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続・サンカンペーン陶磁の蛍光X線分析・その3

2019-02-08 08:57:37 | サンカンペーン陶磁

再度生Dataを掲載する。ワット・チェンセーン窯で表採した陶片は本物の欠けらである。以下、当然の事柄である。

低温焼成後絵顔料成分であるSn(錫)、Pb(鉛)は一切検出されていない。

従って資料番号Sam-2とSam-3は後絵の可能性は限りなく低い。

鉄絵顔料の近似性を示すには、顔料成分であるFeと微小成分のTi及びMnの比率を散布図に示してみることである。それを遣ってみた。

先ず云えることは、資料連番⑰(Sam-2・鉄絵麒麟文盤)と⑱(Sam-3・鉄絵双魚文盤)は完品である。これらと陶片の間には相似性は認められない。この盤の焼成窯の可能性は・・・

1)ワット・チェンセーン窯以外の窯群での焼成が考えられる

2)ワット・チェンセーン窯で焼成されたが、陶片の焼成時期と異なる年代に焼成された

以上の2点が考えられる。個人的には1)であろうと思われる。

次に云えることは、Sam-3写真下の表に緑色で網掛けした陶片(散布図の緑枠内)は、類似性が強いと考えられ、ある時期のワット・チェンセーン窯の鉄絵顔料の特徴を示している。完品の鉄絵成分で、このような値を示す盤があれば、ワット・チェンセーン窯で焼成されたものとなる。

しかし、近似性を示さない資料①(Wch-11)、③(Wch-15)、⑧(Wch-28)がある。これらは焼成された年代差によるものと思われる。

資料⑯はワット・チェンセーン窯の陶片と近似性を示している、フェイ・パヨーム窯の陶片である。サンカンペーン陶磁の鉄絵顔料はドイ・サケットから産出したと云われており、同一箇所で採集した顔料を各窯群で用いていたことが想定される。

最後に云えることは、最下段のグラフを見て頂いて分かるように、バラツキが大きいことが分かる。長い年代差を含むのか?それともドイ・サケットから採取した鉄絵顔料の時代差?それとも顔料産地を変更したのか?

・・・ということで、鉄絵顔料の組成分析だけでは、焼成窯を確定させることには無理がありそうである。

今となっては、各窯址の鉄絵陶片を数多く集めることは困難であり、科学的分析による焼成窯の特定はできそうにもない。前回の2017年に測定したDataはat%で、今回のMass%と異なっており(失敗)単純比較が出来ないが、今後検討してみたい。

<続く>

 


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