私の回りには、いろいろな習い事をしている子供達がいる。ピアノ、日舞、書道、ダンスなど様々である。子供達が発表会に出演すると聞けば、いつも花束を持って馳せ参じることにしている。今の職場に異動してからは、中々発表会にお呼ばれすることはなかったけど、今回、久しぶりにお招きに預かった。何と、劇団に所属する教え子の舞台を観劇するというもの。しかも、こだまの教え子ではない。剣道部だ。今まで発表会に呼んでもらっていたのは、全部通級の教え子だったのだが、今回初めて部活動の教え子の、しかも本格的な演劇の舞台を見せていただくことになったのだ!観劇は大好きなので、呼ばれて二つ返事でOKしていた。
剣道部のHちゃんは、とある劇団に所属する子役の女優さん。身体は小柄だけど、元気な声が良く通る女の子。冬の昇級試験で三級を取得して、部活動と習い事の両立を誓ったがんばり屋さん。今年の六年生の紅一点である。そんな彼女が三級を合格した時に、初めて劇団に所属していることを教えてくれた。部活動も劇団もどちらも頑張りたいと、真剣な目をして語る彼女に、舞台に立つときは必ず観に行くからと、応援することを伝えたら、意外にも早く、その時がやって来た。部活動は週に2~3回しか来られない。しかし、参加しているときは真剣な稽古ぶり。形も綺麗だ。男の子達の力には敵わずとも、後輩には負けない技術がある。三級合格するだけの事はある。剣道部で培ったのか、演劇で培ったのかは知らないが、とても元気な可愛らしい声が印象的なお嬢さん。劇場の1番後ろから、まるで『ガラスの仮面』の月影先生のような気分で、彼女の出番を待ちわびていた。眼鏡をかけても、演技者の顔が見分けられない!どうしよう!?とはいえ、座席は満員御礼、他にはどこも空いていない。見つけられなかったらなんて申し開きをしよう!?
しかし、そんな心配は杞憂であった!Hちゃんは他の共演者達と同じ格好(戦時中の話なのでもんぺ姿)だったにも関わらず、ひと目でそれとわかるほど可愛らしく光っていた!そして、あの良く通る可愛らしい声!見えない目にも良く見える。集団の中に居ても良く目立つのに、単独の役と台詞も貰っていた!華がある子だと思っていたが、ここまで舞台上で輝ける子だとは!正に、北島マヤか、姫川亜弓か!?未来の紅天女?いや、大女優の卵を見ているのかもしれない!
すべてを見終えて、帰る客を役者さん達が総出で見送る。その主役を演じた女優さんの次にHちゃんは並んでいた。思えば、エンディングでもセンターを勤めていた。つまり、そういう席に位置する子役っていうことか?私はすごい女優に稽古をつけているのかもしれない!12才になるかならないかの娘の演技に感動して、ファンになってしまった。気分は既に「月影先生」から「速水真澄」になっていた。可愛らしいHちゃんに紫の薔薇の花束を渡して、ツーショットを撮ってもらった。いつかお宝写真になるかもしれない!次回の作品にも呼んでいただけることになっている。楽しみにしよう!来週からは剣道部にも来るみたいだし、こちらはしっかり両立してもらおう!