ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

賀祥ダム

2018-10-19 14:38:41 | 鳥取県
2018年10月10日 賀祥ダム
 
賀祥ダムは鳥取県西伯郡南部町下中谷の日野川水系法勝寺上流部にある鳥取県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、法勝寺川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、米子市への上水道用水の供給を目的として1988年(平成元年)に竣工しました。
また2013年(平成25年)には河川維持放流を利用した鳥取県企業局賀祥発電所が増設され、最大出力260キロワットの小水力発電が開始されています。
 
ダム下から。
非常用洪水吐として自由越流式クレストゲートが9門、常用洪水吐としてコンジットに高圧ラジアルゲートが1門、さらにしてジェットフロートゲート1門を装備しています。
時期的に中規模ダムにおける完全ゲートレス化への過渡期のダムと言えます。
ダム下右手の建屋は2013年(平成25年)に増設された鳥取県企業局賀祥発電所。
 
コンジットゲートゲートハウス
点検のため操作室に人がいます。
 
クレストゲートには切欠が2箇所入っています。
 
ダムサイトに上がります。
がっちりした堤趾導流壁。
 
天端は車両通行可能、ただしダム周回道路は反時計回りの一方通行です。
 
コンジットの予備ゲート施設。
本来ここには予備ゲートが装備されていますが、訪問時は点検のため予備ゲートが稼働しており姿が見えませんでした。
 
天端から
 
ダム湖は総貯水容量745万立米
緑水湖という名前とは裏腹に、台風の影響で水は濁りまくっています。
 
右岸にある制限水位調整ゲート
洪水期に制限水位を低下させるためにコースターゲートの開閉によって制限水位の調整を行います。
 
左岸の艇庫とインクライン。
 
クレストは自由越流頂、コンジットは高圧ラジアルゲートとゲートレスダムへの移行期形態。
さらに、クレストゲートの切欠や制限水位調整ゲートなど細かい部分に見所の多いダムとなっています。
 
(追記)
賀祥ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
1685 賀祥ダム(1405) 
鳥取県西伯郡南部町下中谷
日野川水系法勝寺川
FNW
46.4メートル
174メートル
鳥取県県土整備部
1988年
◎治水協定が締結されたダム

椿谷溜池

2018-10-19 14:06:28 | 鳥取県
2018年10月10日 椿谷溜池
 
椿谷溜池は鳥取県西伯郡南部町絹屋の日野川水系絹屋川右支流にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1890年(明治23年)に大黒第1土地改良区の事業により竣工と記されています。明治時代には土地改良区はありませんので、前身となる水利組合等によって築造されたものと推察されます。
記念碑や由来碑等がないためその後の経緯なども不明です。
現在は土地改良区の統合に伴い南部町土地改良区が管理を行っています。
 
絹屋川沿いの町道を西に向い奥絹屋集落に入ると左手に椿谷池の堤体が現れます。
 
池への道はダートのため町道の路肩に車を置いて歩きます。
と言っても距離にしてたかだか150メートルほど。
 
下流面は夏に草刈りされたようです。
堤高は16.3メートル。
 
堤体下の底樋枡
非灌漑期にもかかわらず結構な勢いで水が出ています。
 
天端。
 
左岸の洪水吐
切れ込みにコンクリートの越流堤が作られています。
 
天端からの眺め
奥絹屋の集落です。
名前から推察してかつては養蚕業が盛んだったのでしょう。赤い雲州瓦の立派な家が並んでいます。
 
総貯水容量は8万9000立米
水が抜かれ、流入水はそのまま放流しています。
底樋枡から水がジャバジャバ出ていた理由も納得。
ダム便覧フォトアーカイブスの写真でも池が空っぽの写真が多いので、灌漑期が終わると水を抜くようです。
 
上流面中央の斜樋。
一番下のバルブが開かれ、土砂吐も姿を現しています。
 
上流面は中段から下がコンクリートで護岸。
 
1663 椿谷溜池(1404)
ため池コード
鳥取県西伯郡南部町絹屋
日野川水系絹屋川
15メートル(ため池データベース16.3メートル)
90メートル
89千㎥(ため池データベース81千㎥)/81千㎥
南部町土地改良区
1890年


赤田新溜池

2018-10-19 13:24:49 | 島根県
2018年10月10日 赤田新溜池
 
赤田新溜池は島根県松江市鹿島町上講武の斐伊川水系佐陀川左支流講武川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧では1987年(昭和62年)に講武村の事業で竣工となっていますが、講武村は1956年(昭和31年)に合併により消滅しています。
もともと講武村が存在した時代に村の事業として赤田新溜池が作られ、1987年は大規模な改修等が竣工した年次ではないかと思われます。
池自体は鹿島町上講武にありますが、池の管理は受益者である下流の北講武および南講武地区が行っています。
 
佐陀川から県道264号線を東進し、鹿島多久の湯をやり過ごし多久神社バス停前に北に折れる枝道があります。
これをまっすぐ登ってゆき、鉄工所を過ぎると赤田新溜池への入口となります。
が!残念ながら立ち禁。
 
池への入口から貯水池は見えますが堤体等は・・・
深山池では関係者が現れますが、そういう奇跡は何度も続きません。
ここは潔く撤退。
 
ちなみにダム便覧の赤田新溜池の写真は別の池の写真が載っています。
投稿者の名誉のためにも早く削除した方がいいと思うのですが。
 
1711 赤田新溜池
ため池コード 323010010
島根県松江市鹿島町上講武
斐伊川水系講武川
25.2メートル
70メートル
138千㎥/100千㎥
北講武地区・南講武地区
1987年


