僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

「パトスとエロス」 ケーキの後

2009年10月10日 | ケータイ小説「パトスと…」
「ねぇねぇ辰雄君、そう言えば何かケーキな気分しない?美味しそうなデザートいっぱいあるわよ」
「そそそそうだね」

「何でどもっちゃうのよ、ほらこれ、これも、おいしそーう」

留美子はメニューを開き、子どもに読み聞かせをするようにひとつひとつ説明する。

「これはブルーベリーがいっぱいね、これはマロンクリームよ、モンブランなら辰雄君も好きでしょう、キャラメルソースは見逃せないし、イチゴってかわいいから好き、あっ、こっちのはアイスとソースの組み合わせが自由なんだって…」

「うれしそうだねぇー」
「いいからいいから、で、辰雄君はどれにする?」

「コーヒーな気分だな」
「じゃぁこれね、私はこれとハーブティーにする」

留美子はひとりで決めてウエイトレスを呼ぶのだった。


運ばれて来た辰雄のケーキはミルフィーユのベースにビターな生チョコレートをたっぷりと散らしバニラアイスを添えたものだ。

「オレ、ケーキ食べるの何年ぶりだろう」
「何言ってんの、こないだのお誕生日にも食べたし、クリスマスにだって一緒に食べたでしょう?」

「そっか、でもこれすごくうまいかも」
「食べてよかったでしょう」

「うん、あっ留美子のハーブティいい匂いがする」
「とってもおいしいわ、ほら飲んでみて」

辰雄は留美子の差しだしたティーカップに口をつけた。
落ち着いたダージリン紅茶の中にミントの澄んだ香りがした。


しばらく目をつむりハーブティの香りを味わった後、

「そう言えばアレどうなった?」
と視線を上げると、




留美子はもうそこにいなかった。








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