
絵本が大好きなその子はお弁当の後にやってきて、ちょっとはにかんだ顔で絵本を差し出しました。
「ねぇせんせい、寒い本読んで」
「ん?」
私はお化けでも出てきてぞっとするお話なのかと思い、持ってきた本を受け取りました。特別変わったものではなく保育室にいつもある絵本でした。
「ね、これならいいでしょう?」
と得意げです。
私は読んだ後、しばらくしてもそのことに気が付きませんでした。
「なぁんだそういうことだったのか!」
子どもが帰った後、職員室で突然大きな声を出した私に同僚たちがけげんな顔を向けました。
「寒いんじゃないんだよ」
ますます心配そうな顔をする同僚たちに答えの訳を説明しました。
その子は昨日も絵本を持ってやって来たのです。
その時私は他にしなければいけない仕事があり、時間を気にしていました。長いお話だったので、途中で切り上げてしまいました。
「ごめんね、今日はちょっと用事があるんだ。この本厚いから全部読めなかった。また今度つづきにしよう」
彼は『薄い本』を選んで持ってきたのです。
昨日の私のことばをちゃぁんと覚えていたんですね。
「ねぇせんせい、寒い本読んで」
「ん?」
私はお化けでも出てきてぞっとするお話なのかと思い、持ってきた本を受け取りました。特別変わったものではなく保育室にいつもある絵本でした。
「ね、これならいいでしょう?」
と得意げです。
私は読んだ後、しばらくしてもそのことに気が付きませんでした。
「なぁんだそういうことだったのか!」
子どもが帰った後、職員室で突然大きな声を出した私に同僚たちがけげんな顔を向けました。
「寒いんじゃないんだよ」
ますます心配そうな顔をする同僚たちに答えの訳を説明しました。
その子は昨日も絵本を持ってやって来たのです。
その時私は他にしなければいけない仕事があり、時間を気にしていました。長いお話だったので、途中で切り上げてしまいました。
「ごめんね、今日はちょっと用事があるんだ。この本厚いから全部読めなかった。また今度つづきにしよう」
彼は『薄い本』を選んで持ってきたのです。
昨日の私のことばをちゃぁんと覚えていたんですね。