とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

劇評『プレイヤー』(8月6日シアターコクーン)

2017-08-08 09:38:49 | 演劇
 作  前川知大
 演出 長塚圭史
 出演 藤原竜也 仲村トオル 成海璃子 シルビア・グラブ 峯村リエ 高橋努
    安井順平 村川絵梨 長井短 大鶴佐助 本折最強さとし 櫻井章喜 
    木場勝己 真飛聖

 難解な芝居ではあったが、理屈を超えて引き込まれていった。

 舞台はとある地方の劇場。名の売れた役者から地元の演劇経験者まで、様々な人々が集まっている。演目は、死者の言葉が生きている人間を通して「再生」されるという戯曲『PLAYER』。

 演技の部分と現実の部分が入り乱れているので、境界線がはっきりしなくなる。演劇という装置の中での冒険である。しかもその虚実入り乱れた中に死者の言葉がよみがえってくる。

 ユングは無意識には、個人の心を越えた、民族や文化や、あるいは人類全体の歴史に関係するような情報や構造が含まれている領域があるとした。ユングは、このような無意識の領域を「集合的無意識」と名づけた。この芝居の中でも死者のことばが無意識から立ち上がるという意味合いのセリフがあった。我々の無意識の中に死者のことばがあるのである。

 私たちが今、現実に発していることばは、自分自身のことばなのであろうか。いや、それとも無意識から立ち上がった死者のことばなのか。根源的な問題を考えさせられる芝居であった。

 役者は力量があるし、そしてそれをスタッフがしっかりと支えている。いい舞台だった。

コメント
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