僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

「パトスとエロス」 昼下がりの八幡様

2009年10月13日 | ケータイ小説「パトスと…」
鳥居をくぐって階段を上がると小さな公園がある。

樹木に囲まれたテニスコートほどの境内なのだが
ほとんどが落葉樹なので今はがらんとして
夏のうるさいほどの蝉の声もなく
参拝する人影もない。

留美子は境内の隅にあるブランコに腰掛けていた。

「おーい」
「んもう辰雄君、遅い!」

留美子は立ち上がり
怒った顔を作って辰雄を指さした。

「ごーめん、ほんと悪りい。でも留美子まだいたんだ」
「まだいたんだよ。でも遅すぎだよ」

「確かに。いやぁまいったよ、吉永先生に頼まれちゃってさ」
「木村君から聞いた。でもあんまり来ないからもう帰っちゃったんだと思った」

「留美子もまさか待ってるなんて思わなかったよ」
「私は約束守る人だもん」

「それはオレも同じだろ」
「そうね、でーも遅すぎ」


「普通帰るだろ、10分位で」
「先生のお手伝いしてるって聞いたからちょっと待ってみようと思ったけど、30分位でもう帰ろうかなってちょっと思った」

「でも待ってたんだ」
「私が言い出したんだし、もう走れメロスって感じね。とぼとぼ歩いてきためろめろメロス」

「オレも留美子が待ってるって信じて来たんだ」
「うそよ」

「ばれちゃう?ホント言うともうとっくに帰ったと思ってた。ごめん」

「知ってるよ、それよりもーお腹すかない?」

「思いっきりすいちゃってるよ」






コメント
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