ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

新中野ダム(再)

2018-10-02 13:58:12 | 北海道
2018年9月23日 新中野ダム(再)

新中野ダム(再)は北海道函館市亀田大森町の亀田川本流上流部にある北海道建設部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
もともと当地には1960年(昭和35年)に函館市が上水ダムとして建設した中野ダムがありました。
ところが1965年(昭和40年)9月豪雨によ甚大な洪水被害が発生ことを受け、北海道は中野ダムの再開発による多目的ダム化に着手します。
新中野ダム(再)は1984年(昭和59年)に竣工し、堤高を19.6メートル嵩上げすることで有効貯水容量を60万立米から284万立米に増大し、新たに洪水調節容量及び不特定利水容量が確保されました。
新中野ダム(再)は建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、亀田川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、函館市への上水道用水の供給を目的としています。
また河川維持放流を利用した新中野ダム小水力発電所で最大260キロワットの発電を行っています。
 
ダム再開発に合わせてダムの下流に中野ダム公園が整備され、北海道の有力ダムのミニチュアがおかれるなどダムマニアにはうれしい施設となっています。
 
函館市中心部から道道347号線を北上、笹流ダムをやり過ごしさらに進むとドン詰まりが新中野ダムです。
ダム直下へは行けませんが、堤体を眺めるには十分です。
 
非常用洪水吐として自由越流式クレストゲート2門、常用洪水吐として自然調節式オリフィスゲート2門を備えています。
 
ダム右岸には利水放流口があります。
写真の小さな建屋は河川維持放流を活用した小水力発電所です。
 
右岸ダムサイトまで車で入ることができます。
職員が駐在する平日午前中は天端に立ち入ることができますが、この日は休日のため柵の外から眺めるのみ。
堤体右岸側が屈曲して『カド』になっています。
 
ダム湖は『なかの湖』で総貯水容量334万立米。
再開発により貯水量は約5倍に増えました。
 
上流から。
 
管理事務所の裏手の取水設備。
 
ゲートをズームアップ
クレストゲートの間に高さの違うオリフィスゲートが2門あり、スライドゲートの開閉で貯水位の調節が可能です。
 
新中野ダムのすぐ下流にはダム公園があり、北海道のダムのミニチュアが4基設置されています。
これは笹流ダムのミニチュア。
 
こちらは豊平峡ダムのミニチュアと実物の新中野ダムのコラボ。
 
『カド』があるダムですので、天端に立ち入れる平日午前中に再訪したいところです。
 
3619 中野ダム(元)
北海道函館市亀田大森町
亀田川水系亀田川
53メートル
162メートル
764千㎥/600千㎥
函館市
1960年
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0113 新中野ダム(再)(1380)
北海道函館市亀田大森町
亀田川水系亀田川
FNW
74.9メートル
248メートル
3340千㎥/2820千㎥
北海道建設部
1984年再開発竣工

笹流ダム

2018-10-02 12:18:43 | 北海道
2018年9月23日 笹流ダム
 
笹流ダムは北海道函館市陣川町の亀田川水系笹流川にある函館市企業局上下水道部が管理する上水道用水目的のバットレスダムです。
函館市水道事業は横浜市に次ぐ我が国2番目の近代水道として1889年(明治22年)に創設されました。
水道整備に伴い事業の拡張が行われ函館初の本格的水源として1923年(大正12年)に竣工したのが笹流ダムです。
ダム建設に際してはアースダムや重力式コンクリートダムよりもコストが低く工期も短いバットレス方式が採用され、日本最初のバットレスダムとして完成しました。
1949年(昭和24年)と1984年(昭和59年)の二度の改修で梁や扶壁の強化が行われたことで、竣工当時の姿とは大きく変わりましたが、その土木技術的価値や函館の近代化への貢献などを評価して土木学会選奨土木遺産、Aランクの近代土木遺産、近代化産業遺産、近代水道百選、ダム湖百選、さらに日本100ダムに選定されており、日本を代表するビンテージダムの一つとなっています。
 
現在も現役の水源として活躍する一方、ダム下は笹流ダム前庭公園として整備され函館市民の憩いの場となっています。
広場を進むとバットレスの堤体が見えてきます。
選奨土木遺産のプレート。
 
笹流ダムの石碑とともに。
 
白い堤体が青空に映えます。
 
堤高25.3メートル、堤頂長199.3メートルは他のバットレスの追随を許さないスケール。
改修により梁と扶壁が肉付け強化され、他のバットレスダムとは異質の独特のスタイルになりました。
 
ダムというよりもビルの様です。
 
下流面はほぼ垂直です。
 
端正に並ぶ格子状の堤体は人工美の極限と言っても過言ではありません。
 
 
天端から前庭公園を見下ろします。
 
天端は非常に薄くなっています。
この日は水位が非常に高かったのでわかりませんが、上流面には結構な傾斜がついています。
バットレスダムは荷重が軽いため、上流面に傾斜をつけ水圧を利用してバランスをとっています。
 
