東北大学の青木栄一准教授が著した『文部科学省』を読みました。文部科学省を客観的に分析し、近年の様々な文部行政のトピックについてわかりやすく解説しています。特に教育改革の失敗についての記述はわかりやすく分析されており、今後の指針となるものであろうと思われます。
日本の教育行政は明らかに失敗続きです。こんなに失敗するくらいならば文部科学省なんかなければいいのにと思うくらいです。
近年の教育改革の失敗も文部科学省のどこがわるかったのかが分析され、解説されています。文部科学省の職員にも同情すべき点はあります。予算は削減され、職員の数も増えない中、上からの圧力が強く、翻弄されてしまっているのは明らかです。しかし、そういうときこそ、教育行政の責任官庁としてしっかりと働いてもらわなければならないのです。
ただし、そもそもの問題として日本は教育予算が少なすぎです。文部科学省という組織の問題よりも、根本的な教育というものへの日本人の意識を変えていくほうが重要な問題なのではないでしょうか。
江戸時代より日本は教育がさかんな国でした。民間が教育を引っ張ってきたわけです。その伝統にあぐらをかいて、文部行政がおろそかになったというのが、私の見立てです。だからこれまでは伝統的な教育土台があり、文部科学省が何をしても、(何もしなくても)うまくいっていた、と見るべきではないでしょうか。
しかし、これからの時代もそれでうまくいくのか、本気で考えなければなりません。