とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

映画『MINAMATA』を見ました。

2021-10-18 17:48:49 | 映画
 映画『MINAMATA』を見ました。社会の中で生きていく苦しみと強い意志を訴えるすばらしい映画です。

《あらすじ》
 アメリカの有名な報道写真家ユージン・スミスは酒浸りの生活をしていた。そんなある日日本人翻訳者のアイリーンから、水俣を訪れて水俣病を撮影・記録し、世界に知らせてくれるようにお願いされる。最初は断るスミスだったが、その実態が見え始めると協力する気になる。彼はアイリーンとともに日本の水俣を訪れる。化学会社チッソが妨害活動をし、金で解決しようともする。スミスは続ける気力を失うが、地元の水俣病被害者の人々の努力でスミスの心は変わっていく。

監督       アンドリュー・レヴィタス
脚本       デヴィッド・ケスラー
キャスト ジョニー・デップ、真田広之 、美波 、國村隼、加瀬亮、浅野忠信

 最近でも安倍政権での政府の情報操作や情報隠蔽など国家の権力によって真実が見えなくなる事案がたくさんあります。企業による様々な不正も絶えることがありません。彼らは法律の範囲内ならば何をやってもいいという発想です。時には法律の枠を超えることもあるのでしょうが、法律の解釈を変えるという力技の繰り出して、自分の利益のために法律を駆使します。しかし一般庶民の感覚は違います。法律よりも「当たり前」を大切にします。人に迷惑をかけないとか、迷惑をかけてしまったら誠意をもって謝るという「当たり前」が判断の基準なのです。両者が理解しえないのは基準にしていることが違うからです。

 企業や国家と闘えば精神を壊していきます。そこで生きていくことは難しいことです。しかし法律は「当たり前」の上にできているはずのものです。いくら理屈をこねても強い精神力があれば「当たり前」が勝つはずです。

 苦しくとも投げ出してはいけない。そんな正義を教えてくれる名作です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画『アナザーラウンド』を見ました。

2021-10-16 14:30:41 | 映画
 映画『アナザーラウンド』を見ました。コメディ映画なのかと思っていたら、不思議なバランスの真面目な映画でした。生きづらい世の中をうまく描いた作品です。

 やる気のないがために生徒からも批判されるさえない高校教師たちは、ノルウェー人哲学者が主張する「血中アルコール濃度を一定に保つと仕事の効率が良くなり想像力がみなぎる」という理論を確かめようと実験を開始する。仕事中でも構わず酒を飲み続けほろ酔い状態を保つと、授業も楽しくなり生徒たちとの関係も良くなっていく。仕事だけでなくプライベートも好転するかと思われたが、実験が進むにつれて制御が利かなくなってしまう。その結果悲劇が生まれる。

 今や教育の世界は本当に大変です。生徒や保護者は偉くなり、それにびくびくしながら教師は授業をせざるを得ない。昔のように「先生様」ではなくなって、下僕扱いなのです。「先生様」の時代を知っている教師は自信を失い、毎日の生活さえ卑屈になっていきます。私自身もそうです。

 この映画に出てくる教員仲間もみんなそんな男です。自信を失い、日常生活でも酒に逃げているような状態です。家族もしだいに遠ざかるようになり、孤独の中でさらに酒を飲むしかなくなります。

 この映画はそんな不器用でだらしない男たちを見事に描いています。情けない男たちだけれども、どうしても共感していまう自分がいます。

 生きづらい世の中の真実を描写した映画です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

バラマキ批判をした官僚こそ大切にしてほしい

2021-10-13 18:29:42 | 政治
 財務省の矢野康治事務次官が文芸春秋に寄稿し、自民党総裁選や与野党の政権公約にみられる大盤振る舞いの財政出動合戦を批判し、日本の財政悪化を早期に食い止める必要性を強調したというニュースを見た。このような耳の痛いことをしっかりと発言してくれる官僚こそ大切にしてほしい。

 矢野氏の発言は誰もがそう思っていることであり、おそらく真実である。このままでは財政破綻してしまう。政治家や政治家お抱えの経済評論家はいろいろな理屈をつけて財政破綻はしないと主張するが、そんな打ち出の小づちがあるはずがない。金を使いすぎれば、いつかは破綻するのが経済理論以前の常識である。

 政治家は選挙に勝つためにバラマキを主張する。もしこれが続くとすれば民主主義というものも信じられなくなる。しかし日本人はもっと成熟しているはずだ。そんなにお金がなくとも幸せになる術を知っている。もちろん貧乏の苦しみを十分知ってのことだ。だから一生懸命働き、一方では金のかからない楽しみをいろいろと工夫しているではないか。

 矢野氏の発言をなかったころにするのではなく、これを機会に冷静で論理的な議論をしてほしい。様々な要素を明確にして、未来への指針を示していただきたい。それが政治の使命である。

 そのためにも矢野氏は更迭することなく、要職にそのまま残していただきたい。それができればこの内閣は議論をしてくれる内閣だと理解できる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小三治師匠のこと

2021-10-10 15:26:19 | 落語
 柳家小三治師匠が心不全のため亡くなっていたというニュースを見た。81歳だったという。本当に残念でならない。

 小三治師匠は近年毎年2月に山形市の東ソーアリーナ(元シベールアリーナ)で落語会をしていた。東ソーアリーナというのは井上ひさしさんが作った劇場で、落語家ならば小三治師匠を呼べという井上ひさしさんの生前の言葉を聞いて、小三治師匠が毎年来てくれることになったという。その話を毎年のように小三治師匠が言ってくれる。人のつながりを大切にしていた人だった。

 小三治師匠といえば「まくら」であった。とにかく長い。どこにどうつながっていくのかわからない。しかしその流れのなかで本題につながっていく。客の反応を見ながら話が毎回変わっていくのだ。そこが名人芸だった。

 芸人らしい反権力の庶民派であった。手厳しい政治批判をよく聞くことができた。

 近年、病気の話もよくしていた。心配はしていたのだが、座布団に座ればいつもの通りたのしい落語をしてくれる。来年の2月もきっと山形に来てくれるのだろうと思っていた。

 ご冥福をお祈りします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「新しい資本主義」って何?

2021-10-09 18:12:04 | 政治
 岸田総理大臣が所信表明演説を行い「新しい資本主義」という言葉を使った。富の分配によって中間層を拡大させることなどを目指すのだという。理念としてはとてもいい方針だ。さらに、新自由主義を「深刻な分断を生んだ」として批判し、「成長と分配の好循環」「コロナ後の新しい社会の開拓」という二つのコンセプトのもと、新しい資本主義を実現させると訴えた。ここまで来ると野党の政策なのではないかと思われるような、大きな政策転換である。

 しかし分配を目的とした資本主義はむずかしい。自分の利益のためにいきるのが人間であり、だからこそ資本主義の行き詰まりを打開するためには新自由主義しかなかったのだ。岸田総理の発想は単に昔にもどるのようにも思われる。

 方針はいいと思うのだが、それを実現するためにはもっと具体的な方策が見えてこないといけない。さもなければ日本は沈みゆくだけになってしまう。いまこそみんなの英知を結集して、「新しい資本主義」の実現を願いたい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする