僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

迷い込んだ場所…②

2010年09月23日 | SF小説ハートマン
警報が鳴っている
サイレントは違う周波数の、耳に鋭く突き刺さるような音だ
逃げろ!
本能がそう警告している






不気味なラボが目に入った








そっと滑り込む
今まで誰かがそこにいたらしい
それが「何か」でなければいいが









何だコレは?











上へ行けばスペースギアを呼べるかも知れない










センサーに見つかった
ドロイド達の足音が聞こえる







姿を現さない
敵に追い込まれているようだ
目の前は!!

















だからぁぶつぶつ言いながら走り回ったらダメだって
お前だろいつも妖しいことやってるのは



















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迷い込んだ場所

2010年09月21日 | SF小説ハートマン
ボタンを選んで押して下さい

無機質な女の声でそう催促された






ほとんど揺れることもなく
エレベーターは一気に3155階に到着した









ここでも監視されているのか
それとも異次元への誘導なのか









奇妙なうめき声が聞こえる
監禁飼育されている生物たちの声か…









宇宙(ひろし)は走った
酸素が流れてくる方向へ
できるだけ音を立てないように
しかし、全速力で



ドアは開いていた





つづく









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SF小説ハートマン「瓦礫の山から」

2009年07月09日 | SF小説ハートマン
爆発も電磁波も消えいつもの静かで平和な朝が訪れていた。

確かに静けさは戻った。しかしこれが平和と言えるだろうか。
地上にあった建造物は全くその形を残していない・

「カイラス、上に出てみよう」

宇宙(ひろし)が告げるとスペースギアはゆっくりと上昇を始めた。
格納庫のあった建物は完全に瓦礫と化し無秩序に積み重なっていた。
スペースギアは火山がマグマを吐き出すように、むくむくとそれを押しのけて地上へ現れた。
数十メートルの上空に停止しそこにあったはずの街を見渡した。

「地上の音が拾えるかい?」

遠くで微かな爆発音があるが人の声や活動を示す音は何も聞こえない。

「少し感度を上げてみよう」

ゆっくりと旋回を始めた時、スペースギアの背に乗って微妙なバランスを保っていた鋼材が滑り落ち地上の瓦礫に降り注ぐ激しい音が静寂を破って響き渡った。

「ひどいもんだ、しばらく活動はできないな」



「さぁ宇宙君、私たちは行きましょう」

目をさましたミリンダが宇宙の手に自分の手を重ねて言った。

「後はトントが何とかするわ」

ミリンダは宇宙がカイラスとの融合を終えたことを知った。
バイオリストコンピュータと短時間で融合する事が非常に危険な事をトントから聞いていたが、宇宙の体がそれに耐え全てを終えたことを顔色から悟ったのだ。


「よーし、イッツ マイ ターン。今度はこっちから行くぞ」














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SF小説「ハートマン」 consutructed

2009年05月25日 | SF小説ハートマン
体温は40度近くに上がっているが、アドレナリンの放出により毛細血管は収縮し手足は逆に冷たくなっている。
ヒスタミン、ドーパミン、ステロイド、インスリン、脳の異常を感じてあらゆる免疫反応が活性化し体を守る為の防衛機能を働かせ始めたからだ。

バイオリストコンピュータは貪欲にカイラとの融合作業を進め一体化しつつあった。


ミリンダは宇宙に何が起きているのか知っていた。

シートにもたれたままぐったりとした宇宙の手を取り、汗を拭き、頬をなでながら待った。

地上では敵の攻撃はなおも激しさを増し、今や格納庫はがれきの山と化していた。スペースギアはその下敷きになりすっかり埋もれたしまっていた。
格納庫への攻撃で何度かは直接被弾もしたが、アレナックとイノソンのハイブリッド合金にかすり傷ひとつ付けることはできなかった。


宇宙(ひろし)がこの船を見た時、「そんなに厚い装甲では相当重いんでしょうね」とミリンダに尋ねたことがあった。「案外重量は軽いのよ」と答えたが、海にいる「うに」の殻のようにステレオム構造になっている事を話してなかったわ、と思った。
宇宙が目覚めた時、彼のバイオリストコンピュータとカイラスはそんなことまで共通理解しているのかしら、試してみようかしらと思った。


