村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル 第1部泥棒かささぎ編』を読みました。心に引っかかったところを書いておきます。
・好奇心と勇気
主人公の「僕」がいなくなった猫を探しに行きます。近所に空家があり、そこには何か秘密がありそうです。そしてその近くに住む笠原メイという少女と出会います。
笠原メイは「僕」に勇気があるかを聞き、さらに好奇心はあるかを聞きます。「僕」は勇気はたいしてないと答え、好奇心なら少しはあると答えます。笠原メイは「僕」に尋ねます。
「勇気と好奇心は似ているものじゃないの?」
それに対して「僕」が答えます。
「好奇心と勇気は一緒に行動しているように見える。ときによっては、好奇心は勇気を掘り起こしてかきたててもくれる。でも好奇心というものはほとんどの場合すぐにきえてしまうんだ。勇気の方がずっと長い道のりを進まなくちゃならない。好奇心というのは信用のできない調子のいい友達と同じだよ。君のことを焚きつけるだけ焚きつけて、適当なところですっと消えてしまうことだってある。そうなると、そのあと君はひとりで自分の勇気をかき集めてなんとかやっていかなくちゃならない。」
勇気の意味をわかりやすく教えてくれるいいセリフだと思います。「勇気」の大切さを教えてくれて、そして「勇気」を手に入れることの難しさも伝わってきます。決して強い表現ではないのですが、心に響く表現です。良い言葉だと思います。
この言葉の後に「井戸」が出てきます。この「井戸」に何かがありそうです。