いつもそうだ。
留美子は突然に消えてしまう。
じゃぁねとか、そろそろ行くねとか言ったことがない。
分かっていても辛い。
留美子は初めからここにはいないんだ。
辰雄はひとりでレストランに入る。
テーブルを決め向かい側の席にバッグを置く。
バッグにはいつも留美子の写真が入っている。鎌倉の紫陽花の前で微笑んでいる写真だ。
メニューを見て、それから視線を上げると留美子はいつの間にかそこにいて
「ねぇねぇ辰雄君、そういえばさぁ」と話し始める。
実際にふたりだけで食事をしたことは1度だけある。
あれが食事と言えるならだが。
食べる時にはいつも仲間がいてワイワイと弾けていた。
辰雄もその中にいて楽しい時間を過ごした。
卒業が近くなった、たしか2月の日曜日の事だったと記憶している。
卒業委員会ということで午前中各クラス数名ずつが学校に集まった。
その中に辰雄も留美子もいた。
会が始まる前、留美子が辰雄に声をかけてきた。
「ねぇねぇ辰雄君、今日一緒に帰れる?」
「あぁいいよ、そんじゃぁ終わったらあそこの八幡様にいるから」
そう約束したのだが、
分担別の話し合いで留美子と別れてから担当の先生に声をかけられてしまった。
「おぅ辰雄、あのさぁ悪いんだけどちょっと残って手伝ってくれないかなぁ」
約束があるからダメですとも言えずに仕事を手伝い、終わったのはみんなより1時間半も後になってからだった。時計の針は12時をすっかり回ってしまっていた。
せっかく留美子と約束したのに悪いことしたなぁ。
辰雄はふてくされ気味にブラブラ歩き、八幡様に一応回ってみた。
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留美子は突然に消えてしまう。
じゃぁねとか、そろそろ行くねとか言ったことがない。
分かっていても辛い。
留美子は初めからここにはいないんだ。
辰雄はひとりでレストランに入る。
テーブルを決め向かい側の席にバッグを置く。
バッグにはいつも留美子の写真が入っている。鎌倉の紫陽花の前で微笑んでいる写真だ。
メニューを見て、それから視線を上げると留美子はいつの間にかそこにいて
「ねぇねぇ辰雄君、そういえばさぁ」と話し始める。
実際にふたりだけで食事をしたことは1度だけある。
あれが食事と言えるならだが。
食べる時にはいつも仲間がいてワイワイと弾けていた。
辰雄もその中にいて楽しい時間を過ごした。
卒業が近くなった、たしか2月の日曜日の事だったと記憶している。
卒業委員会ということで午前中各クラス数名ずつが学校に集まった。
その中に辰雄も留美子もいた。
会が始まる前、留美子が辰雄に声をかけてきた。
「ねぇねぇ辰雄君、今日一緒に帰れる?」
「あぁいいよ、そんじゃぁ終わったらあそこの八幡様にいるから」
そう約束したのだが、
分担別の話し合いで留美子と別れてから担当の先生に声をかけられてしまった。
「おぅ辰雄、あのさぁ悪いんだけどちょっと残って手伝ってくれないかなぁ」
約束があるからダメですとも言えずに仕事を手伝い、終わったのはみんなより1時間半も後になってからだった。時計の針は12時をすっかり回ってしまっていた。
せっかく留美子と約束したのに悪いことしたなぁ。
辰雄はふてくされ気味にブラブラ歩き、八幡様に一応回ってみた。
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