宇宙は産みの苦しみを続けていた。

何もできないと分かっていても、いま隣のシートでうなされ続ける宇宙を見ているのは辛かった。少しでも楽にしてあげたいと思った。


コックピットに就いて2日目の朝、タオルを握りしめたまま眠っているミリンダの隣で宇宙は目を開けた。

発熱の汗もすっかり引いている。モニターは「 constructed」の文字を控えめに表示している。
宇宙は大きな伸びをするとミリンダをのぞき込み。起こさないように小声で言った。


「カイラス、外の様子はどうなっている?」








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SF小説「ハートマン」 渚にて

2009年05月24日 | SF小説ハートマン
ミリンダの説明は、
攻撃は通常3日間続くこと、攻撃が終わると全ての攻撃機が自爆してしまうこと、攻撃機は強力なエネルギーによってこじ開けられた空間に突然現れること、
攻撃の始まりで使われるビームは遠く離れた場所から攻撃機を誘導する為のナビゲーションレーザーらしいこと、

攻撃機が現れた直後の空間にはほんのわずかの時間だが痕跡が残ること、その痕跡から逆に進入することが可能かも知れないこと、

などだったが、最期の方はほとんど聞いていることができなかった。


コックピットのメインモニターは「システム構築中」と表示されたまま全く変化がない。
宇宙もまたフリーズしてしまったかのように目を閉じて動かない。


説明を止めたミリンダが宇宙の頬に手を当てる。

宇宙(ひろし)は発熱していた。


その時宇宙自身は広大な海の渚に佇み、押し寄せる波の彼方をじっと見つめていたのだ。
















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SF小説「ハートマン」 システム構築

2009年05月23日 | SF小説ハートマン
攻撃は激しさを増していた。

敵の無人機は電子エネルギーで構築されるバリヤーもビーム砲もまるで無視するかのようにすりぬけ、ほとんど無抵抗の状態で攻撃を続けていた。

人口の建造物を無差別に破壊するようにプログラムされているらしい。
弾丸をまき散らし高熱と衝撃波であらゆるものの形を作り替えていく。
凄まじ音と爆発の光が地上を埋め尽くしていた。


散発的に聞こえていた反撃の音も既に聞こえない。基地が敵に発見され破壊されたのだろう。

人々は地下のシェルターに閉じこもり、ただじっと攻撃が終わるのを待っている。幸いなのは攻撃は地上の建造物の破壊だけで、生物を対象にはしていないこと、シェルターへの攻撃がないことだ。

とりあえず命だけは助けてやるということなのか、破壊し尽くした後、何かのメッセージがあるのか、今は不明だ。


宇宙(ひろし)はカイラとバイオリストコンピュータのコンタクトを続けながらミリンダの説明を聞いていた。













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SF小説「ハートマン」 カイラス

2009年05月19日 | SF小説ハートマン
コックピットは2人分のシートしかなかった。

長さ20メートル程の船体は宇宙船としては驚くほど小さかった。
宇宙がここまでの旅に使用した小型宇宙船でさえこのスペースギアの10倍はある。地上を行き交うコミューターを頑丈にしたようなデザインになっていた。

しかし92㎝厚に削り出されたハイブリッドの装甲外殻は亜光速で小惑星に衝突してもリンゴを打ち抜く弾丸のように無傷で通り抜けてしまうだろう。


肘掛けに腕を置くとすぐにバイオリストコンピュータが反応し、室内のモニターがメッセージを表示した。

「ようこそ宇宙さん、初めまして。私はカイラス、あなたのお供をさせていただきます。バイオリストコンピュータにコンタクトしてもよろしいですか?」


後に宇宙の分身のように活躍することになるこの忠実なしもべは、その丁重な反応からは想像ができないくらい強力な能力を秘めていた。

トントは別れ際、新しいトントが迎えると言ったが、この船の名前がトントでなくカイラスだったことに安堵した。


「これからの予定を話すわ。本当にゆっくりできなくてごめんなさい。宇宙(ひろし)君、大丈夫?」

ミリンダが、まだふたりのトントとの別れを整理できずに茫然としている宇宙に話しかけた。


「カイラスとコンタクトしたまま聞いて下さい。これから宇宙君は少し…」

コンタクトゲートを開いた瞬間、宇宙はたたきのめされるほどの激しいショックを受けた。何とか持ちこたえたが押し寄せる大きな波に飲み込まれるような感覚だった。
いつかどこかで経験したことのある感覚だ。目をきつく閉じ記憶を探した。


