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なぜ三魚文なのか?

2017-07-11 07:01:33 | 東南アジア陶磁
先回、タイ陶磁とミャンマー陶磁の三魚文を紹介した。最初の疑問はタイとミャンマーにあって、クメールと安南には何故存在しないのか・・・との問いである。知識もなく且つ不勉強で、この問いに対する回答を持ち合わせていない。もしかすれば、存在するかもしれない。
2つめの問いは、なぜ三魚文か・・・。これは一言で云えば、西方古代インドの影響である。
三神一体をサンスクリットで”トリムルティ”と呼ぶ。ブラフマー、ビシュヌとシバは同一で、これらの神は力関係の上で同等であり、単一の神聖な存在から顕現する機能を異にする3つの様相に過ぎないというヒンズー教の理論。すなわちブラフマー、ビシュヌ、シバの3神は、宇宙の創造、維持、破壊/再生という3つの機能が3人組という形で神格化されたものであるとする。
トリムルティはコンセプトであるがブラフマー、ビシュヌ、シバの3神を融合した形で象徴的に偶像化されることがある。1つの頸から3つの頭が伸びるデザインや、1つの頭に3つの顏を持つと云うバリエーションが存在する。
これらはバラモン思想から生じ、ベーダの時代(前500年)以降に定着したとされる。ならば3面像の発祥はこれであろう。
三魚文はここから派生したものであろう。インドラ神(帝釈天)は三十三の頭を持つ多面象に騎乗するがタイでは三面象で表され、これをエラワンと呼んでいる。
イメージ 1
写真はサワンカローク陶器博物館のカロン・エラワン香炉ないしは灯明である。このようにタイに行けば三面象や三面像は至る所で見ることができる。
福岡・沖ノ島を含む宗像三神の世界遺産登録がきまったようである。祝賀を表したいが、宗像三神はトリムルティ―に他ならない。
 
 

 

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