大学入試改革が話題になっています。それと同時に「アクティブラーニング」という生徒が主体となる問題解決型の授業の必要性が大きくクローズアップされています。この本は、その大学入試改革、授業改革の必要性を解説し、具体的にどのようになっていくのかという改革の方向性を示しています。とても刺激的で、意欲をかきたててくれる本です。
大きな方向性については賛成します。ただし、この改革があまりに急いで行われてしまっているので、混乱が生じるは必至です。
例えば現状では「アクティブラーニング」という言葉だけが独り歩きし、なんでもかんでも「アクティブラーニング」で括られてしまっています。にぎやかであればそれでいいという勘違いがまかり通る危険性は常にあります。授業の効果を評価できるような能力を持った教師がまだほとんどいないというのが現状ではないでしょうか。
あるいは入試改革においても今だに全体像が見えてきません。これで2020年に開始できるとは思えませんし、もし無理やり行えば改悪になってしまう危険性が高い。新傾向の試験問題の評価方法はどうなるのかはまだよくわかりません。一方では、一部の超優秀な生徒が集まる学校ならいいかもしれませんが、そこまでいかない学校にとっては、やはり基礎的な知識、能力も大切です。それなのにそれを無視した入試になってしまっていいのでしょうか。基礎学力をはかるテストはどうなるのか。ほとんどわからないことだらけです。学校からの強い反発が予想されます。
筆者は若干我田引水的なところがあり、強い反発に対して丁寧に説明できるのかはこの本を読んでいるかぎりわかりません。
大きな改革に向けて冷静で丁寧で前向きな議論の必要性を強く感じました。