世界の街角

旅先の街角や博物館、美術館での印象や感じたことを紹介します。

サムスン(SEMCO)は村田製作所に追いつけるのか?

2020-11-06 07:37:16 | 村田製作所とTDK

やや鮮度の落ちた噺で恐縮である。過日YahooNewsに朝鮮日報を引用して以下の記事が掲載されていた。やや長文であるが、ご勘弁願いたい。

2020.10.27 YahooNews

「電子産業のコメ」MLCCで村田製作所と競争…サムスン電機、自動車市場に進撃

サムスン電機(SEMCO)は今年第3四半期(7-9月期)、3000億ウォン(約280億円)台の営業利益を計上した。売り上げ全体の約40%を占めるMLCC(積層セラミックコンデンサー)がドル箱の役割を果たし、市場予測値(2600億-2800億ウォン=約240億-260億円)を大幅に超える収益性を示したわけだ。サムスン電機は26日、第3四半期の業績発表後、電話会議で「第3四半期からMLCCの需要が回復し、稼働率がフル稼働レベルまで上がった」とした上で「第4四半期もフル稼働を維持するものと予想される」と説明した。

■「世界で最も革新的な企業」1位はアップル、サムスン5位、ソニーは?

 MLCCとは、電子回路が安定的に作動できるよう電流を調節し、部品間の電磁波の干渉を防ぐ超小型の部品だ。ほとんどの電子製品に入っており「電子産業のコメ」と呼ばれる。KB証券によると、世界のMLCC市場の規模は今年の16兆ウォン(約1兆4900億円)から2024年には20兆ウォン(約1兆8600億円)へと成長する見通しだ。  サムスン電機はIT・産業用MLCCに次いで、自動車電装(電子装備)用のMLCC事業を拡大し、世界1位のMLCCメーカーである日本の村田製作所を追撃している。電子部品の国産化をリードしてきたサムスン電機がMLCC市場の王座に上り詰めることはできるのか。

■MLCC、サムスン電機のキャッシュカウ…村田との激しい神経戦

 故・李健煕(イ・ゴンヒ)会長による新経営宣言以降、サムスングループの電子部品メーカーであるSEMCOは1994年に10大主力製品を定め、生産能力を世界最高水準に高めた。当時の10大主力製品の一つがMLCCだ。 SEMCOは1995年、韓国の電子部品メーカーとして初めて売り上げ1兆ウォン(現在のレートで約930億円)を達成したが、昨年は売り上げ8兆408億ウォン(7500億円)を記録した。MLCC、カメラモジュール、基盤がキャッシュカウ(ドル箱)の役割を果たした。

ハンファ投資証券によると、2018年現在で世界のMLCC市場占有率は、日本の村田製作所(44%)、SEMCO(22%)、日本の太陽誘電(13%)などの順だった。市場調査会社オムディアの日本電子産業リサーチ総括を務める南川明氏は「韓国と中国のライバル各社は依然として日本のMLCCに追い付けない」と話した しかし、サムスン電機のMLCCが技術力や品質の面で日本企業を追撃しており、韓日の企業の間で激しい神経戦が起きている。かつて村田製作所はサムスン電機を相手にMLCC関連の特許侵害訴訟を提起したが、米国国際貿易委員会(ITC)は2011年、サムスン電機勝訴の決定を下している。

■自動車電装用の市場を本格攻略…李在鎔「先頭で革新をリードしよう」

 サムスン電機は今年7月、自動車のパワートレイン(動力伝達系)と制動装置に使われるMLCC5種を開発し、自動車電装市場の攻略に乗り出したと発表した。サムスン電機コンポーネント事業部のキム・ドゥヨン部長(副社長)は「電装用MLCCは、開発と大量生産に高い技術力が必要だ」として「サムスン電機は技術難易度の高いパワートレイン用製品まで開発した。今後も差別化された素材・工程技術を適用し、製品の競争力を強化する計画」と述べた。  サムスン電機が自動車電装用MLCCに注目する理由は、市場が大きいからだ。電装用がMLCC市場全体に占める割合も30%以上まで高まる見通しだ。例えば、自動車には1台につき3000-1万5000個のMLCCが使われている。スマートフォンには1000個ほどが入っているという。  サムスン電機は「今年の第3四半期、電装用MLCCが売り上げに占める割合は10%に満たない水準」とした上で「第4四半期は成長が予想されており、10%以上まで押し上げる計画」と説明した。  サムスン電子の李在鎔副会長は今年7月、サムスン電機の釜山事業場を訪れ、電装用MLCCラインを点検し「変化のスピードが速まっている。先頭に立って革新をリードしよう」と呼び掛けた。

白抜き矢印からみたSEMCOは下写真。出典はいずれもグーグルアース。

かつてSEMCOは村田製作所(MMC)から、ヘッドハンティングにより多くの技術者を引き抜いた(温情のある会社を裏切りSEMCOへ行った技術者たちの末路は哀れであったであろう)、おかげで猛追をうけ訴訟沙汰にもなった。SEMCOのなりふり構わずの手段は商道徳に反するものである。

MMCは車載用の高電圧・耐高温性のMLCC開発に着手したのは27-28年前で、それなりの経験と知識を有している。その時間軸が必ずしも今後の競争において有利とは云わないが、先を走る条件の一つではある。しかしSEMCOやサムスン電子の資金力により、なにをやらかすのか・・・との脅威は感ずる。MMCはより一層のノウハウ保持と原材料・工法開発に注力する必要がある。

SEMCOの第3四半期決算によると約280億円の営業利益であったとのニュウースである。MMCの第2四半期売上額は4252億円、営業利益は792億円でSEMCOの280億円を大きく引き離している(SEMCOとMMCの会計期間がことなるので、直近の発表資料で比較)。かつて日本メーカーは、半導体や液晶に始まるパネルはサムソンにして遣られた。MLCCも例外でないとも考えられる。しかしMMCのMLCC事業にはサムライが多い。機密漏洩防止を含むマネージメントさえ誤らなければ、SEMCOはMMCに迫ることは不可能であろう。

しかし、心配な点が一つある。中国へ両足とはいかないが片足を完全に突っ込んでしまったことである。中国電子機器メーカーの躍進によるものだが、いかにも危い。かつてTDKは両足を突っ込んで、撤退を余儀なくされたが、二の舞にならぬよう祈りたい。それより株価1万円を早期に達成してほしい。

 

<了>

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