マイムがよく行く施設の開所時間前
あちこちで見かける男が並んでいた
この人はホームレスだ
自転車に家財道具一式(スーパー袋に詰め込んだもの沢山)をぶら下げて
人通りの無いフェンスの脇に止めているのを知っている
この町内のあちこちでよく見かける
やせ細っていないので、食料はちゃんと確保しているのだろう
夏場は近づいただけで結構臭うが、今日はそれほどでも無かった
目が合った…
会話したことは無いが、何度も合っているから多分お互いに顔は知っているのだと思う
寒くて手を入れていたポケットに飴があった、3個あった
1個あげようとふと思ったのだが
ツンツンと腕をつついて、飴なめる?といいつつ
3個とも差し出した
男はじろっとマイムを見て
無言で受け取った
別にありがとうとか期待していた訳では無いが
にっこりぐらいしてもいいんじゃないか、と思った
でも、その後の行動を見て
何とも言えない気持ちになった
男は3個の飴を全部すぐに口に入れて、ガリガリと食った
飴の甘さをゆっくり楽しむ余裕は無いのだと思った
男はこの施設にたびたびやってくる
ここはエアコンが普通に働いていて、夏場は涼しく冬は暖かい
石油ストーブを燃やし続けて給油する度に
灯油の値段がちょっと下がったとか
やっぱ敷き毛布が無いと眠れないとか言っている夜
この人はどこでどうやって過ごしているのだろうか…