以下紹介するのは、昨年12月にネット・オークションに出品されていた「サンカンペーン・鉄絵双魚文盤」である。ハッキリ言って写真では真贋の見分けがつかないが、55-60%程度の確率で本歌(本物)であろう。出品名と落札の有無は忘却の彼方である。
先ず間違ないのは・・・
①胎土の土味で鉄分の多い赤土である。キメは粗く、気泡痕をみる
②高台裏の削りに、唐笠のような放射状の削痕をみる
③高台の畳付きの幅が、5mm未満と極端に狭い
以上は、本歌の特徴で疑問な点は全くない、おまけに高台底中央が見込み側に凹んでいる。これは肉厚が薄いので高台削り込みの鉋圧により窪んだもので、逆に見込み中央側に盛り上がっている。これもサンカンペーン陶磁の特徴である。
盤面の写真が、下の写真である。
ガラス質が豊富で光輝いてはいないが、緑褐色に発色する釉薬も、サンカンペーンの特徴である。魚文の斑点に見る褐色も本歌にみることができる。長年の地下での状態から土銹が認められる・・・これが、今作りの細工かどうか・・・写真では判断できない。
やや斜めに構えてみているのは、・・・盤面の釉薬の残存状況にたいして、外面には釉薬の痕跡が全く見られないことで、胎土の土味と土銹を見るのみで、コントラストがハッキリしすぎている点である。
この手のコントラストを見る本歌が存在しないわけではないが、数百点みているなかで、わずか3-4点程度である。
ハッキリさせるには、ガーゼないしはハンカチにシンナーを浸み込ませて、表面を力を入れて拭いてみることである。容易に赤土がガーゼに乗り移る(土中の滞留期間が短く、容易に溶け出す)。拭いた面を匂うと刺激臭がする(土銹を薬品で定着させている)。これらは(後絵)贋物である。
拭くと異臭はなく、赤土も付着しない・・・これらが600-700年の時を経て発掘された品々である。
・・・と、云うことで器胎だけは本物。しかし鉄絵は写真だけでは、最終的な真贋が分からないものの、外見では本歌の特徴を備えている。
<了>
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