僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

オムレツ…②

2007年06月02日 | SF小説ハートマン
「失敗したらスクランブルにしちゃえばいいからね。」

卵を入れてかき回す。これはスクランブルと一緒だ。
まだ固まらないうちにフライパンの向こう側に寄せる。


「さぁ宇宙(ひろし)、今よ。」

そう言うとママは僕にフライパンを持たせた。
家にある中で一番小さいフライパンだけど、片手で持つと結構重い。

「頑張って頑張って!」

トントントントン叩く。ママも一緒にやってくれる。

「わぁーすごいすごい!」

卵が少しずつ回ってくる。不思議、面白い。
いつの間にかオムレツの形になっている。

「よーし、大成功みたいよ。宇宙、お皿取って」

僕がお皿を渡すと、ママはきれいにボート型になった卵をその真ん中に乗せた。

「はい、一丁上がり。もう一つ作るから、宇宙は冷蔵庫からサラダを出してお皿に飾りなさい。」

ママはといた卵に玉ねぎをパラパラと入れて味付けをしている。
僕はまだ水中メガネをしたままサラダのトマトをつまみ食いしている。



高原大学附属小学校の試験に合格してから、もうずいぶん経った。

熱が下がってから幼児教室の吉田先生に1回だけ会いに行ったけど、もうお勉強はしていない。
その代わりこうしてママとお料理をする時間が増えた。
僕はママと一緒で嬉しいけど、もっと吉田先生とお勉強もしたいと思っている。
コメント (15)
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