あれはトントが僕に、僕の脳を、僕のバイオリストコンピュータに…


宇宙が少年だった頃、何日も続いたあの記憶が蘇った。あれと同じだ、だけどあの時の何倍ものデータが一気に押し寄せてくる。宇宙は時折全身を痙攣させながらもその全てを受け入れていた。

許しを得てフルコンタクトしたカイラスはバイオリストコンピュータと毎秒10テラビット越える速度で情報交換をし、一体化の作業を始めていたのだ。













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SF小説「ハートマン」 再び会うまでの遠い約束

2009年05月17日 | SF小説ハートマン
激しいアラームがあちこちで鳴り出し、格納庫でも爆発が起きた。

「全員シェルターへ避難して下さい」とアナウンスが繰り返されている。

「トント、もう時間がないわ」
ミリンダが話を遮って言った。

「そのようだ。もう少し話したかったが、また次の機会にしよう」

トントは宇宙を引き寄せその胸に抱いた。
「えっ?」

宇宙は状況をつかめずにいた。

「後はミリンダが説明するだろう。君のバイオリストコンピュータをリンクすればすぐにスタンバイできる。新しいトントが君を迎えてくれるはずだ」

トントはミリンダを抱きしめて言った。
「後は頼んだぞ。君たちふたりにこの星の運命がかかっている。だが宇宙のどこにいても私は君たちを見守っている。
忘れるな、この戦いは勝利する為にするのではない。我々が力に屈しない事を証明する為にするのだということを」


スペースギアが数十センチ浮かび上がり、底部が外れるようにして穴を開けた。

「行きましょう!」
ミリンダが意を決したように動く。

名残惜しく見つめる宇宙(ひろし)に片手をあげて答えるトントは微笑んでいたが、その目には光るものがあった。











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SF小説「ハートマン」 スペースギア

2009年05月16日 | SF小説ハートマン
「いよいよあなたの出番よ」

ミリンダがトントに片手をあげて合図をすると、トントは黙って大きくうなずき立ち上がった。


3人が向かったのはスペースシップの格納庫だった。
大型の星間シップが並ぶ発着場の隅、頑丈な扉で隔てられた小さな部屋にそれはあった。

「3Sサイズだが、我々の持っている全ての知識を装備に結集した。指導者から譲り受けた希少元素を使い切って数日前に完成したスペースギアだ」

「不思議な素材ですね」

宇宙(ひろし)は半透明でうっすらと乳白色に発光しているプラスチックスのような船体に手を触れた。

「アレナックとイノソンのハイブリッド装甲だ。92㎝の厚さに削りだしてある」
「聞いたことのない素材です。それに、削りだしたって?」

「アレナックはEE045星に残っていた数万年前の文明の遺跡から発見されたソード(剣)を分析して合成した金属だ。
アレナックはEE045星だけにあるアレー鉱石を使うことで合成できた。
だがイノソンは白色矮星の中心から取りだしたもので、我々の技術では採取できない」

「別の宇宙に行ってしまった指導者の贈り物なんですね」
「そうだ。ただ単体では堅すぎて加工できない。工具のブレードとして使っている。
それをアレナックとハイブリッドすることで扱いやすくするなることを教えてくれたのも指導者だ。
扱いやすいと言っても君の船を覆っているチタン合金の1000倍の強度と復元性がある。接合が難しいので固まりから削りだして外殻を作ったのだ。
出入り口以外に切れ目がないだろう?」

「支柱も車輪もないんですか?」
「半重力装置が働いている間はこうして浮いている。接地しても船体が傷つくことはないがな」

「推進力やエネルギーはどうなっているんですか?」
「原子の融合力を触媒を使って100%取りだしている。燃料は炭素を含むものならその辺に転がっている石ころでも何でもいい」

「すごい!これで敵の無人機を迎え撃つわけですね」

「さっきも説明したが、これは量産することができない船だ。
これ一機だけなのだ」















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SF小説「ハートマン」 始まった攻撃

2009年05月15日 | SF小説ハートマン
鳴り続いていた爆発音とは明らかに違うキンキンと高い金属音が数回続いた後、パラパラと雨粒が降り注ぐような音が聞こえてきた。

