まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

資本・損益取引と剰余金の分配

2007-09-23 15:40:49 | 商事法務

       会社法446条には剰余金の計算式が規定されています。決算期現在の剰余金は、資産から負債を差し引いて純資産の金額を出し、そこから資本金・準備金を引いた残額ですね。これは、「その他資本剰余金」+「その他利益剰余金」+「自己株式の保有額」ですね。

       また、剰余金の分配可能金額については、461条に規定されています。昔のように「利益処分」とは言わなくなりました。利益だけではなく、資本取引で生じた差益等を、その他資本剰余金に組み入れれば、これも剰余金となり、分配可能になりますね。

       私には、相変わらずすっきりしません。まあ、資本取引から生じようが損益取引から生じようが、金額は金額だし、配当の中に資本取引から生じた金額が入っても、株主が受け取る配当に色が有るわけでもないから、変わらないじゃないかといえば、まあそうですね。でもちょっと考え方がフレキシブルと言うか、アメリカの考えをそのまま取り入れた(例えば、米国などでは減資差益等も配当可能剰余金ですね)というか、筋が無いような気がしますね。

       資本取引とは、資本の増減、変動、移転など、資本を経営活動に投入し、運用すること無しに、資本が増加・減少・他の形態に転換する取引と言われています。一方、損益取引の考え方は、経営者に委託したのは元手であり、経営者はこの元手をもとに、資産を購入・手当して、製品を作り販売したり、役務を提供して収益を売るという損益取引を行い、利益を蓄積し、蓄積した利益から、留保金額を除き、配当を株主にするというのが利益処分の考え方でした。即ち、資本取引とは、株主と経営者との関係であり、損益取引は経営者と取引先(債権・債務)との関係であり、損益取引で得た利益を、経営者は株主に還元するという関係ですね。会計学では、資本取引と損益取引を、最近の動向は知り得ませんが昔は厳格に区別していた筈ですね。

       経営者は、「その他資本剰余金」から配当を出しても良いんですね。でも、これってもともと株主の元手が始まりですよね。経営者が利益を出さなくても、その他資本剰余金があれば配当ができるということですね。経営者の経営責任を曖昧に出来るのではないでしょうか。もちろんBSへの表示の段階では区別して表記されていますから、わかりますけど、すっきりしない考え方だと思います。