笹流貯水池は総貯水容量60万6000立米
ダム湖百選に選ばれています。
笹流川だけでは十分な集水ができず、亀田川からの導水路で補給を受けています。
 
右岸洪水吐
洪水吐を見たかったのですが残念ながら立ち入り禁止で叶わず
洪水吐導流部はトンネル式です。
 
改修によって竣工当時とは異なりずいぶん骨太のバットレスになったようですが、それでも青空に映える白亜の堤体は美しいの一言。
上流の新中野ダム下公園に笹流ダムのミニチュアがあるのでこれも必見です。
 
0014 笹流ダム(1379)
亀田川水系笹流川
25.3メートル
199.3メートル
606千㎥/576千㎥
1923年
函館市企業局上下水道部

上ノ国ダム

2018-10-02 12:08:06 | 北海道
2018年9月23日 上ノ国ダム
 
上ノ国ダムは北海道檜山郡上ノ国町桂岡の二級河川天野川水系目名川上流部にある北海道営の多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで目名川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、流域72.64ヘクタールの農地への灌漑用水の供給、江差町への上水道用水の供給を目的として2002年(平成14年)に竣工しました。
さらに2019年(平成31年)に河川維持放流を利用した上ノ国ダム小水力発電所が完成し、最大120キロワットの発電を行っています。
 
ダム下は立ち入り禁止ですが右岸から下流面を見ることができます。
非常用洪水吐としてクレスト自由越流頂4門、常用洪水吐として自然調節型オリフィスゲート1門を備えています。
訪問時は前日の雨で水位が増しオリフィスゲートから放流していました。
 
堤体右岸がジグザグに屈曲し、『カド』となっています。
 
堤体のジグザグを見てみましょう
まずは下流面。
 
天端
天端入口には車止めがあり歩行者のみ立ち入り可能です。
 
上流面。
 
『カド』を真上から。
 
減勢工と利水放流設備
河川維持放流を利用した小水力発電所の建設工事中。
その後2019年(平成31年)3月に完成しました。
 
ダム湖は『あすなろ湖』で総貯水容量は373万立米。
 
左岸から下流面。
 
左岸から上流面
手前は取水設備、こちらからも堤体が屈曲しているのが分かります。
 
なかなか立派な『カド』があり、真上から『カド』を見下ろせるのがいいですね。
 
2930 上ノ国ダム(1378)
北海道檜山郡上ノ国町桂岡
天野川水系目名川
FNAW
51.3メートル
247.9メートル
3730千㎥/3110千㎥
北海道建設部
2002年

鶉ダム

2018-10-02 11:45:47 | 北海道
2018年9月23日 鶉ダム
 
鶉ダムは北海道檜山郡厚沢部町峠下の厚沢部川水系鶉川にある灌漑目的のロックフィルダムです。
北海道開発局農水部による国営かんがい排水事業の中核施設として2001年(平成13年)に竣工し、運用開始後は受益自治体である厚沢部町と江差町が受託管理しています。
鶉ダムの総貯水容量は1000万立米と農業用ダムとしては屈指の規模を誇り、厚沢部町及び江差町の計3377へクタールに灌漑用水を供給しています。
 
函館から国道227号線を江差方面に向かい、北斗市と厚沢部町の境界である中山トンネルを抜けると左手に鶉ダムが見えてきます。
まずはダム下から見学することにします。
ダム下流はオートキャンプ場になっており、キャンプ場の脇を抜けるとダムの入口ですがゲートがありこの先は関係者以外立ち入り禁止。
この日はたまたま草刈り作業のためにゲートが開いていましたが当然立ち入りはしません。
 
ちょうど草刈り作業中でれいに整備されています。
堤体を管理道路がジグザグに登り、地山の岩盤を挟んで右岸側に洪水吐導流部があります。
 
洪水吐導流部をズームアップ。
 
真正面から。
 
減勢工から先が大きくカーブを描いています。
ここからは見えませんが、減勢工で取水塔からの導流路が合流しており結構な水が流れています。
 
国道227号線から俯瞰
年間を通じて取水期となっており、北海道のほかのダムのように冬場に水が抜かれることはありません。
 
上流面をズームアップ
堤体はアーチ状に湾曲しています。
 
国道のパーキングから。
 
ダム一帯はきれいに整備され、非常に美しいロックフィルダムです。
立ち入り禁止はやむをえませんが、ぜひ中を見学してみたいダムです。 
 
0119 鶉ダム(1377)
北海道檜山郡厚沢部町峠下
厚沢部川水系鶉川
52.2メートル
220メートル
10000千㎥/9250千㎥
厚沢部町・江差町
2001年