ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

東郷ダム

2018-10-23 02:41:08 | 鳥取県
2018年10月12日 東郷ダム
 
東郷ダムは鳥取県東伯郡湯梨浜町別所の橋津川水系東郷川源流部にある鳥取県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(国交省)の小規模ダム事業である生活貯水池事業の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、東郷川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、東郷地区の梨畑20ヘクタールへの新規灌漑及び防除用水の供給を目的として2003年(平成15年)に竣工しました。
生活貯水池ダムの多くはFNW(洪水調節・不特定利水・上水)を目的としたダムが大半ですが、ここ湯梨浜町東郷地区は日本屈指の二十世紀梨の生産地となっており、東郷ダムは梨生産を支える貴重な水源となっています。
 
別所地区の県道29号線に東郷ダムの道標がありこれに従えばダムに到着します。
クレスト2門、オリフィス1門のゲートレスダムです。
 
右岸(向かって左手)に放流設備があり河川維持放流が行われています。
 
右岸側の堤体が屈曲していますが、下流側に折れているので『カド』ではありません。
 
天端は徒歩のみ立ち入りできます。
堤体が屈曲しているのが分かります。
 
貯水池は名産の梨にちなんで『梨水湖』と命名されています。
総貯水容量は72万立米。
 
減勢工と放流設備。
 
東郷ダムの天端からは海が見えます。
海が見えるのは鳥取県では東郷ダムと小田股ダムの2基のみです。
 
下流面。
 
減勢工と放流設備をズームアップ。
 
上流から
2門のクレストゲートの間にオリフィスゲート、一番右手に取水設備があります。

(追記)
東郷ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
3132 東郷ダム(1413)
鳥取県東伯郡湯梨浜町別所
橋津川水系宇坪谷川
FNA
39.5メートル
227メートル
720千㎥/650千㎥
鳥取県県土整備部
2003年


中津ダム

2018-10-23 02:32:26 | 鳥取県
2018年10月12日 中津ダム
 
中津ダムは鳥取県東伯郡三朝町中津の天神川水系小鹿川源流部にある鳥取県企業局が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編令により、新たに中国電力が誕生します。
同社は戦後の電力不足を補うために積極的な電源開発を進めますが、送電網末端部にあたる鳥取県では中国電力だけでは電力需要を賄いきれず公営発電である県企業局による電源開発が併せて進められました。
三朝町を東西に流れる天神川支流の小鹿川では昭和30年代前半より企業局による電源開発が着手され、小鹿第一、第二の2基の発電所が建設されました。
中津ダムは小鹿第一発電所の取水ダムとして1957年(昭和32年)に竣工し、ここで取水された水は小鹿第一発電所に送られ最大3600キロワットのダム水路式発電を行っています。
 
三朝温泉から小鹿川沿いに県道33号を東に進むと中津ダムに到着します。
残念ながら改修工事中のため堤体に立ち入ることはできず、上流から取水塔を眺めるのみ。
 
当初の予定では改修工事は昨年2月で終わるはずだったのですがずいぶん延長されているようです。
機会があれば工事終了後に再訪したいと思います。
 
(追記)
中津ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

1678 中津ダム (1412)
鳥取県東伯郡三朝町中津
天神川水系小鹿川
35メートル
96メートル
1375千㎥/1210千㎥
鳥取県企業局
1957年
◎治水協定が締結されたダム

三朝ダム

2018-10-23 02:26:33 | 鳥取県

2018年10月12日 三朝ダム 

三朝ダムは鳥取県東伯郡三朝町砂原にある鳥取県企業局が管理する発電目的のアースフィルダムです。
鳥取県では戦後の復興を受けた電力需要の増加に対応するために中国電力とともに公営発電である県企業局による電源開発が積極的に進められました。
三朝町を東西に流れる天神川支流の小鹿川では昭和30年代前半より企業局による電源開発が進めら小鹿第一、第二の2基の発電所が建設されました。
三朝ダムは小鹿第二発電所の調整池として1958年(昭和33年)に竣工し、小鹿川上流の小鹿第一発電所からの放流水が一旦三朝ダムに貯留されたのち小鹿第二発電所に送られ最大5200キロワットの水路式発電を行っています。
 
三朝温泉から県道273号線で三朝高原まで登ります。
三朝高原はバブル期にリゾート地として開発が進められ遊園地や別荘地が造られましたがバブル崩壊で頓挫、現在はわずかな住民が住むだけで遊園地あとには太陽光パネルが並び、兵どもが夢の跡といった感です。
県道273号線沿いに三朝ダムへ下りる鳥取県企業局の管理道路がありますが、こちらは関係者以外立ち禁。
 
別荘地に定住されている方から、北側から回り込む山道を教えていただき無事ダムに到着。
車道からの入り口は立ち入り禁止ですが、ダムサイトを中国自然歩道が通っています。
まずは水利使用標識。
 
