保護司を題材にした映画『前科者』を見ました。ちょっとしたことが人間を壊し、それによって多くの人がその後の人生を狂わせる。その悲劇に襲われた人たちのやるせなさと、そこから立ち直ることを支援する人々のけなげさを描く感動作です。
【スタッフ・キャスト】
監督 岸善幸
出演 有村架純 磯村勇斗 若葉竜也 マキタスポーツ 石橋静河 北村有起哉 宇野祥平 リリー・フランキー 木村多江 森田剛
【あらすじ】
罪を犯した者や非行歴のある者の更生、社会復帰を助ける保護司の阿川佳代がは、職場の同僚を殺害した過去のある工藤誠を担当していた。まじめな生活態度で社会復帰も間近と見られていた。しかし、彼はある日突然姿を消し、再び警察に追われる身となってしまう。そのころ街で連続殺人事件が発生し、捜査の進展につれ工藤がその容疑者となる。
人間として生きていれば、耐えられなくなることもある。そんな時に弱い心が過ちを犯してしまう。人間の心なんて壊れてしまって当たり前だ。しかしそれによって犯罪が行われてしまえば、その人だけの問題ではなくなり、さらに多くの人の心を傷つける。過ちは過ちである。その罪は償わなくてはならない。あるいは償いない罪かもしれない。しかしそれでも償う気持ちを認め、可能ならば再生を支援をしたい。それができなければ悲劇は連鎖するだけである。
もし自分の家族が殺されれば、犯人を許すことはできまい。しかしその恨みに凝り固まった心も、どこかで救われなければいけない。それは犯人を許すことではないかもしれない。しかし「許さない心」も浄化しなければいけない。それができなければやはり悲劇の連鎖は終わらないからだ。
だれもが納得する解決策はない。しかし解決の努力を続けるしかない。努力の継続こそが人間の精神だからだ。
弱い人間たちの努力を描くすばらしい映画だった。