過日みたサンカンペーン古陶磁2題。最初は出品名『タイ北部 サンカンペン黒褐釉水注』である。
落札額は29000円とのこと。1万B(バーツ)以下であり、買い物であろう。これは本歌(本物)で、釉薬の調子からチェンマイ北郊のサンサーイ古窯の可能性が高いが、現物を手にとって見ない限り断言できない。
2点目は『16世紀タイ焼カロン窯黒釉双魚文大盤』で出品されていた。
一見、変哲はなさそうだが後絵の盤である。しかも簡単にそうとは分からないように細工されており悪質である。
鉄絵描線の上は、それとなくカセたように白濁しているが、これは薬品による表面処理と思われる。
この盤が何故後絵なのか、以下箇条書きで説明する。
1.外側面の刷毛掛けによる釉薬の痕跡、釉層が薄く長年の土中でカセて光沢など微塵もない。それに対し盤内面は昨日焼き上げたような光沢で、本歌ならあり得ないコントラストである。
2.その内面の釉薬に貫入はなく、従って長年の土中に埋まっていた証拠である、貫入の土銹を見ない。つまり低火度の化学的釉薬と絵具が用いられている。
3.鉄絵具の発色が黒褐色ではなく、黒く且つ濃淡がない。これは低火度絵具の特徴である。
落札価格は30900円とのこと。阿保くさ。冷静に写真をみていれば、或る程度は判断可能です。それにしても久しぶりに狡猾とも云える後絵の盤であった。
<了>
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