランス人。
彼がアレンジし、キーボードを弾いた「黒のクレール」のインスト版、まるで映画のラスト・シーンのような雰囲気があって実によかった。
その彼がふたたびター坊のアルバム制作に参加したのが、この曲。ター坊の作品。
最愛のひとと共に暮していながら、ふたりの過去の「燃えるような日々」がどこか風化していくような、そんな喪失感。
こういう微妙なニュアンス、おとなの心象風景を歌えるのは、彼女をおいて他にいないであろう。ほんにお見事な歌唱。
そして、ミュジの一分の隙もないストリングス・アレンジが、それを一層引き立てているのは、いうまでもない。
1位「彼と彼女のソネット」
どこかで聴いたことがあるようなメロディのバラード。それもそのはず、元々はフランス産のヒット曲なのである。
エドウィンのサムシングというジーンズのCFで良く流れていたね。
原題は「T'en Vas Pas」。それにター坊が訳詞をつけて、原田知世さんが歌い、ヒット。
それに少し遅れて、ター坊自身もレコーディングしたというわけ。
知世チャンの幼い、訥々とした歌いぶりもよかったが、さすが年の功(?)、ター坊の歌は説得力がある。
全く同じ歌詞ながら、知世ヴァージョンはやはり10~20代の若いカップル、ター坊ヴァージョンは30~40代のおとなのカップル、それぞれの「恋」を感じさせますな。
ところで、先日、りっきーさんから頂戴したティンパンのライヴビデオで、最近のター坊のお姿を拝見したのだが、デビューしてから25年は経ったにもかかわらず、オバさんぽくならず、全然イメージが変わらないのにはビックリした。
ホント、いつまでも若々しいんだよなあ。
そういえばどこかのインタビューで、「若さを保つ秘訣は?」と訊かれて、彼女は「結婚しないこと」と答えていたな。
筆者は、ター坊のそんなところが、好きだったりします。
<独断評価>★★★☆