僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

SF小説ハートマン「瓦礫の山から」

2009年07月09日 | SF小説ハートマン
爆発も電磁波も消えいつもの静かで平和な朝が訪れていた。

確かに静けさは戻った。しかしこれが平和と言えるだろうか。
地上にあった建造物は全くその形を残していない・

「カイラス、上に出てみよう」

宇宙(ひろし)が告げるとスペースギアはゆっくりと上昇を始めた。
格納庫のあった建物は完全に瓦礫と化し無秩序に積み重なっていた。
スペースギアは火山がマグマを吐き出すように、むくむくとそれを押しのけて地上へ現れた。
数十メートルの上空に停止しそこにあったはずの街を見渡した。

「地上の音が拾えるかい?」

遠くで微かな爆発音があるが人の声や活動を示す音は何も聞こえない。

「少し感度を上げてみよう」

ゆっくりと旋回を始めた時、スペースギアの背に乗って微妙なバランスを保っていた鋼材が滑り落ち地上の瓦礫に降り注ぐ激しい音が静寂を破って響き渡った。

「ひどいもんだ、しばらく活動はできないな」



「さぁ宇宙君、私たちは行きましょう」

目をさましたミリンダが宇宙の手に自分の手を重ねて言った。

「後はトントが何とかするわ」

ミリンダは宇宙がカイラスとの融合を終えたことを知った。
バイオリストコンピュータと短時間で融合する事が非常に危険な事をトントから聞いていたが、宇宙の体がそれに耐え全てを終えたことを顔色から悟ったのだ。


「よーし、イッツ マイ ターン。今度はこっちから行くぞ」














コメント
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