NHKの「朝ドラ」『舞いあがれ!』が始まった。順調な滑り出しだ。特に高畑淳子さんがすごい。近年の高畑さんの演技は「本物よりも本物っぽい」。年老いたまっすぐで融通のきかない母親そのものである。人生を演技にかけている凄みがある。『舞いあがれ!』はまだ始まったばかりだ。今後に期待したい。
一方では前作『ちむどんどん』への誹謗中傷はいまでにネットに出てくる。演者や関係者がどれだけ傷ついているか。いい加減にしてほしい。
確かに、『ちむどんどん』は雑なところが目立つ作品だった。批判を受けるのはしょうがない。しかしネットに反応は度を越していた。最後は集団での揚げ足取りになり、陰湿ないじめとなっていた。「ネットいじめ」そのものである。
今回の『舞いあがれ!』でも、「ありえない」と思うところはいくつか見られる。疎遠になっている母親のところに娘を預けることだってありえないし。娘の希望で突然帰りの手段を飛行機に帰るなんてこともありえない。しかしその程度のことを目くじら立てる人はいまい。『ちむどんどん』ではその程度のこともみんなで足引っ張りしていたのだ。
『ちむどんどん』への誹謗中傷は、日本社会の負の面を見事に表していた。弱い者の立場に立つこと。それを忘れてはいけない。