上流面はコンクリートで護岸。
 
天端
さすが県管理、芝はきれいに刈られています。
 
総貯水容量は3万3000立米。
 
小鹿第二発電所への取水口。
 
小鹿第一発電所からの放流水の吐口。
 
下流面
こちらもきれいに刈り払われています。
 
発電用調整池ということで洪水吐は見当たりませんでした
いまにして思えば、小鹿第二発電所の写真でも撮ればよかったのですが・・・・。
 
1679 三朝ダム (1411)
鳥取県東伯郡三朝町砂原
天神川水系美谷川
15メートル
75.2メートル
33千㎥/22千㎥
鳥取県企業局
1958年

狼谷溜池(大山池)

2018-10-23 01:35:30 | 鳥取県
2018年10月12日 狼谷溜池(大山池)
 
狼谷溜池は鳥取県倉吉市関金町泰久寺の天神川水系小鴨川左支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
現地案内板によれば1924年(大正13年)ごろに築造され、1946年(昭和21)にかけての改修で現在の規模となりました。
さらに1973年(昭和48年)に嵩上げを伴う再開発が実施され現在に至っており、ダム便覧ではこの再開発竣工を竣工年度としています。
池の管理は周辺の溜池同様天神野土地改良区が行っています。
池からは大山や蒜山三座の眺めがよく、湖面に映る大山の姿から『大山池』の別名があり、地元では大山池の方がよく知られているようです。
総貯水容量は132万立米と溜池としては山陰最大の規模を誇り、農水省による全国ため池百選にも選ばれています。
 
下流から狼谷溜池を遠望
 
池の背後に大山の姿が見えます。
 
左岸上流側から
左手の橋梁のようなものは取水設備の管理橋で管理橋の右下に取水設備があります。
 
非かんがい期のせいか貯水量はずいぶん少なくなっています。
 
天端から
残念ながら大山の頭が雲に隠れてしまいました。
 
池の南側には蒜山三座。
 
上流面
草でわかりづらいですがコンクリートで護岸されています。
 
管理橋の手前に取水設備があります
白い建物はB&G海洋センターの艇庫で、春夏にはカヌー教室が開催されるようです。
 
天端は車道。
 
池の案内板
案内板では大山池となっています。
 
歩いて回ったところ洪水吐が見あたりませんでした。
帰宅後空撮写真で確認してみたら右岸のかなり上流側に洪水吐がありました。
うーん・・・事前の予習不足。
再訪の機会があればいいのですが。
 
なおダム便覧では堤頂長255.5メートルとなっていますが、鳥取県ため池データベースでは502メートルとなっています。
後者は右岸側面の堤体も本堤とみなしているようで、ここではため池データベースの502メートルを採用します。

1671 狼谷溜池(大山池)(1410)
ため池コード 
鳥取県倉吉市関金町泰久寺
天神川水系小鴨川左支流
27.2メートル(ため池データベース26.9メートル)
255.5メートル(ため池データベース502メートル)
1319千㎥/1096千㎥
天神野土地改良区
1924年竣工
1973再開発



横谷溜池

2018-10-23 01:21:13 | 鳥取県
2018年10月12日 横谷溜池
 
横谷溜池は鳥取県倉吉市志津の天神川水系北谷川右支流にある灌漑目的のアースフィルダムです。
倉吉市街南部から旧関金町にかけての小鴨川沿いには古くからの溜池が点在していますが横谷溜池もそのうちの一つで、ダム便覧には天神野土地改良区の事業で1952年(昭和27年)にと記されています。
たぶん県や農水省の補助を受けた団体営事業で整備されたものと思われ、現在も管理は天神野土地改良区が行っています。
 
横谷溜池周辺には3基の溜池が寄り添うように並んでいますが、真ん中にある横谷溜池のみ堤高15メートル以上のダムとしてダム便覧に掲載されています。
下流面は草ぼうぼう
この辺りはまだ稲刈りが終わっていないので仕方ないですね。
 
貯水池左岸に沿って水路がありますが、池周辺の志津地区の農地を潤す用水路で池とは関係ありません。
 
貯水池は総貯水容量18万2000立米
かんがい期が終わり水が抜かれています。
 
右岸の斜樋。
 
上流面
特にコンクリートなどで護岸されている様子はありません。
 
斜樋。
 
7つ並ぶ斜樋のハンドル
ダム便覧にあるこのショットを撮りたかったのです。
 
天端も草ボウボウ
手前は洪水吐に架かる橋、この橋もかなり年季が入っています。
 
右岸の横越流式洪水吐
草が伸びて越流部の高さが田んぼの畔と変わらなくなってる・・・。
 
これが洪水吐導流部ということになります。
 
溜池は草刈りされているか否かで見た目の印象が全く変わりますが、西日本は稲刈りが遅く10月でもまだ草ぼうぼう。
まあこの時期に来た私が悪いんですけど。

1677 横谷溜池(1409)
ため池コード
鳥取県倉吉市志津
天神川水系北谷川右支流
16.7メートル(ため池データベース19.3メートル)
118.6メートル(ため池データベース119メートル)
182千㎥(ため池データベース146.6メートル)/150千㎥
天神野土地改良区
1952年