とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

劇評『ヘッダ・ガブラー』(4月22日 シアターコクーン)

2018-04-24 06:21:32 | 演劇
作:ヘンリック・イプセン 
演出:栗山民也 
出演:寺島しのぶ、小日向文世、池田成志、水野美紀、佐藤直子、福井裕子、段田安則

 イプセンの芝居を初めてみた。古い人のようなきがして古い作品のような気がしていたが、計算されたよくできた脚本で人間ドラマが見事に描かれており、時代を超えた作品であった。

 寺島しのぶ、小日向文世、池田成志、水野美紀、段田安則が言ってみれば五画関係であり、この関係が時間とともに明らかになり、そして後半になると見事に変化していく。登場人物すべてに裏と表があり、それが表面にでる場合もあり、自分でも裏の部分が気がつかず、表にでてこない場合もある。寺島しのぶ演じる「ヘッダ・ガブラー」は表面上強い女性である。しかしある意味の「弱さ」がずっと奥に潜んでいる。それが悲劇的な結末を生むことになる。

 寺島しのぶはすばらしい。現在日本一の女優だろう。さすが歌舞伎の家で育ったので、型がしっかりしていてぶれることがない。窓のそばに立つ姿はそのまま美術館の絵のようである。見事な存在感だ。他の役者もすばらしい。バランスがとれており、演出家も地味ではあるがしっかりと仕事をしているのがわかる。

 地味な作品のような気がしていたが、とてもいい作品と出合えてうれしい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする