ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

親海湿原ではカキツバタが見ごろでした

2010年06月08日 | 旅行
 親海湿原(およみしつげん)は、カキツバタの自生地として知られている湿原です。標高約750メートルで、うっそうとした森を背景にしています。亜高山帯から高山帯にかけて生息する低層・高層の湿原植物が大変豊富な湿原だそうです。

 手軽に歩いて行くことができるという点でも人気があります。長野県白馬村を貫く国道148号線沿いにある、白馬さのさかスキー場の近くです。スキー場の駐車場から歩いて10数分で行くことができます。すこし歩くだけで深山幽谷を味わえる貴重な場所でした。

 深い森と畑などの耕作地の境の小道を歩いていくと、急に視界が開けて親海湿原が現れます。背景は急な斜面の深い森です。この森の先には、青木湖があります。青木湖の水が伏流水となってしみだし、湿原をつくり、姫川源流をつくっていると考えられています。姫川源流と親海湿原を併せて「姫川源流自然探勝園」と呼ばれています。ここは、長野県の自然環境保全地域です。


 現在、親海湿原はカキツバタ(燕子花)やミツガシワ、サワオグルマ(沢小車)などが、周辺部にはレンゲツツジがそれぞれ咲いています。カキツバタは清楚な感じの品のいい色合いの野草です。多数が一面に咲くという感じではなく、ある程度のかたまって咲いています。

 カキツバタは湿原に設置された木道近くにも咲いていて、すぐ側で観察できました。訪れた時間が午後なので、咲いたばかりではなく、開花していくらか時間が経った感じになっていました。やはり早朝でないと、新鮮な感じのカキツバタにはお目にかかれないようです。


 「燕子花」(漢字表記はいろいろあるようです)は和歌などに歌われている野草です。古今集には「かきつばた」を“五七五七七”の最初の文字に使ったものがあると、学んだ記憶があります。「折り句」という遊びです。受験に出ると言われた気がします。

 “カキツバタ”という名前は、昔はカキツバタの汁を使って文を書いたので“書き付け”からカキツバタという表記に転じたそうです。そのカキツバタは、若緑の草原の中に、すがすがしい青みがかった紫色の花がスーと立っている姿が映える野草です。清廉な感じの色合いでした。

 湿原全体を多く占めている野草は、ミツガシワの白い花でした。白い小さな花がよく咲いていました。


 少し気になったのは、以前に新潟県妙高市の妙高高原にある、いもり池に行った際に、自然観察員の方が「ミツガシワが増えるのは池が乾燥化している証拠」と説明していたことです。いもり池では、ミズバショウとミツガシワはあまり混在しないで、別々に咲いていたとの記憶があります。

 親海湿原ではミズバショウはあまり見かけませんでした。若緑の草原の中で目立ったのは、背の高いサワオグルマです。キク科の黄色い花が咲く背の高い野草です。湿原の中で、背丈が1メートル程度のすくっと立った野草が多数咲いていました。遠目にも目立つ野草でした。

 時々、数10人の団体の観光客一団が湿原を訪れる時以外は、静けさに満ちています。皆さん、木道をゆっくり歩いては、去っていきます。深い森に囲まれた湿原にいるだけで、結構、充実感あふれる時間を過ごした気がしました。午後のせいか、期待した野鳥があまり鳴かなかったのが残念でした。

 親海湿原の奥の針葉樹と広葉樹が混じった天然森を歩くと、親海湿原に清水を供給している“源泉”がいくつかありました。予想以上にこんこんと湧き、水流をつくっています。こんなに豊富に水が出ているので湿原が維持されているのだと納得しました。

 親海湿原から針葉樹の深い森の丘を歩いていくと、姫川源流に出ます。その途中は、ニリンソウ、ヒトリシズカ、イカリソウ、アマドコロ(たぶん?)などが点々と咲いていました。姫川源流は、斜面からいきなり、かなりの量の清流が流れ出ていました。バイカモ(梅花)がまだ少し咲いていました。すぐ下側では、葉が大きく成長したミズバショウが多数見られました。この涌き水は「日本の名水百選」に選ばれているそうです。

 この源流から姫川は富山県糸魚川市の日本海まで、約54キロメートルを国道148号線に並行して流れ下ります。フォッサマグナ沿いに下る、暴れ川として有名な川です。その半面、糸魚川市ではヒスイが採れる川としても有名です。これまでに、有名な川の源流を見た経験はほとんどありません。