昨日に続き紹介したい。サンカンペーン褐釉四耳大壺である。山村道生氏の箱書き付きである。
耳は単なる装飾で巻貝を伏せたもので、サンカンペーン壺の約束事の一つである。肩下まで白土の化粧が施され、肩の鎬状の文様は打ち刷毛目文で、これもサンカンペーンの特徴のひとつである。底の仕上げぶりを見たかったが、その写真の掲示は無かったものの本歌(本物)である。まさかネット・オークションで見られるものとは思っていなかった。落札額まで確認していないが、10万円以下の落札なら買い物である。
次は宋胡録・サワンカローク窯青磁釉双耳大壺で出品者はwarabi-theとなっていた。落札者は*p*4***で74,900円の落札。
掲載されている写真の解像度が低いのか、ピンボケか良く分からなくやや不鮮明な画像で正確な判断ができないが、70~80%の確率で本歌であろう。各部分の拡大写真をみると、底は糸切ではなく轆轤削りで、時代感をもっており不自然さはない。肩には長期に渡る土中埋設の赤土痕が残り、このことも約束事にかなっている。
やや不自然に思う20~30%については、胎土に残る鉄分が釉薬と反応して赤黒斑として見えるが、その赤黒斑がやや大きいのと、その数が多すぎる印象である。さらに濃いオリーブ色の青磁釉と褐釉の掛け分けは初見である点が引っかかっている。しかし前述の通り本歌の可能性大である。そうであれば落札額からして買い物である。
尚、この壺はサワンカローク窯ではなく、北タイ陶磁であるが焼成地は未だ確定できていない。北タイ諸窯址や物原から、当該陶磁の陶片が出土していないことによる。これらはラオスからメコンを渡り、タイに戻って来た謎の大壺群の一つである。
個人的には7-8万円も投ずるとすれば、迷うことなく先のサンカンペーン褐釉四耳大壺を入手したい。
<了>
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