「始まったわ」

ミリンダがモニターを切り替えながら言った。


今までにこやかに任務に就いていたスタッフ達の顔色が変わった。
複数のモニターが各地の異常を知らせる警報を発し、点滅を始めた。

「何の攻撃ですか?僕にできることは?」

「これは無人機の攻撃よ。私たちはホーネット(スズメバチ)と呼んでいるわ。ビームだけでなく弾丸も発射してくるの。
さっきの音はそれよ。
数時間で自爆してしまうものだけどなかなか打ち落とせないし、牽引ビームを避けるようにできているらしく捕獲もできないの。
偶然に墜落したものを調べようとしたら自爆してしまった。全く始末に負えない代物だわ」

「防衛隊はどうなってるんですか?」

「私たちは長い歴史の中で今まで一度も戦争をすることが無かった。それは指導者のお陰によるところが大きいわ。誰かと戦う必要なんてなかったもの」

「行ってしまったあの人達のことですね」

「そう。だから私たちの持てる力全てを使っても対抗できないことが多くなってきているの」












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SF小説「ハートマン」 消えた生命体

2009年05月13日 | SF小説ハートマン
「私たちとは姿が全く違っていたわ。今説明できないくらい、悪いけどグロテスク。
でも初めから友好的だった。
拒否するには知能も技術も何もかも力が違いすぎたのだけれど、私たちを利用することも植民地にすることもなかったの」

「今その人達はどこに?」
「それが3年ほど前に突然いなくなった」

「いなくなったって?」
「そう、消えたの。私たちの先生のような生命体だったのだけれど、最後のメッセージを残して、いなくなった」

「最後のメッセージ?」
「どうやら別の世界へ行ったらしい。君たちもいずれ行き着くだろうと言ったの」

「別の世界って?」
「この宇宙ではない場所。彼等はそう予言して、その通りいなくなった」

「この宇宙ではない所ってどこ?」
「分からない。この宇宙のことも分かっていないのに、別の宇宙なんて想像もできないわ。
でもそれ以来全く接触もないし存在も観測できなくなってしまった」

「そんなことが…」


トントが再び口を開いた。

「彼等がいてくれたら今のこの事態も起こらなかっただろう」

「それじゃぁもうひとつの生命体はどうなんですか?地球とその人達と、もうひとつあるって」


トントは深いため息をついて答えた。

「BBだ。今我々を攻撃している」












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SF小説「ハートマン」 生命の時間

2009年05月10日 | SF小説ハートマン
「我々はBBと呼んでいる。今は遠く離れているが、数年で我々の抵抗は無力化されてしまうだろう」
「遠く離れた場所からですって?」

「10光年ほど離れた銀河だ。数個の大型ブラックホールが存在していると確認されている。敵はブラックホールをコントロールしていると思われるのだ」
「そんなことが…」

「分析では我々が築いてきた[時間とDNA合成]の知識が狙いらしい」
「何の為に…」

「ブラックホールのエネルギーを[時間とDNA合成]に効果的に使えば、宇宙全ての場所を支配下に置くことができるだろう」


トントはバイオリストコンピュータに次々とデータを送りながら説明を続ける。


「宇宙には生命が存在可能な星が無数にある。実際生命が文明を築いている星も無数だ。だがその星の時間はまちまちなのだ」
「僕もいくつかの生命体を知っています」

「時間は流れていくものではなく、普遍的に宇宙を満たしているものだ。流れているのは生命で、それぞれの生命は好きな時間帯を流れている。だが残念なことに、ひとつの生命に対して宇宙の時間は大きすぎる。従って多くの生命が同じ時間帯を流れる可能性はきわめて低いのだ」


ミリンダが宇宙(ひろし)とトントの手を取って付け加えた。


「こうして私たちとあなたが同じ時間に出会えた事は本当に奇跡的なの」
「でも、BBとも同じ時間帯なんだね」


再びトントが刺激的なデータを送ってきた。


「BBは生命の時間帯をみんな揃えてしまおうとしている」

















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SF小説「ハートマン」 コントロールルームで

2009年05月09日 | SF小説ハートマン
コントロールルームに入る扉の前で宇宙は尋ねた。

「いったい誰が、何の為に攻撃を?」
「それについては君のトントにも相談にのってもらいたいと思っている」

トントはセキュリティスキャンを受けながら答えた。
コントロールルームには数人が任務に就いていたが攻撃を受けている最中だというのに皆不思議なくらいにこやかな表情だった。

ミリンダが自分の隣のシートを示し座るように合図をした。

「これは通常の攻撃だから大丈夫。もう少しすると笑っていられなくなるわ」

「止めることはできないの?」
「できるかも知れない、あなたなら」

「僕が?」
「そう、あなたならというより、あなたにしかできないかも知れないの」

「僕が無力なのはこの星に来る時に証明されているよ」
「船のことを言っているのね。この星は「大きな月」と呼ばれているの。SS(スペースシップ)とLL(ラージルナ)では始めから勝負は決まっているでしょう?でも問題はエネルギーや武器の種類ではないわ」

ミリンダは諭すように言うと続きをトントに譲った。
トントはバイオリストコンピュータをリンクするようにと有線式の端末を引き出してその装着方法を教えた。

「ユニバーサルシリアルバスの名残だが、これなら敵に侵入される事もないだろう。
最近の敵は侵入時間が早い。新方式のファイヤーウォールも短時間で無力されてしまう。君のバイオリストコンピュータと同じ脳内システムに侵入されて命を落としたものも少なくないのだ」

「脳内のシステムに侵入するには暗号化されたDNAの個別ゲノムを読み取らなければならないはずでしょう?そんなことが」

「それを短時間にやってしまう方法を敵は知っているらしい。物理的な攻撃力も次第に強さを増している」


「いったい誰が」

















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SF小説「ハートマン」 本当のトント

2009年04月20日 | SF小説ハートマン
「あなたが本当のトントなんですね。」

宇宙は老人を抱きしめたまま尋ねた。

「いや宇宙君、それは違う。」

老人はママが昔そうしたように宇宙の背中を優しくなでながら言った。

「私は自分の分身としてトントを作った。だからトントは私だ。だが私は君のトントではない。本当のトントは君の中にいるトントだ。」

「僕の中にいるトント?」

「トントは宇宙君、君と生活を共にした。そして君のバイオリストコンピュータを作った。バイオリストコンピュータはもう完全に君そのものだ。そしてその中にトントはいる。」

「思い出ということですか?」

「いつか君のトントは言わなかったかな?トントは君が必要と思う時に現れる。思い出ではない。君と共に生き、共に考える。私が作ったのはプログラムだが、君と共にいるトントはもうプログラムではないのだ。」

「DNAのようにですか?」

「発生した種のDNAを途中で作り変えることはできない。トントのDNAは君のDNAとは別のものだ、だがお互いに干渉し合うようにプログラムされているはずだ。」


口調は違ったが響いてくる声はトントそのものだった。
公園でフウセンカズラの種を集めた日々、小川のほとりで聞いたトントの授業、地球で過ごしたかけがえのない時間が思い出され、宇宙は背中に回した手に力を入れて老人を抱きしめた。
そうすると、声は耳からではなく直接心に響いてくるような気がしたのだ。


宇宙は深い信頼と安心感に包まれて心ゆくまで老人との会話を楽しんでいた。














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SF小説「ハートマン」 その人は

2009年04月19日 | SF小説ハートマン
その人は白髪で豊かな口ひげを蓄えていた。
さっきまでミリンダが身につけていたドレスと同じ光沢のある生地の服で足首まで覆っている法曹のような出で立ちでふたりを迎えた。

宇宙は胸騒ぎを感じた。
彼に一歩近づく度にその胸騒ぎは高まった。
バイオリストコンピュータが反応している。何かに気付き始めている。

彼はミリンダにうなづくと両手を合わせ「Lukumariyno hosseru」とつぶやいた。
宇宙もミリンダに習ったとおり挨拶を返したが彼の顔から視線は離せなかった。


この人は、まさか…


彼は一度感慨深そうに目を閉じた後、歩み寄り宇宙の両肩に手を置いた。

間近で見る彼の顔には深いしわが刻まれ、地球で言えば百歳を超えるような老人の風貌だったが、凛とした姿勢で、目の輝きは力を失っていなかった。


「あなたが宇宙(ひろし)君なんですね。」

「…!」

ひと言聞いたその声だけで宇宙は理解した。

「はい。」

そう答えるのが精一杯だった。
何度会いたいと思ったことだろう。
今の宇宙がこうしてここにいるのはみんなこの人がいたからなのだ。

見つめる老人の顔がみるみるうちに滲んできた。

老人は宇宙をそっと抱きしめた。
宇宙は少年の頃に戻ったように老人の背中に手を回ししがみついた。

あの時の思い出が次から次へと蘇ってきた。
出会った時はエサキモンツキノカメムシの姿をしていた。
その出会いから宇宙はハートマンへの道を歩み始めた。計り知れないほどのことを彼から学んだ。


腕の中でそれ以上は声にならなかった。

「トント…」











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