柿原溜池

2018-10-19 03:04:57 | 島根県
2018年10月10日 柿原溜池
 
柿原溜池は島根県松江市西谷町の斐伊川水系西谷川にある灌漑及び上水道用水目的のアースフィルダムです。
現地案内板によれば1939年(昭和14年)の大干ばつを契機に県営事業として着工されるも戦況悪化で中断、戦後改めて再開され1952年(昭和27年)に柿原溜池が竣工、佐陀川沿土地改良区への用水補給が始まりました。
竣工当時は溜池としては中国地方屈指の規模で、現在も貯水容量では島根県最大の溜池となっています。
その後1964年(昭和39年)より松江鹿島水道企業団の水源としても活用されることになり、給水人口1万6000人への上水道用水の供給が始まりました。
しかし2004年(平成16年)に老朽化による漏水事故が発生、これをきっかけに県の事業で大規模な改修工事が行われ2009年(平成21年)に竣工しました。
改修工事の際嵩上げが行われたようで、ダム便覧ではこの2009年(平成21年)を竣工年度としています。
現在は土地改良区、水道事業ともに統合が行われ、池の管理は松江市土地改良区が、上水道施設の管理運用は松江市上下水道局が行っています。
なおダム便覧ではダムの目的が灌漑のみの『A』になっていますが、『AW』の間違いです。
 
ダム下から
見えているのは堤体の一部で、実際の堤頂長は178.6メートルあります。
堤体に階段がありますが、こちらからは立ち入り禁止です。
 
池の東側にある聾学校の裏手からアプローチすると貯水池左岸に到着しました。
ここには柿原池の由来が書かれた案内板があります。
こういうのが有難いのです。
 
池の袂の柿原神社。
 
左岸沿いを天端方面へと進むと対岸(右岸)に斜樋が見えます。
あちらは土地改良区の灌漑用取水設備です。
 
手前にも斜樋が
こちらは松江市上下水道の取水設備となります。
 
天端左岸に到着です。
左岸に洪水吐があり上流面はコンクリートで護岸されています。
横越流式の洪水吐ですが、奥にはゲートがあります。
 
アングルを変えて。
 
洪水吐導流部。
 
天端。
 
総貯水容量129万立米の貯水池。
溜池としては島根県最大規模。
 
1729 柿原溜池(1403)
ため池コード 322010356
島根県松江市西谷町
斐伊川水系西谷川
AW
23.9メートル
178.6メートル
1290千㎥/1000千㎥
松江市土地改良区
1952年竣工
2009年大規模改修工事竣工


湯屋の奥溜池

2018-10-19 01:36:56 | 島根県
2018年10月10日 湯屋の奥溜池
 
湯屋の奥溜池は島根県松江市秋鹿町の斐伊川水系秋鹿川左支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1981年(昭和56年)に湯屋地区の事業により竣工と記されていますが、記念碑等がないため詳細は不明です。
湯屋地区は溜池のある周辺の小字名だと思われますが、溜池の築造を地区の事業として行えるのかどうかちょっと疑問に思えます。
1981年以前からここに溜池があった可能性が高く、国や県の補助を受けた団体営事業として改修が竣工したのが1981年と見るのが妥当ではないでしょうか?
 
秋鹿川沿いに県道266号線を北上すると右手に湯屋の奥溜池の堤体が見えてます。
 
県道から溜池へ狭い道が通じています。
天端は草ボウボウ・・・。
 
上流面。
 
天端からの眺め
奥の集落が湯屋地区のようです。
 
貯水容量4万3000立米の小さな溜池です。
 
左岸に洪水吐と取水設備があるので草の中を突き進みます。
そばまで行けませんが尺八樋のようです。
 
上流面まで下りてみます。
コンクリートで護岸された様子はありません。
 
洪水吐。
 
洪水吐導流部。
 
池の下に底樋があるはずですが、害獣防除フェンスの開閉が面倒でチェックしませんでした。 
 
1691 湯屋の奥溜池(1402)
ため池コード 322010439
島根県松江市秋鹿町
斐伊川水系秋鹿川左支流
18.4メートル
50メートル
43千㎥/43千㎥
管理者未確認
1981年


深山池

2018-10-19 00:33:42 | 島根県
2018年10月10日 深山池
 
深山池は島根県出雲市野石谷町の斐伊川水系由良川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1997年(平成9年)に竣工と記されていますが、事業者は記載されていません。
ダムの管理者は水利組合のようですが具体的な名称はわかりません。
 
県道232号の唯浦トンネル手前左手に池への分岐があります。
入口にはゲートがあり普段は立ち入り禁止のようですが、今回はたまたま受益者の方が見回りに来ておられ懇願して見学させていただきました。
この時に水利組合の名前を聞けばよかった。
道を下るとすぐに池左岸に出ます。
左岸に洪水吐があり橋が架かっています。
 
洪水吐導流部。
 
洪水吐の越流部。
 
池の下から見上げると
堤高19.1メートルとのことですが、もっと高く見えます。
フィルダムの堤体に洪水吐を作るのは掟破りでは?
 
洪水吐減勢工。
この下に底樋もありますが下りるのは自重しました。
 
天端まで戻ります。
こちらは上流面。
 
下流面。
 
貯水容量4万8000立米の小さな溜池
山には雲が掛かり名前の通り深山の趣です。
 
何やらジェット機のような音が聞こえると思ったら近くで風力発電が回っています。
 
右岸の取水設備
尺八樋です。
 
もともとあった深山池という溜池が20年ほど前に改修され、さらに最近堤体の改修が行われたばかりのようです。
張られたばかりの芝が美しく、溜池というよりはアースフィルダムと呼ぶのがふさわしい深山池です。 
 
3463 深山池(1401)
ため池コード 322081091
島根県出雲市野石谷町
斐伊川伊川水系由良川
19.1メートル
55メートル
48千㎥/48千㎥
管理者未確認
1997年